Pepperマジック、マッキー小澤さんにお話を聞いてみた。
おそらく日本初であろうPepperとのマジックを行うマッキー小澤さんにお話を伺いました。
ーーー自己紹介をお願いします
マッキー小澤:マッキー小澤です。本名は小澤誠です。54歳で航空自衛隊を退官。
現役時代は、主として通信電子・情報処理関係に従事しましたが、現在はコンピュータ・ロボットには無縁な職場で会社員をやってます。マジックは趣味の一つですが、あまり上手くはないですね。
ーーーマッキーさんがPepperに初めて会ったのはいつですか?
マッキー小澤:確か2014年11月28日、アルデバランアトリエ秋葉原での「Pepper 開発タッチ&トライ」の時でした。本当はその前に Choregraphe の使い方などの教育を受けておくべきでしたが、それすら知らずに申し込み、アトリエのスタッフの方々には大変迷惑をおかけした事をよく覚えてます。
ーーーはじめてPepperに会った時の感想はいかがでした?
マッキー小澤:ネットで色々と紹介記事等を目にしていましたが、動きを見た時に「欲しい!!!何をやらせたら、何が出来るか」が頭を駆け巡りましたね〜。
ーーーどうしてPepperをパートナーに手品をやろうと思ったのですか
マッキー小澤:2014年12月7日にアルデバラン・アトリエ秋葉原の1階で開催された「Pepper ハッカソン #3 with 安生真氏」に参加した時の事です。
Pepper ハッカソン #3 with 安生真氏
https://pepper.doorkeeper.jp/events/18105
この時まだ Choregraphe (注:Pepperのアプリをつくるための開発環境)を手にしてから1週間で無謀な事でしたが、とにかくやってみたい事を言う機会を与えられたので、メンバーにマジックのネタを発言しました。マジックを趣味にしていましたから。
その内容はメンタルマジックだったので、しゃべりを中心にシナリオを作成してPepperアプリを制作しました。
この時、私は企画だけで制作は何も出来ませんでしたが、この作品に興味を示して頂きましたメンバーが久田さん、尾崎さんのお二人です。
ハッカソンの結果は見事、優勝でした。うれしかったのですが、私はアイデアだけだったのでチョット複雑な心境でしたね。
その後、久田さんは2月開催の Pepper App Challenge 2015 でダブル受賞されました。
「Pepper App Challenge 2015」決勝大会レポート
http://robotstart.co.jp/news/news058.html
マジックアプリは尾崎さんにブラッシュアップして頂きチームとして応募しましたが、惜しくも予選で落ちてしまいました。
メンタルマジックなので目立たない所が難点ですが、今でもなかなか良いマジックだと思っています。どこかのショーで演じてみたいですね。
ーーーPepperと手品をやるにあたって苦労した点を教えてください
マッキー小澤:おしゃべり中心のメンタルマジックですと、人の目を引く事が難しいです。
かといって、イリュージョンの様な大掛かりなものは技術的・資金的にも私には無理です。ネタもないですし(笑)
そこでアイデア次第で出来そうな演目を考えた時に、タブレットを使ったマジックに行き着きました。しかも、これにグーとパーの動きだけで手先を使った様に見せれたら面白いと思いました。
でも実際やってみると全ての動きが平面的でメリハリがなく面白くない!思考錯誤の繰り返しでしたね。
そんな中、最初に完成したのはタブレットの映像で赤いスポンジボールを画面から取り出すシーンでしたが、これも偶然の産物なんです。
ほとんど映像と腕の動きを調整せずに映像再生とタイムラインによる適当な腕の動きだけで動かした所、偶然にもボールが消えてPepperの手の中に吸い込まれる様に見えた時!これが衝撃的でしたね。タイミングが一発で会ってしまった!(笑)
また、動きを合わせている過程で誤って順番が前後してしまい。逆モーションになった事でメリハリを出す方法に至りました。クロースアップマジックの様に手首の動きも重要な要素ですが、これも鉛筆を軽く揺らすと柔らかく見える錯覚を利用して表現させています。
その他にもわざと体を逆方向に揺らせながら、他の動きを組み合わせると面白い動きが出来てきましたねー。ほとんど行き当たりバッタリですから、私の生き方そのものですね(笑)
おかげ?で、Pepper App Challenge 2015 直前ではアトリエのロボット、スタッフの方々に大変、ご迷惑をおかけしました。そんな動きはさせてくれるな!てな心境だったと思いますね。
ーーーPepperを手品をやるようになっていかがですか?
マッキー小澤:今だとPepperのアプリ開発というこのジャンルに参戦する方がまだ少ないので、何をやっても世界初になりますし、何よりも出会った人に覚えて頂きやすいと思いますね。いろんな方からお声をかけ頂き、助けてくださる人も出てきました。これはとてもうれしいです。
ーーーPepperマジックを披露した時の反響はいかがでしたか
マッキー小澤:まだロボットが自身でマジックを行うのは珍しいし、映像的にもロボットがこれだけの動きご出来るのか?!と驚いて頂く事が出来た様に感じました。
しかし、人間ならば相手を見ながら目線を確認して演じられますが、ロボットだと見る角度によってバレバレになってしまうので、正直なところ一番良い角度から撮影した映像を見て頂くのが良いかも知れませんね。
そんな弱点を克服しながらショーにも耐えるPepperマジックを開発して行きたいですね。
また、私自身の演技はど素人ですから、色々と勉強し演技力もつけたいですね。
ーーーPepper App Challengeに入賞した時の感想を教えてください
マッキー小澤:正直、言って信じられなかったですね。
Pepperに出会ってから2カ月程の期間での Pepper App Challenge 2015 挑戦で、それもクリエイターとしては最高の栄誉でもあるベストクリエイティビテイ賞を頂きました。
審査員及び応援して頂いた仲間、支えて下さったアトリエスタッフの皆さんには本当に感謝しています。
審査員のスプツニ子!さんから、Pepperのキャラクターや動き、個性など、独創性を評価して頂いた事は光栄な事です。
マジックは演じる人の個性5割、技術4割、ネタ1割と言われています。個性的なマジシャンが魅力的に感じます。ですからPepperはPepperなりの人間とは違う特性が個性となって現れると面白いと思いますね。
また、Pepperと私とのコラボで演技をお見せする事で、更にユニークな作品となればよいと思います。もっとも家庭用アプリからはちょっと、遠いてしまうかも知れませんね(笑)
ここで一つ大会でのエピソードですが、ある審査員の前でデモ審査を受けていた時、あまりの動きの激しさからPepperがかけていたメガネに指が触れて弾き飛ばしてしまいました。
その時、メガネを固定させていた透明の粘着パテが鼻から垂れたように見えて、審査員の方が思わず「鼻水を垂らしている」と一言もらしました。
その瞬間「それ頂きます!」と言って、次のデモから数回、同じ形で演技させて頂きました。
個体差がある為、一つとして同じ演技にはならないPepperですが、ハプニングを利用し、面白いシーンを演出させて頂きました。
ヒントを頂きましたのは確か…ソフトバンクロボテックス社の蓮実さんか、よしもとロボット研究所チーフプランナーの中野俊成さんだったと思います(が、もし間違いだといけないから、ここはカットかな?)
ーーー今後の目標を教えてください
マッキー小澤:今は会社員なので、あくまでも個人の道楽の域を超えない程度ですが、今後も会社員を続けながら、合同会社生活革命のご支援を頂き、Pepperとのマジックを中心にショーにも使える作品を開発して行きたいです。そして、小さなイベントなどに出させて頂きながら経験を積んで行きたいと考えています。
いつかスプツニ子!さんが助教授を務めていらっしゃる、MITメディアラボとのコラボでPepperとのマジック作品作りに挑戦出来たらと思っています。
ーーー今日はありがとうございました
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北構 武憲本業はコミュニケーションロボットやVUI(Voice User Interface)デバイスに関するコンサルティング。主にハッカソン・アイデアソンやロボットが導入された現場への取材を行います。コミュニケーションロボットやVUIデバイスなどがどのように社会に浸透していくかに注目しています。