トヨタの会話ロボット「KIROBO mini」(キロボ ミニ)の秘密 ~じっくり見てきた~特長としくみ、技術仕様のまとめ

CEATEC 2016では大きな話題をさらったトヨタ自動車(以下トヨタ)の会話ロボット「KIROBO mini」(キロボ ミニ)、皆さんは会場で見たり話したりしましたか?

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CEATEC開幕の前日にトヨタ自動車はKIROBO miniの先行発売を発表。東京と愛知の一部販売店で、価格は39,800円(税別)

CEATECのトヨタブースでは、個室でKIROBO miniとの会話を体験できるコーナーが用意されていました。会場は雑音が多いので静かな個室での環境が必要だったわけですね。もちろんその体験個室コーナー、ロボスタ編集部でもガッツリと体験してきました。

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エアコンがきいた小さな部屋でKIROBO miniと面会。まずは会話するためのコツが書かれたシートに目を通す

もちろんジロジロ見て、いろいろ話して、ちょっと触って、KIROBO miniの特長や秘密を聞いてきましたよ!!

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KIROBO miniとは

そもそも「KIROBO mini」ってどんなロボット?
ってところからですが、なぜトヨタが会話ロボットを開発したのか、それについては「トヨタのロボット「KIROBO mini」 開発責任者が語る開発コンセプト」の記事をご覧ください。

KIROBO miniの身長(座高)は10cm、すごく小さい手のひらサイズです。座った状態なのでトヨタの仕様書では「座高」と表現しています。立ったり歩いたりはできません。体重は183gで、大きさも重さもとてもコンパクトです。

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顔の角度によって表情が変わって見えるデザイン

KIROBO mini用のチャイルドシートもオプション販売される予定で、クルマで一緒に出かけるのも楽しそうです。これがシャイルドシートに座った画像。
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急ブレーキをかけたときは「あわわわわ、ビックリした!!」と言ったり、降車するときに「置いていかないで!!」と言ったりもします。



いきなりですが、KIROBO miniのお尻の秘密

実はKIROBO miniのお尻は平らではありません。お尻はわずかに丸く突き出ていて(Rがついていて)、大袈裟に言うとヤジロベエのように、座っているのに不安定に揺れます。

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脚にはサーボがないので、いつもブラブラしている状態・・ちょっと失礼してお尻を見せて(ごめんね)

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お尻は平らではなく、丸く隆起している

KIROBO miniが手を動かしてパタパタすると、お尻から身体ごとユラユラ、モゾモゾと揺れるので、それが可愛い動きや表現に加わっています。




人と自然に通じ合える秘密

KIROBO miniは首と手を動かして、とっても可愛い仕草をします。
それが人と自然に通じ合える秘密かもしれません。ちょっと詳しく見てみましょう。

まず、KIROBO miniは会話している人の方向に顔を向けて、ある程度、顔を追従することができます。人と話しをするときは相手の顔を見るのが基本ですが、KIROBO miniはそこをちゃんと解っているんですね。

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目を合わせて話したり、顔を追従して顔の向きを変えてくれるとなんだか嬉しい

■ 顔を見て話す

■ 話者の顔を追従する

更に自分の感情も理解してくれます。笑顔や落ち込んでいる顔を認識して、話しかけてくれる・・これもコミュニケーションパートナーの大切な要素ですね。

■ 表情認識・感情推定

一度話した内容をロボットが覚えていてくれるとなんだか嬉しいものですが、KIROBO miniにはココロ辞書発話がその役割を担う機能です。オムライスの感想を覚えたKIROBO miniは、次回オムライスの話題が出たときに、そのときの感想を引き合いに出します。これは嬉しい。

■ ココロ辞書発話

■ 「好き嫌い」を記憶



注目はまばたきとトヨタのロゴマークの秘密

KIROBO miniの注目は、まばたきとトヨタのロゴマークの秘密!!

目の周囲でLEDが光っていますがこのカラーは単色で、マナーモードのときは消えます。

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目の周りと胸のトヨタのロゴマークが消えた状態(クチだけ光っている)

通常時は目の周りの光で瞬きをします。
ロボットだけど、そのときの気分があって、目や仕草に現れます。
目の上部の半円が光っているときは・・笑顔なんです(^^)!! もちろん、笑顔のときは機嫌がいいとき。
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目のLEDが半円なのは笑顔のとき・・「あっ、笑ってる」・・そう思うといっそう可愛いく見える

また胸にあるトヨタのマークが光っていますが、よ~く見るとこれは点滅したりして、心臓の鼓動を表現しています。ココロが通っていることを示すものでもあります。実際はスマートフォンとのBluetooth通信の状態と連携しています。

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キロボ、名前の理由

ちなみに、KIROBO miniの原型となった「KIROBO」(キロボ)は東京大学、ロボットクリエイターの高橋智隆氏、トヨタ、電通が中心となり、世界初のロボット宇宙飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)に送り届けようという「きぼうロボットプロジェクト」から命名されました。

そんなこともあり、KIROBO miniに「何が好き?」と聞くと「宇宙が好きだよ」と答え、「誰が好き?」と聞くと「若田さんだよ」(宇宙飛行士の若田光一氏)って答えてくれました。好きな車は「プリウス」だそうです。
なお、KIROBO miniには実はもうひとり、好きな人がいるんです。それも女性・・意中の女性をここで大声でバラすのも気が引けるので・・ロボスタのメルマガ(10/10の週に発行するすべての号)の編集後記でこっそり皆さんに教えますね。(その女性が好きな理由までは聞けませんでした:ちなみにKIROBO miniの性別は一応、中性ってことになっています)

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技術的な話をちょこっと

KIROBO miniの可愛い動きを支えている技術を(解っている範囲内で)ご紹介します。



会話のしくみ

KIROBO miniと言えば、なんといっても注目なのは会話機能。
音声認識エンジンはフュートレック社のものを使用し、対話エンジンは独自開発となっています。決められたシナリオは用意されてなく、質問に対しては都度、回答が変わることもあり、そこが魅力でもあります。

すべての会話ロボットに共通して言えることですが、会話を続けていくにはコツがあります。会話の中でKIROBO miniに話すタイミングは「ピコッ」と音を出してから・・が良いようです。

話すときに「うん!」とか「ふんふん」とか言ってから、話す傾向にあります。それは相づちをうつ間を含めて考える時間が必要なときで、「うん」と言ってから少し考えるので待ってあげましょう。

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KIROBO miniに話しかけるとまずは「うん」とか「ふんふん」と相づち。この間にスマートフォンを通じてネットのクラウドにアクセスして・・・

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クラウドからの情報でKIROBO miniが返答する。その際の仕草や動きがとても可愛い(最初の設定では5歳児くらいの知能)

ちなみに「今日の天気は?」と聞くと、「うん!」と言った後、「窓を開けて外を見てみよう!」と答えてくれました。

要するにスマートフォンの機能的なものを期待すべきではない、ということなんですね。もしも人間社会で友達に対していきなり「今日の天気は?」って聞いたら「こっちはスマホかよっ」って答えられるのがオチですからね。

なお、「それは言い質問だね」とKIROBO miniが答えたときは、質問がかわされたということ・・。


会話の処理はすべてクラウドで行う

KIROBO miniの会話はすべてクラウドで行っています。スマホのアプリを経由してクラウドと通信するので、KIROBO miniとの会話には必ずスマートフォンが必要です。逆に言えば、いつも使っているスマートフォンがあれば、KIROBO miniは屋外に連れて行っても会話することができます。
ちなみにスマートフォンとKIROBO miniはBluetoothで接続しています。



その他の秘密

KIROBO miniにはサーボモータがいくつ内蔵されていて、自由度はいくつなんて話はあえてしないようにしてきましたが、それでも知りたい人へ・・左右の手が独立して稼働し、首(頭)は上下左右に動きます。

会話ロボットなのでマイクとカメラは搭載していますが、それ以外のセンサーはありません。

生産はVAIOが担当するため、KIROBO miniの故郷は長野県の安曇野ということです。

以前に来たことがある場所を訪れると「ココには来たことがあるよね」と言います。これはスマートフォンのGPSと連携して実現しています。

バッテリーの持ち時間の目安は、充電時間が約3時間に対して、連続コミュニケーション可能時間が約2.5時間と発表されています。

ロボスタ的にまとめた、KIROBO miniの特長と秘密でした!!
役に立ったなら友達にもこのページを教えてあげてね。
KIROBO mini、今から発売が待ち遠しいですね!!




関連サイト
KIROBO mini公式ページ

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ロボスタ編集部

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