【ロボットやろうぜ】音声感情認識、病態分析から仮想自我【Vol.4】
『グロスぺ』と『ロボットパイオニアフォーラム』が共催している勉強会「ロボットやろうぜ!」も4回目となりました。ロボットスタートでは初回と前回3回目は取材させて頂きました。
テーマは「音声感情認識、病態分析から仮想自我」これだけ見ると超お硬いのですが…。
場所は渋谷区円山町のグローススペースです。
お話の前に、恒例となっている出席者の自己紹介タイムです。
先ずは、主催の藤永さん。
そして、ロボットパイオニアフォーラム・ジャパンの幹事でもある。羽田さん。
そして、4回目の講師である光吉俊二さん。
現在は東京大学大学院医学系研究科特任講師。何故そんな人が今回の講師かと言うと、光吉さんはPepperの心のベースになっている「感情地図」を作った方。なので決して怖い人でありませんし、今の身分は国家公務員です。
現在取り組んでいるのが「音声病態分析学」。
これは、声からその人の心や身体の状態を分析しようとする学問のこと。そのメカニズムなどを披露していただきました。
今のAIに絶対的に不足しているモノとして、「感情」と「情動」とのこと。
そして、コミュニケーションの98%は「Emotion」つまり感情が支配しているというのです。
具体的にストレスがかかるとどういうことが起こるかということを説明して頂きました。
感情を分類するため、日本語の感情に関する言葉4500語を抽出して英訳、223語にグルーピング。そしてそれを再度4つにグルーピングをしました。
それをマトリクス化し、感情生成メカニズムMapが出来ました。
これを国際規格化することで、英語に訳せなかった細かい感情の機微なども把握することが出来るようになるのです。
そして、声は心のプリンタということで。声が高い/低いじゃなく、随意(建前)と不随意(本音)が実は分かる。どう変わったのかを分析し、理性で抑制しているかのロジックルールを当てはめ、Sensibility Technology(ST)として分析しました。
どれくらいの性能か実験を行った結果です。
話したものを聞いて。自分がどんな感情だったかを比較してみました。実は日本語が分かる聞き手より、機械のSTの方が感情を分析できているのです。(ちなみに自分自身でも時間が空いてから聞くと自分の感情が分からないみたいです…)
ネガティブな感情が脳で確認された時だけ、STはその感情を認識したという結果が導き出されました。
しかし工学部の限界を感じて、光吉さんは医学部にフィールドを移すことになります。
そこで現在東京大学大学院で講座を開いている「音声病態分析学」につながっていくのです。
上にもありますように、音声は神経により影響を受ける成分が含まれています。この生体情報を用いて病気を見える化するという技術です。
ストレス・抑うつ状態の分析を行い、STの出力結果から、うつ病の患者と健常者を分類する基準を明らかにする様にしました。
ストレス研究として、長期的になストレスデータを取得するために防衛省と防衛医科大学との共同今日研究を行いました。上下関係がはっきりしている組織=ヒエラルキーの高い組織では、自記式のアンケートではうつ等の検出率が低下するので、本来うつで有っても表面化しないことがあるのですが、分析することが可能となったのです。
精度を高めるために改善を行う為に、Andoroidアプリ「MIMOSYS」を制作。
前向き公開実験ということで、看護総合雑誌とコラボレーションして公開実験を行っています。
そして、日本語だけではなく他の言語でも適応できるかの検証や、JAXAなどの特殊環境下での研究が行われています。
そして、いよいよPepperの感情生成エンジンの話へと進みます。
PepperはEnotion Recognition Engineに加えて、センサーなどから入ってくる外部情報を受けて感情を生成します。(この辺りは結構有名なところですよね)
具体的にはこんな感じです。センサから情報を取得して多層ニューラルネットワークを介して、人間の脳内物質と同様な仮想の脳内物質を作り出し、感情マップに落としこむことで感情が生まれるわけです。
ですので、複数の入力が存在することで、刻々と感情が変化していきます。
Pepperが喋る雑談に関しても、人/モノ/場所/言葉/記憶に対して印象や感情を持つことで、独自に固有の人格を持つAIに進化していきます。
しかし、単純に感情を持たせれば良いという訳ではありません。
実はTEDx TOKYO光吉さんが感情だけで動くPepperと共演した動画があります。
結構衝撃的な動画ですね…。
つまり、ロボットにも「自我」=「道徳」が無いと人間を不快にさせてしまうものになってしまうのです…。ロボットのための自我「仮想自我」を持たせないといけません。
そして、その「仮想自我」ついては、東京大学の鄭 雄一先生と研究をされていることでした。
心を分析して、ロボットに仮想の心を作ったとしても、やっぱり心をコントロールする道徳心も必要なのですね。
と結構マジメに書いてきましたが、実際は書けない発言満載でテンポも良く面白/危険なセミナーでした!
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本編のロボットパイオニアフォーラム第6回は12月4日(金)に「国際ロボット展」のオフィシャルイベントとして開催します。
「日米のロボット業界キーマンのセミナー&ネットワーキングパーティ」となっております。なかなかこんなチャンスは無いと思いますよ。是非ご参加ください!!