【神崎洋治のロボットの衝撃 vol.39】 IBM Watsonのソリューションと予算感がわかる、ソフトバンクがエコシステムパートナーと提供する「ソリューションパッケージ」とは

AI関連技術がさまざまな分野で注目を浴びています。その中でも高い技術力で注目されているのが「IBM Watson日本語版」(以下、Watsonと表記)です(IBMではWatsonを”コグニティブ・サービス”と呼んでいます)。

日本IBMと提携してWatsonの開発販売を行うソフトバンクは、Watsonを活用したシステムやサービスを開発する企業とエコシステムパートナー契約を結んで「IBM Watson エコシステムプログラム」を推進、Watsonビジネスの拡大をすすめています。

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更に2016年10月31日から、エコシステムパートナーが開発したサービスを「ソリューションパッケージ」としてラインアップし、販売や訴求の支援を行っていくことを発表しました。

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ソフトバンクはWatson日本語版のエコシステムプログラムを実施、パートナーが開発したソリューションの販売支援を行なっている。現在は4つのパッケージをラインアップ。チャットボットが2つ、受付・接客システムとメール応対支援システムがある




業務と予算感が明確になったソリューションパッケージ

Watsonは「幅広い分野の業務向けにどのようにも開発が可能」とよく言われていますが、言い換えればそれは「具体的にどんな業務に利用できるのかイメージしづらい、予算感もわかりにくい」という面があります。

ソフトバンクが発表した「ソリューションパッケージ」は、各パートナーが得意な分野に特化して開発したWatson連携システムをパッケージ化したものです。具体的な活用方法を明示し、予算も比較的はっきりと提示することで、それぞれがどのようなソリューションなのか理解しやすくなっています。検討する企業にとっては、自社が抱えている課題や効率化したい業務にあわせて、パッケージを選択して、検討したり問い合わせをすることができます。

例えば、「ソリューションパッケージ」としてラインアップされている「hitTO(ヒット)」(株式会社ジェナ)は「チャットボット」に分類されるソリューションです。

チャットボットとはユーザーの質問にコンピュータが自動応答することを目指すQ&Aサービスのソリューションです。「自社のウェブサイトやオウンドメディアに24時間対応のQ&Aサービスを設置したい」「できればWatsonのように学習と経験によって成長していくシステムが欲しい」と考えている企業は、チャットボットのソリューションパッケージから検討することがシステム導入や検討の近道ということになります。

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チャットボット「hitTO(ヒット)」(株式会社ジェナ)の画面例。「ジェナってどんな会社?」というユーザーからの質問に対して、hitTOが会社の情報を回答しているところ(Webページに設置した例)

チャットボットにはジェナのhitTOのほかに、木村情報技術の「AI-Q(アイキュー)」もラインアップされているので、ユーザーは自社が求めているサービスや機能がどちらに近いか、予算やサポート体制なども比較して導入を検討することができます。

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木村情報技術の「AI-Q」ソリューションの解説。社内利用を想定したQ&Aサービスだ




ソリューションは現在4種類

2017年1月時点で、下記の4つのソリューションがラインアップされています。

チャットボット
「hitTO(ヒット)」(株式会社ジェナ)
「AI-Q(アイキュー)」(木村情報技術株式会社)

電子メールのオペレータ支援/効率化
「テクノマーク クラウド+」(NTTデータ先端技術株式会社)

受付や顧客案内
「eレセプションマネージャー for Guide」(ソフトブレーン株式会社)

「電子メールのオペレータ支援」とは、電子メールでのユーザーからの問合わせに対して、コンピュータが最適な回答の候補を提示するシステムです。オペレータの回答作業にかかる所要時間の短縮化や効率化が期待できるソリューションです。

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メールでの問合わせに対して、最適な回答をWatsonが提示して支援(テクノマーク クラウド+)

「受付や顧客案内」には様々な形態がありますが、「eレセプションマネージャー for Guide」の場合、Watsonと連携したPepperを使ったソリューションパッケージです。企業の受付を行ったり、ショッピングモールやイベント会場の案内役をロボットが行うシステムを構築することができます。その場合でもWatsonと連携しているので会話や案内の精度が高いことが特長です。

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Pepperを通して顧客からの質問をWatsonが聞き取り、用件を確認して、画像と音声で案内して、担当者に通知(eレセプションマネージャー for Guide)




各ソリューションのプレゼンとデモをレポート

具体的にこれらの製品にはどのような特長があり、どのように導入するのか、予算はいくらかかるのかなどが気になるところです。

ロボスタでは特別にソフトバンクの協力を得て、この4社のソリューションパッケージのプレゼンテーションとデモを見せてもらう機会を得ましたので、次回よりひとつずつ詳しく紹介していきます。

まずはチャットボット「hitTO」から紹介しましょう。

Watsonと連携したチャットボット「hitTO(ヒット)」の特長と具体例 ~ウェブ、スマホアプリ、LINE等に対応」につづく。

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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