女性客が6割! オリエント工業40周年記念展「今と昔の愛人形」で感じた「不気味の谷」が潜む場所 - (page 2)

めったに見られない製造工程の写真の展示も

会場奥には、ラブドールの製造工程を示した写真や、顔が出来上がるまでの工程が展示されていました。以下の写真が顔を作る工程なのですが、工程を進むにつれて人間のようになっていく様子がわかります。単なるドールの制作ではなく、命を吹き込む職人たちの技術を感じることができます。






実際の工程はさらに細かいはず。これらのドールは全て職人さんたちの手作業で作られているといいます。






展示の中には、音声が出るものも


展示の中にあったバニーガールの衣装を着た作品は、音声が出るような仕組みになっていました。構造は当サイトの性質上あまり詳しくは書けないのですが、タッチセンサーのようなものを備えていて、音声と連動しているようでした。

音声といっても、音声合成をしている訳ではなく、ただMP3ファイルを再生しているといったものです。



オリエント工業の先に見る、不気味の谷のありか


しかし、例えばこのドールが音声合成で喋るとしたら、私たちはどのように感じるのでしょうか。違和感をなくすためには、まず口元を動かす必要があるでしょう。そしてその動かし方は非常にセンシティブで、例えば口の動きと音声のタイミングが連動していなければ、人間に似ている分、私たちはさらなる奇妙さを感じるのかもしれません。



さらに、オリエント工業のラブドールは、手足の関節を人間と同じような可動範囲で動かすことができます。もちろん今は自動ではないので人間が動かす必要がありますが、もしこれらが自律的に動くようになったらどのように感じるでしょうか。



不気味の谷という現象は、人間でないものが人間に近づきすぎると、とある段階で私たちが奇妙さや恐怖を感じるという現象です。

そして、その谷の深さや勾配は、「動くもの」か「動かないもの」かで違うといいます。動かない中での人間への近しさは、オリエント工業のそれは既に不気味の谷を超えていることでしょう。

しかし、これらが動き出したとき、そこで私たちは再び不気味の谷を体感するのかもしれません。


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望月 亮輔

1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。

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