動物ロボットは次世代のペットになり得るか、考察してみた。
素晴らしく精緻な動物ロボットは次世代のペットとなり得るか?
カンガルー型ロボット、トンボ型ロボット、鳥型ロボット。これらはすべてドイツのFesto社が開発したロボットです。空気圧機器の世界トップメーカーであるFesto社は、動物の生態を研究しそれをロボットに活かすことで新しい技術への可能性を追求しています。動きが本物の動物のようなこれらのロボットは未来のペットを予感させますが果たして…。
そこで今回は、動物と動物ロボットを比較することで、どちらが飼いやすいのか考察していきたいと思います。
鳥型ロボット『SmartBird』
SmartBird ©Festo Corp.
鳥型ロボット『SmartBird』は2011年にFesto社から発表されました。翼幅が2m近くあるにも関わらず、重さは450gという超軽量ボディです。洗練された鳥の動きで、ほとんど音もなく羽ばたきます。モデルとなった鳥は『セグロカモメ』というチドリ目カモメ科に分類される種で、ユーラシア大陸の北部から中部、イギリスや北アメリカ大陸北部などで繁殖すると言われています。
離陸、飛行、着陸までを自動でおこなうことができ、超軽量と効率を重視した設計によって実現された同ロボットはなんと飛行に23W程度の電力しか必要としません。市販されている電球の多くが40Wや60Wであることを考えると、その消費電力の少なさには驚かされます。
本物の鳥 | SmartBird | |
---|---|---|
えさ代 | 300円〜500円/月 | 30円程度/月(電気代) |
環境 | ペット不可マンションでは難しい | 飛び回れるほどの広いリビングが必要(100平米くらい) |
備品 | 鳥かご | 充電器 |
鳴き声 | 可愛い | なし |
翼幅 | 20cm〜1m程度(種によって違う) | 2m |
本物の鳥をペットとして飼う場合には部屋の中に鳥かごを置いて飼うイメージですが、鳥ロボットの場合には部屋や庭を飛ばしている様子をイメージしました。翼幅2mは普通の民家ではなかなか飛ばすことができなさそうですね…。
トンボ型ロボット『BionicOpter』
BionicOpter ©Festo Corp.
気持ち悪いほど本物のトンボそっくりな外見をしたこのロボットは、同社から2013年に発表されました。重さが約175グラム、全長約63センチの実物より何倍も大きなこのトンボ型ロボットは、ホバリング、滑空そしてすべての方向への操縦をスマートフォンからおこなうことができます。予め備わっているプログラムにより方向を操作するだけで独立した4つの翼が動きを自動制御してくれるため、操縦にも特別な技術は必要ありません。
本物のトンボ | BionicOpter | |
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サイズ | 手のひら程度 | 小型犬程度 |
えさ | 飛び回っている小さな虫 | 電池 |
季節 | 秋 | 一年中 |
特記事項 | そもそも飼うのはかわいそう | 見た目がリアルで大きいため、トンボ好きでないと厳しい |
そもそもトンボを飼ってる人はどれくらいいるのでしょうか?という疑問はさておき、サイズ感さえ別にすれば寿命やえさのことを考えると本物のトンボよりもトンボロボットのほうが飼いやすい印象があります。ただ…。
カンガルー型ロボット『BionicKangaroo』
BionicKangaroo ©Festo Corp.
カンガルー型ロボット『BionicKangaroo』は同じくFesto社から2014年に発表されました。サイズ感、見た目、動き、どれをとってもカンガルーそっくりなこのロボットは、コントローラーを腕に装着し動きで操ることもできます。おいでと手招きすると近寄ってきたり、円を描くと回ったり、待てをすれば止まったり、とても可愛らしい動きをします。
BionicKangarooのようなジャンプをしながら動くロボットは歩行するロボットとは違い左右ではなく前後のバランスを取る必要がありますが、脚の造りでうまく衝撃を吸収することで転倒を防止しているようです。
また、着陸時のエネルギーを蓄積し飛び跳ねる力に応用しているのだとか。モーションジェスチャーといいエネルギーの再利用といい、最新のテクノロジーがふんだんに盛り込まれていますね。
本物のカンガルー | BionicKangaroo | |
---|---|---|
えさ | 草、果物など | 電気 |
体長 | 70cm〜160cm程度(種により違う) | 100cm |
体重 | 500g〜85kg程度(種により違う) | 7kg |
環境 | 狭い室内で飼うのは難しい | ある程度の広さが必要 |
特記事項 | 飛び跳ねてモノを壊す可能性が高い | 感情がない |
実は国内でもカンガルーは飼うことができるのでカンガルー自体もう少しペットとして広まっても良いんじゃないかな、と色々と調べていて感じました。ただし広い家でないとモノを壊したりする危険性があるそうです。そういったことを考えると…。
まとめ
今回の考察を通じて感じたことは、『まだ動物ロボットを飼うということは難しい。しかし動物ロボットが実現する日は近いのではないか』ということでした。ロボットを飼うという感覚がまだ一般的ではないですが、感情が生まれたり言語がわかったりするようになると一般的なものになっていくでしょう。
Festo社は動物ロボットの一般向けの販売を2014年現在おこなっていませんが、今後価格が安く、量産もできるとなれば十分に可能性はあると思います。特にカンガルーのような見た目も可愛らしく、言う事も聞くロボットに感情がつけば十分ペットとして愛情を注ぐことができそうです。
販売された暁には、みなさんも家族の一員として動物ロボットを検討してみてはいかがでしょうか?
Festo社は今回紹介したロボット以外にも様々なロボットを作っています。
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望月 亮輔1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。