どうなる?介護ロボットの将来。
より安く、より小さく。
いま、介護ロボットに注目が集まっています。高齢化でニーズが高まる中、国内での開発が進んでおり、これから本格的な普及が進んでいくようです。
2015年に介護ロボットが介護保険の対象に入ることもあり、近いうちに20億円を超える市場になると予想されています。
介護ロボットにも様々なタイプがあり、入浴や排泄などの支援をおこなう『介護支援型』と言われるタイプや、歩行やリハビリ、食事や読書などを支援する『自立支援型ロボット』、そして見守り・ダンス・レクリエーションを提供するコミュニケーション・セキュリティ型と呼ばれるタイプが登場しています。
それでは、介護の現場で活躍している主なロボットをご紹介していきましょう。
介護支援ロボット「RIBA(リーバ)Ⅱ」
理研と東海ゴムが共同開発したRIBAⅡは世界初の人間を抱き上げるロボット。白クマ風のデザインがキュートです。
「RIBAⅡ」の前身である「RIBA」が開発されたのが2009年、その2年後の2011年に本機が発表されました。
長い腕がやさしく人を抱き上げ、ベッドから車椅子への移動をサポートしてくれます。
前作に比べて抱き上げる力が30%増えて80Kgまで強くなった他、触覚によるロボット操作や被介護者の体重検知、前後屈曲関節などの新機構を導入することで、介護施設で最も重労働と言われている、床上で寝た状態の人を抱き上げて車いすへ移乗させることを可能にしています。
また床にテープなどで引いたラインに沿って自動走行する機能や、人や障害物にぶつからないように走行する機能など、介護施設への本格導入を考えた機能が盛り込まれています。
介護する側にとっても、してもらう側にとっても心の負担が軽くなりますね。
RIBAⅡは来年2015年の量産化に向け、現在開発が進められています。気になる方は公式HPをご確認ください。
コミュニケーション支援ロボット「PaPeRo(パペロ)」
小型ロボットのPaPeRoはMWC(モバイル・ワールド・コングレス)など、国内外問わず様々な展示会に出展され、多くの人気を集めています。
「PaPeRo」は今年ソフトバンクから発表された「Pepper」のようにコミュニケーションを目的としたロボットですが、寝たきりのご老人やベッド脇にも置けるように小型に設計されているところがひとつの特徴です。
開発元であるNECはクラウド連携型のロボットプラットフォームを開発者向けに提供しており、PaPeRoのアプリケーションの開発者を幅広く募っています。(2014年11月現在は応募多数により新規開発パートナーの募集を停止中)
PaPeRoは会話はもちろん、歌やダンス、クイズやおみくじで楽しませてくれる他、専用のエディタを使うことで様々な動きをプログラミングすることが可能です。
秋葉原にあるNECのショールーム『クラサバ市場』にてPaPeRoが展示されているとのことなので、ご興味がある方は一度出向いてみてはいかがでしょうか?
「PaPeRo」公式ホームページ
介護ロボットの今後の課題は?
パナソニックが開発してきた「ロボティックベッド」が、今年2014年「リショーネ」として実用化されました。長年の介護用ベッド研究がついに実を結んだ形ですが、以前に変身型のロボットとして紹介されていた未来的な雰囲気は消え、色もデザインも実用的なものに落ち着いています。
介護用ロボが普及するには、サイズをより小さめに、販売価格をより低めにするのが大きな課題だそうです。介護の現場に導入しやすい路線を狙った結果、夢のあるデザインが犠牲になってしまうのは、ちょっぴり寂しいですけどね。
ABOUT THE AUTHOR /
望月 亮輔1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。