商品を運び、人の命も救う。「無人飛行機」の未来とは
ドローンが人々の生活を変える
近年、めざましい発展を遂げた物の一つに「無人飛行機」があります。
無人航空機は、UAV、ドローン、マルチコプターなど、その用途、形状に合わせて様々な名前で呼ばれます。少し前は軍用の技術でしたが、現在一般にも広く普及し、活躍し始めています。
最近ニュースでも目にする機会の増えた、これらの新しいテクノロジー。広まった先にどのような未来が待っているのでしょうか?
ドローンと流通の変化
ドローンとは、人の操作なしに自立して飛行する無人飛行機のことで、軍事利用がされている他、国境警備、消火活動、農業支援にも用いられています。
ECサービスでお馴染みの「Amazon」は、そのドローンを使って流通に革命を起こそうとしています。
例えば今後、こんなことが起きるかもしれません。
とある深夜、どうしても読みたい本が…!
でも近所の書店は既に閉まっている…。
ただ、「どうしてもすぐに読みたい!」
近い将来、こんなときに使われるのが、「Amazon Prime Air」です。
「Amazon Prime Air」は、ドローンを活用した無人の配送サービスで、Amazon社が独自に開発したドローンに配達物を搭載し、ネットでの注文から数分以内に配送、30分以内の到着を目指しています。
Amazonはすでに配達用ドローンのテスト飛行を行っており、試作機は第8世代まで開発されていることが判明しています。
およそ時速80kmで飛行し、重さ5ポンド(約2.3kg)の荷物を運ぶことが可能。アメリカ国内では、最も早くて2015年、遅くとも4〜5年以内には実現すると言われています。
一方日本は住宅密集地が多い為、今のドローンのGPS精度では配達住所を間違えてしまう可能性があります。普及はアメリカや中国に比べると、少し先の話かもしれません。
UAVと撮影スタイルの変化
「UAV(Unmanned Aerial Vehicle)」とはラジコンのように人が操作している無人機のことです。
ドローンとの違いは、人が操作しているか否か、という点です。
そんな、人が操作する無人機「UAV」の中でも、最近特に普及しているのがマルチコプターです。
マルチコプターとは一つの機体に多数のプロペラが付いたもので、一般的なものはプロペラが4枚(クアッドコプター)、中にはプロペラが6枚のヘキサコプターという物もあります。マルチコプターの一番の利点は「安定して空中を飛ぶことが出来る」ことです。
その利点を活かして、空中からの撮影によく用いられます。
今までも、ヘリコプターや飛行機のラジコンにカメラを装着し、上空から撮影する方法がありましたが、安定した撮影ができないことや、ホバリング(空中で同じ場所に静止する飛行方法)が難しいなどの問題がありました。その問題をクアッドコプターは解決したのです。プロペラの回転数を調節することで、姿勢や飛行速度を調節します。最近では、GPSやカメラ、距離センサを内蔵し、指定したルートを自動で飛行したり、特定の人や物を追いかけながら撮影したりすることも可能となりました。
このマルチコプターを用いると、普段人が見ることのできない景色を撮影することができます。それを利用したのが「Blue Sky Pano」です。
最近、Googleのストリートビューなど、360°見渡すことのできるパノラマ画像がありますが、Blue Sky Panoは普段なら見ることのできない空中からの景色をその360°パノラマ画像で見ることができるのです。実際のパノラマ画像はサービス提供元のブルーイノベーション株式会社のサイト内から見ることができます。
ブルーイノベーション株式会社 – 360度パノラマサイト Blue Sky Pano
http://uav.jp/blueskypano/
こう見ると、とても高価そうに見えるクアッドコプター。実は、私たちも簡単に購入できるかもしれません。
上の動画は、「ZANO」という自立型クアッドコプター型のドローンです。
Kickstarterで脚光を浴びたこのドローンは、先日ラスベガスで開催された世界最大の家電見本市、CES 2015でも注目を集めました。
3万円台のこの機体には多くのセンサが搭載されており、スマートフォンで操作することはもちろん、自転車を後ろから追尾しながら撮影することさえ出来ます。飛行可能時間は15分と、この種のラジコンと比べても長めです。
今後、ZANOのような安価で高性能な製品は多数登場するのでしょう。
無人飛行機の今後
過去には軍用に用いられていたドローン。
そのドローンで今、人を救うための計画が進んでいます。
それは「AED(自動体外式除細動器)」を運ばせるという計画です。
Ambulance Droneは半径約12kmのエリア内で心停止を起こした患者に対して1分以内に自動体外式除細動器(AED)を運ぶことができます。これによって患者の生存率は飛躍的に伸びます。
緊急連絡とほぼ同時に発進、到着後は本体にスピーカーが内蔵されているので、ハンズフリーで指示を受けながらAEDを操作することができるのです。
このように未来が期待されるドローン、今後ますます普及していきそうですが、アメリカ国内ではドローンの飛行に免許が必要になってくるかもしれません。
確かにその機動性の良さから、迷惑行為に発展した例も最近よく耳にします。技術の革新とともに、それを使う人のモラルも問われてきているのです。
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望月 亮輔1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。