「人工知能、ロボット、人の心(湯川鶴章著)」の出版記念講演会に行ってきました。
TheWave湯川塾を主催されている湯川鶴章さんによる講演会で、電子書籍「人工知能、ロボット、人の心」の出版を記念した講演会でした。
Peatix / 湯川鶴章著「人工知能、ロボット、人の心」出版記念講演会
講演者は筆者の湯川鶴章さんと、ソフトバンクロボティクス Pepper事業責任者の林要さんのお二人。
前半は湯川さん自らが当日出版ほやほやの書籍を解説いただくというもの。
ここ数年での人工知能(AI)研究が急激に発展したことについては印象的で、湯川さんによるディープラーニングについての解説が興味深かったです。
2012年にGoogle発表したAI研究が、YouTubeから抽出した大量の画像をAI自らが学習過程を経て「猫」という画像を認識するようになったというもの。
これはAI自体が学習を行うそうで、具体的には、最初は画像の線だけを認識、次に線によってどういう要素になっているか、そしてその要素はどういう形状となっているか、といくつかの段階を経て画像の精度を向上させます。この段階のことを「層」と呼び、現在の AI は学習を積み重ねるときに、層を何層にも重ねて判断を行うそうです。
子供が学習を行う同じプロセスをAIにさせているようなものです。
(参考)Googleの猫認識 (Deep Learning)
2012年に発表した猫の画像認識から進化し、現在 Google では家族写真までの認識が可能になったそうです。そして、画像を見たときに人間がつけるキャプションと、Googleがプログラムでつけるキャプションが、ほぼ同じレベルにまで進化しているそうです。すごいなー。
後半は、ソフトバンクロボティクス Pepper事業責任者である林要さんのご講演。
現在、Pepper事業に関わって3年目だそうで、元々は自動車メーカーでエンジニアをされていたそうです。
2月発売予定の Pepper の198,000円について林さん曰く、ハードウェア的には安い価格、ロボットをばらせばばらすほど、この価格が安いと感じられると思います、とのこと。
今家庭用ロボットを触ったことのある人はほとんどいないので、ロボットとの接し方に慣れている人もまだほとんどいない。もしかしたら、ロボットが暴走して事故を起こす可能性もゼロとは言えない。こういう理由からハードウェア的にはリッチにつくっているそうです。
開発チームは男性主体だったので女性に受け入れられるか不安だったそうなのですが、実際にソフトバンクショップの店頭でお披露目したアンケートを見たら、男性よりも女性から高評価を頂いたそうです。
出来る限り人間がリラックスしてくれる形状を目指してつくったそうで、それが女性から高評価だったのかもしれません。
他にも、ディープブルー(チェス対戦用ソフト)とボナンザ(将棋対戦用ソフト)との比較、人間ロボットの設計、Pepper が中性的なデザインの理由、開発時の苦労話、人間の表情を認識する方法、ロボットアプリ作成の楽しさと難しさ等についてのお話も。
林さんのお話は、数日前に「第1回 Pepper Pioneer Club Meetup」でお伺いしたのですが、今回は更に密度の濃いお話の連続で、ワクワクしっぱなしの1時間でした。
(参考)「第1回 Pepper Pioneer Club Meetup」参加レポート
最後に林さんが仰ってた、「Pepper は【感情認識パーソナルロボット】としていて、パーソナルの単語が入っているのは、パソコンのように一家に一台になって欲しいから」というのが印象に残りました。
僕も近い将来、ロボットが一家に一台の時代がやってくると思ってます。
現在、ロボットスタートでも開発用Pepperが当選して手続き中なので、いち早くパーソナルロボットのいる生活を楽しんでみたいと思います。
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北構 武憲本業はコミュニケーションロボットやVUI(Voice User Interface)デバイスに関するコンサルティング。主にハッカソン・アイデアソンやロボットが導入された現場への取材を行います。コミュニケーションロボットやVUIデバイスなどがどのように社会に浸透していくかに注目しています。