IBMのWatson(ワトソン)について調べてみた(中編)

先日、ソフトバンクテレコムと提携し注目を集めている IBM のワトソンについて調べてみました。(前編をお読みになっていない方は、先に前編をご覧ください)

ワトソンは、コンピューターの進化の中で第三世代の「コグニティブ・コンピューティング」で自らが考えるコンピュータと位置付けられています。(ちなみに、コグニティブ(cognitive)は「認識の、経験的知識に基づく」という意味の英単語です)

コンピューターの進化は大きく3つの世代に分けられます。第一世代は計算を行う計算機としてのコンピューター、第二世代はプログラム可能なコンピューターで現在私たちの使っているコンピューターのことです。

ワトソンは第三世代の「論理的に思考するコンピューター」として注目されています。

その中身はどうなっているのでしょうか?

まずは、人間がはなす言葉をそのまま読み取る機能です。普段、人がしゃべる言葉は論理的とは限りませんので、ワトソンがその質問の内容を解析します。

質問内容を把握した後、回答にたどり着くために複数の仮説を組み立て、そこから複数の回答を導き出します。ある質問に対して3つの仮説を立て、それぞれの仮説ごとに10個の回答を導き出したら、回答は30個になります。

それぞれの回答に「どれくらいの信頼度があるか」と、「答えを導き出した経路」も付け足して、最終的に人間に提示します。

人間は提示された回答を見て、ワトソンの信頼度の高い回答が正解ならそれでいいし、信頼度の低い回答が正解ならそれをワトソンに伝える。そうすることで、間違えたということを把握し、次回から同じ間違えをしないよう学習していきます。

ワトソン自身が仮説を立て、その仮説に沿った回答が正解なら、ワトソンは成功から1つ学びます。一方、ワトソンが出した複数の回答が全て間違えの時、人間はワトソンの仮説を確認してどういう経路で間違えたのかを指摘することができます。間違いを指摘することでワトソンは失敗からも1つ学びます。

成功からでも失敗からでも、経験を積み重ねることによってどんどん賢くなっていき、回答の精度が上がっていくのがワトソンの特徴です。

長くなりましたので、後編に続きます。

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北構 武憲

本業はコミュニケーションロボットやVUI(Voice User Interface)デバイスに関するコンサルティング。主にハッカソン・アイデアソンやロボットが導入された現場への取材を行います。コミュニケーションロボットやVUIデバイスなどがどのように社会に浸透していくかに注目しています。

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