【CODE CONFERENCE TOKYO 2015】トークセッションに登壇しました
2015年11月10日、渋谷のヒカリエで行われた『CODE CONFERENCE TOKYO 2015』において、グランドデザイン株式会社代表取締役でロボットスタートラボの上席研究員でもある小川和也さんと、ロボットスタート代表である中橋のトークセッションがありましたので、その模様をお届けします。
テーマは「ロボット関連ビジネス企業が語る、ロボットとAIが語る未来」。
インターネットのマーケティング中心だった『CODE CONFERENCE TOKYO 2015』において、一歩半位先を行ってるテーマとなっています。
トークセッションは2会場(AとB)で行われていたのですが、B会場のトリのトークセッションです。
当初は池澤あやかさんを含めての鼎談形式という予定でしたが、池澤さんの都合がどうしても付かずに二人でのトークセッションとなってしまいました。(池澤さんの写真を期待されていた方、すいません…。)
こんな感じでバルセロナチェアに座り、リラックスした感じでトークセッションスタートです。
小川さんと中橋は、フューチャーフォン全盛の時代からという長いお付き合いで、今ロボットやAIの話をするのは感慨深いとのこと。
先ずはロボットとAIの境界線の話から。
小川:
ロボットはある種AIで、AIに「ガワ」を被せたのがロボットというのもある。バズワードに乗っていくことは恥ずかしいから、ロボットやAIの話に乗っかりたくはない。
ロボットがインターネットの先にあるというのを信じているから話している。ロボット、AIはビッグキーワード的に使われている。その中の境界線は微妙な話。
中橋:
ロボットとAIは近い話であって。ロボットスタートもAIはウォッチしている。
ロボット革命イニシアティブ会議については
中橋:
過去、パソコンやスマートフォンまでアメリカに持って行かれてしまった。政府もこの様な会議を作ってここだけは取られないように旗振りをしている。ロボットスタートもベンチャーで唯一加盟をした。
小川:
フューチャーフォンは国が何をしたということは無かった。
次はスマホが来そうだという2006〜2007年位に、ある団体の理事の多くが「スマートフォンはモバイルではない。」という認識だった為、レギュレーションに入らなかった。もちろん、政府が主導だからといってそれが正しいというわけではない。
今のロボットについて
中橋:
電卓/電話の時代から、PC/スマホになって、ロボットもAIBOなどから比べて開発環境がオープンになったのが大きく変わった点。
ネット業界では当たり前になっているカオスマップも作った。徐々に盛り上がって来たかなという感じはする。
ロボットパイオニアフォーラムというイベントも行っていて、そこには今風の人から、ハードをやっていてやっとビジネスになったという人まで参加してもらてっている。一方でスマホアプリを作ってきた人が「大手に勝てない」という理由で参入してきたりもしている。
テーマが変わって、ロボットは一家に一台の時代は来るか?
ここでは各種のデータを紹介。
中橋:
経産省が出しているデータは、2035年に9.7兆円市場の予測になり、そのうち4.9兆円はサービスロボットの分野。
ロボットスタートとロボットドットインフォさんとの共同予測では2020年には家庭普及率は5%になる考えている。
その場合は10万円以下のロボットが普及すると思う。
小川:
コスト感はあるが、どうなったらキャズムを超えられる?
中橋:
IoTデバイスをコントロールや、高齢化に向けたコミュニケーション分野での普及が鍵だと思う。
小川:
ロボットとAI→IoTもだが、生活に実用的になってくるのが普及の分かりやすいポイントになる。
続いて、「ロボットXマーケティング」のポテンシャルについて
中橋:
現状、ロボットを持っていくだけで客寄せパンダになる。Pepperの様に大きい方がインパクトが高く、展示会などで置くと綺麗なお姉さんの方より名刺を獲得できる。
小川:
恐らく10年後から見ると恥ずかしいと思うが、一つのきっかけだと思う。
中橋:
一家に1台入れば、ロボットが広告メディアになるとも考えている。マネタイズツールとしてデベロッパーを支えていかないと、良いアプリは増えていかないと考えている。
中橋:
ロボットに組み込ませると性別や大凡の年齢などの情報が取れるサービスも現在提供している。ロボットにライブラリーがあってそのような情報がリアルタイムでかつオフラインで分かる様になっている。
小川:
今後センサーなどの進歩で精度があがっていくのは間違いないと思う。どういうニーズが多い?
中橋:今は店舗。オンラインで集客した結果を確認することが出来、販売情報のPOSなどでデータを埋めることが出来る。
小川:ショップにはスタッフがいると思うが、ロボットが顧客分析まで出来るようになると人間がロボットに置換えられることは有り得る?
中橋:ロボットが低価格になれば、有りえると思う。
小川:僕もオーナーならそうしたいと思う。「買わないで帰る」というマーケティングデータが取得できると革命的に変わる可能性がある。
インターネットからロボットシフトというテーマに話は進みます。
中橋:
IoTデバイスが増えると。スマホではデバイスをコントロールするアプリが増えていって逆にコントロールがしづらくなるということが起きている。それならロボットがやればいいと思う。
コミュニケーションロボットはアメリカはJiboしかない。一方で日本には喋れるロボットが山ほどある。ここで日本発になればいい。
siriに話しかける日本人は少ない。つまり日本はよく分からないものや空間に話しかける文化は一般的でないと思っている。話しかけるなら人っぽいものに話しかける。
小川:
話しかけるべきではないものにコマンドを出すのは日本人はやりにくい。結果的にロボットがIoTのハブということになるのではないか。
最も気になる、普及するために必要なことを話し合いました。
小川:
普及することは間違い無さそうだと思っているから、会場のみなさんは貴重な時間を割いてる話を聞きにいらしている。あとは時間軸と中身の問題。
Pepperを買わないといけない必要には迫られてはなく、今買っている人はアーリーアダプター。一方でリテラシーが高くない方でも買わなければイケなくなりには?
中橋:
まずは価格面が下がるのが重要。
あとは、お年寄りなどは無線LANを使ってロボットをネットに接続できない。SIM内蔵してその点を改善したり、余計な可動部品を減らすなどが必要。量販店、ケータイショップで持ち帰れるような金額/サイズが理想。あとは月額料金がいくらか。
小川:
機能的に、これがあれば2〜3割の世帯に普及するというものは?
中橋:
会話が面白いもの。
ハードはマイクとカメラがあってネットに繋がればそれで良いと思う。
小川:
将来は男女のコミュニケーションよりもロボットに話しかけたほうが癒されるようになるということも起こりえる。エモーショナルな部分に刺さる、つまり人の心を揺さぶるということが機能より重要だと思う。
中橋:
フューチャーフォンもそうだったが、「エロ」って何らかの普及エンジンになっていた。将来的に人工知能に恋に落ちる人は出てくる。
小川:
風俗産業とかも変える可能性もあるのでは?政府が避けて通るところをベンチャーがやっていけば良いと思う。
中橋:
ロボットスタートはやりませんけどね。(笑)
次世代のデジタルビジネスについて、突っ込んで考えてみました。
小川:
人工知能やロボットが仕事を奪うというのは時間の問題だと思う。2045年には色々な職業がリプレイスされていて。人間に求められる能力が変わってくる。仕事も「業種」ではなく「やること」で決まっていくのではないか・
中橋:
マーケティング領域の人たちはどうすればいいの?
小川:
まだ受け皿が無いのが現状。大企業だけが牽引できる物ではないし、だったらいっそのこと起業しちゃえばいい。
ということで、トークセッションの時間が40分しかなかったので、なかなか深いところまで突き詰めて話すことは出来ませんでしたが、普段ロボットとは接点のないような方にとっては新鮮だったようです。
もっと深く知りたい方は、小川さんの著書「デジタルは人間を奪うのか」(講談社現代新書)を一読するのをオススメします!
この様な場を提供していただいた『CODE CONFERENCE TOKYO 2015』の皆さん、小川さんありがとうございました!