「エンタメアプリ開発 Pepperハッカソン(ゲスト:安生真さん)」に行ってきました。 #pac2015w
10月12日(月・祝)にアトリエ秋葉原で開催された「毎日が楽しくなるPepperアプリを作ってみよう! エンタメアプリ開発 ハッカソン」に行ってきました。
今回は「Pepper App Challenge 2015 Winter(以下、pac2015w)」への参加を考えている方を対象としたハッカソンの第5弾。
「Pepper App Challenge 2015 Winter」&「Pepper Innovation Challenge 2015」
http://www.softbank.jp/robot/special/app-challenge/
部門賞の1つでもある「エンターテイメント」をテーマに、毎日が楽しくなるPepperアプリを作ってみるというものです。
今回は安生真さんがゲストとしてハッカソンに参加。Androidのエキスパートとして活躍されていると共に、前回のPepper App Challengeの審査員でもありました。
「Pepper App Challenge 2015」決勝大会レポート
http://robotstart.co.jp/news/news058.html
成果アプリのコメンテーターとして参加されます。
会場はおなじみのアルデバラン・アトリエ秋葉原。一部ではPepper開発の聖地と呼ばれています。
Pepper App Challenge 2015 Winterに向けて、いろいろなアイデアソン・ハッカソンが続きます。コンテスト応募締め切りまで、(10月12日時点で)残り19日です。
参加登録は、アトリエ秋葉原のDoorkeeperから受け付けています。
アルデバラン・アトリエ秋葉原 with SoftBank | Doorkeeper
https://pepper.doorkeeper.jp/
みんな黙々と開発を行ってます。もくもく。もくもく。
■成果発表
成果発表の時間です。安生さんが見つめる中、4チームが順番に発表を行います。
■1チーム目。チーム名「Puppeteer」、アプリ名「ものまねペッパー」。
チームと言いつつ、今回は1人でアプリを作りました。
杉山さんの自己紹介です。
機械系学科の大学院生で、普段はドローンを研究されています。
今日のアプリの題材である「ものまね」について。ものまねとは、おうむ返しのことを指します。そこで、Pepperが人の真似をできたら、Pepperが人を見ている証拠と言えるのではないか、というアイデアからアプリが作成されました。
システムの構成です。Pepper単体だけではなく、サーバーとしてのWindowsPCとMicrosoftのKinectを使用しています。
デモの披露です。2つあります。
まずは、人間が適当に動くとPepperもそれに合わせて動いてくれるというものです。
画面には「適当に遊ぶ」と「覚えてものまね!」のボタンがあるので、「適当に遊ぶ」を押します。
アトリエスタッフがテスト役を担います。Kinectに向かって動いてみると、おおー確かにPepperも同じ動きをする!!!これには会場からも驚きの声が。
人間がグーパーをすると、そこまで同じ動きをします。更にすごい!
次のデモは「覚えてものまね!」です。
「作る」系ソフトは歴史的に見てもハズレのないジャンルと考えて作成しました。
Choregrapheの操作が分からない人にも、Pepperのモーション作成(っぽいもの)が体験できたりもします。
Pepperから3つポーズをするように指示されたので、アトリエスタッフが3つのポーズを行います。ポーズをとり終えた後は「おぼえて」とPepperに話しかけると完了です。
Pepperは今の3ポーズを再現できるのでしょうか?
おお!確かに3つのポーズを自動で再現してくれる!
デモは2つとも大成功です。
どうしてKinectを使ったのか?についての補足です。
実はPepperの目もKinectに似た深度カメラなので、原理的にはPepper単体でも今回のアプリのようなことは実現可能だったりします。
しかし、ソフトバンクロボティクス・アルデバランでPepperのモーションキャプチャ計算APIを整備していないため、Pepper単体で行うことができないのです。
ということで、このアプリをpac2015wに応募して、API整備を行って欲しいとのことでした。関係者の方、ご覧いただいておりましたら、是非前向きに検討ください。
まとめです。
今回のアプリのソースはgithubで公開中です。興味のある方は是非どうぞ。
https://github.com/malaybaku/KinectForPepper
発表は以上です。
安生さんからのコメントです。
「データは経由するに従って難易度が上がるんだけど、これは Kinect-PC-Server-Pepperと繋いでいるのがすごい。どこが難しかったですか?(Kinectでの角度変換計算が煩雑でした)」
ちなみに、このロボアプリを使う時には、そこそこスペックのいいパソコンでやって欲しいそうです。
■2チーム目。チーム名「フクシン」、アプリ名「追いかけペッパーの英語教室」
Pepper先生が覚えた単語を忘れた頃に来てくれて、繰り返し復習できる、暗記トレーナーになってくれます。
今回は子供向けのアプリです。
デモではPepperがAppleの単語を覚えるように話しかけてきます。無事覚え終わった10分後にPepperが追いかけてきて、もう一回覚えるようにお願いしてきます。
おまけのデモでPepperがネイティブで「Touch my my left hand.」とネイティブな英語で話し出しました。
聞き取りがうまくいかずに右手などを触ると「それは右手でしょ!」と間違いを指摘してくれます。聞き取りができて左手を触ると「あたり!よくできました!」と褒めてくれます。
今後の追加機能です
そして、今後の予定です。
安生さんのコメントです。
「よくできてるなあと思いました。あとはコンテキストが欲しいなと思いました。人によってうまく出来ることと出来ないことがあると思うんですよ。それをPepperがそれまでの成績から「きみはこれが苦手だよね」って言ってくれると、続けられる仕組みになるかなと思いました。」
会場からは、スマホじゃできない体験型の英語教育ロボアプリになりそうという声も。
■3チーム目。チーム名「ひろし&sglabs」、アプリ名「Pepperと行く!」
部屋の中にある画像を探すというPepperを使ったゲーム。ウェブブラウザ上の十字キーでPepperを操作して、画像を見つけたら虫眼鏡ボタンを押します。用意された3つの画像を全て見つけられたらゲームクリア。
次の面では、十字キーの方向がランダムに変更されて、どれを押すとどこにいくかが分かりづらくなり、難易度が上がります。
ゲームの進行度合いによって、タブレットに様々なメッセージが出てタイムを競い合うというものにしたかったのですが、残念ながら今日はデモが上手に動きませんでした。
安生さんのコメントです。
「今回はデモが動かなかったんで、仕上がると良かったでしたね。シチュエーションをもうちょっと限定したほうがゲームとしてよくなると思いました。」
アトリエスタッフの横田さんからも、以下のコメントがありました。
「Pepperを移動させるアプリはあまり見ないので、アイデアとしては面白かったです。個人的にはスイカ割りに似てるゲームと思いました。安生さんが言うように、みんながよく知る状況をゲームにするといいのでは?そうするとエンターテイメントゲームになりうると思います。」
■4チーム目。チーム名「育成ゲーム制作チーム」、アプリ名「めざせ!Pepamonマスター」
コンセプトです。Pepperでのエンタメ系アプリを5つに分類しました。その中であまり見ることのない「Pepperと生活することで楽しめるゲーム(育成ゲーム)」のロボアプリを作成しました。
育成方法です。
育成するキャラは内なるPepperということでタブレットの中に住んでいます。キャラは外見に対する刺激を受け成長し、育っていくと振る舞いに作用していきます。
具体的な育成方法です。
Pepperと目があった時に行われるランダムな会話を交わすことで、内部パラメーターが変化していきます。
デモです。
タブレットに育成キャラがいます。キャラを触るとPepperが赤ちゃんのような話し声を出すので、それに応えて会話を交わします。Pepperに冷たくあたってしまうとヤンキーPepperになり、Pepperがヤンキーのような口調や挨拶をし出すことも。
普及させるために、ランキング機能があります。成長の度合いをランキングで見ることで他のユーザとの比較が行えます。
安生さんからコメントです。
「コンセプトがすごく練られてていいと思う反面、実装との乖離はあると思いました。実装のためにはまだ頑張らないとならないですね。もし仕上がったらいいものになると思います。
今回はデモだからだろうけど、ベイビーから直接ヤンキーになりましたが、途中にいくつかの段階があるんですよね?(はい、あります。)
他のアプリとの整合性をどうとるかが難しいと思いました。ユーザはあるアプリに挨拶したのに、このアプリでは育成されないとなるとユーザさんは混乱するので、アプリが動いているということをわかりやすく示したほうがいいと思いました。」
発表は以上です。
■結果発表
投票は1人2票を持ち、1票は自分のチーム以外、もう1票は好きなところ(自分でも可)に投票していきます。
一番票を集めたのは、1チーム目の「ものまねペッパー」です。おめでとうございます!
ハッカソンの後は懇親会です。ビールとピザで今日の疲れを癒します。みなさんお疲れ様でした!
■おまけ
今日のハッカソンには、おまけがありました。
普段は講習を担当してるアトリエ秋葉原の学生スタッフの二人(笹野さん・青木さん)が、ハッカソン中にロボアプリを作成し、それを披露してくれたのです。
チーム名はその名も「スタートロボット」。これからロボットをスタートさせたい!というどこかで聞いたことあるような名前のチーム名です(笑)。
作ったロボアプリは「ぺぱりら」。
今日のハッカソンテーマがエンタメだったので、wikipediaのエンタメの部分を引用してきました。
エンタメの類語である「楽しみ、気分転換、気晴らし、遊び、息抜き、レジャー」の中でも「気分転換、気晴らし、息抜き」に絞った、家の中で気分転換できるアプリを作成しました。
気分転換のためにはリラックスしたい。そして、Pepperのスピーカーは音が悪くないということで、リラックスできる BGM x Pepper です。
Pepperの画面には「川・森・オルゴール・スペシャル」のボタンが表示されます。それを押した後にPepperに話しかけると、声から感情認識をして、それにあった音調のBGMが流れてきます。
今回使用した技術の解説です。
今回は人間の音声から感情認識をするPepperの標準機能を使用しました。これを使用すると、人間が発話した際に「おだやか、怒り、楽しい、悲しい、不明」の感情を10段階のレベルで数値化しれくれます。
そして、QiMessagingJavaScriptも使用しました。Pepper本体とタブレットのOSは別なので、Pepperからタブレットを動かしたり、その逆が可能です。今回は、タブレットのタッチをトリガーに、PepperのスピーカーからBGMを流しました。
こちらの内容はアトリエ秋葉原で行われているワークショップ#4での内容だそうです。(アトリエ秋葉原では無料でPepperワークショップを受けることができます。席数が決まっているんので、受講したい方はアトリエ秋葉原Doorkeeperからお申し込みを)
また、今回使用したソースは『Pepperプログラミング』でも解説されています。
自分たちで pac2015w の審査基準に当てはめてみました。ポイントは、感情認識は顔認識より音声認識の方が(体感的に)安定している点と、全てローカルで完結させたという点です。
Pepper標準アプリがローカルで完結するものが多いので、意識したそうです。
参加者の技術アシストをしながらアプリも作っちゃった学生スタッフの笹野さんと青木さんもお疲れ様でした!
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北構 武憲本業はコミュニケーションロボットやVUI(Voice User Interface)デバイスに関するコンサルティング。主にハッカソン・アイデアソンやロボットが導入された現場への取材を行います。コミュニケーションロボットやVUIデバイスなどがどのように社会に浸透していくかに注目しています。