「PEPPERのビジネス利活用最新動向とその展望」に行ってきました。その1

10月30日(金)、明治大学リバティータワーで開催された「Pepperのビジネス利活用最新動向とその展望」に行ってきました。

こちらは一般社団法人ブロードバンド推進協議会が主催する研究会です。

イベント紹介ページに掲載されていた開催趣旨はこちらです。

いよいよ一般市販が開始された感情認識ロボット「Pepper」。6月以降、月1回の申込受付が行われていますが、1回につき1,000台の販売が1分で売れてしまうという注目ぶりです。とはいえ、まだまだ販売価格は決して安価なものではなく、当面は法人での活用が主体となりそうです。

この感情認識ロボット「Pepper」を具体的にどんなシチュエーションで活用するのかもまだ暗中模索というのが正直なところでしょうか。こうしたなかで、Pepperを何かしらビジネスに応用していこうと、すでに多数の企業がPepper利活用のトライアルを実施したり、新たな発想でのアプリケーション開発に着手しています。

今回の研究会では、まずソフトバンク首席エヴァンジェリストである中山五輪男様より、Pepperの基本機能やPepperの企業活用例をご紹介いただきます。そして社会での有効活用を模索しアプリケーション開発に取り組まれた2社様の事例をご報告いただきつつ、聴講者の皆様と共にPepperの有効活用について考えていきたいと思います。

そして特別講演として、Pepperに搭載されている音声感情認識技術を発明した光吉俊二様にご登壇いただき、音声感情認識技術の仕組みと今後の利活用の展望をお話いただきます。


◼︎BBA利活用部会 部活長 木暮祐一氏

携帯電話が出てきた頃、持ち運べる電話というのが画期的だったけど、どうして電話を持ち歩くのかという声も多かった。

今では利便性が一般的に広上がっていき、1人1台以上持つ人もいるようになったが、ここまで来るのに10年くらいかかった。

携帯電話と同じようなことがPepperでも起きるんじゃないか、という期待を持っている。

今はPepperをどのように使えばよいかを皆で模索しているが、この雰囲気は携帯電話が出た頃の期待感に似ています。

私は、2015年6月発売の一番最初の一般発売でPepperを入手して、8月に納品されました。青森・秋田・岩手地区での第1号購入者だそうです。

今日は、Pepperとはどういうもので、どういう活用ができるのか。ビジネスでどうやって活用するのかを皆様に講演頂きます。


■「Pepperの基本機能と企業活用実践事例のご紹介」ソフトバンク株式会社 ソフトバンクロボティクス株式会社 主席エヴァンジェリスト 中山五輪男氏

もともとは日本で2人しかいないiPhone認定エヴァンジェリストで、現在は4つの領域(スマートデバイス、クラウド、ロボット、人工知能)のエヴァンジェリストをされています。

最近はもっぱらPepperのエヴァンジェリスト活動です。

まず、Pepper for Biz の概要について。

2015年6月20日に一般ユーザ向けへの発売を開始しました。

開始1分で1,000台完売です。購入したのは、IT系企業の社長がポケットマネーで買うケースが多く、社員にPepperで何か作れというケースが多いそうです。

2015年10月には、ビジネス用途の Pepper for Biz が発売開始。

こちらはソフトバンクの営業マンが対面販売をしています。使ってみたいというのは小売業が多く、Pepperに接客や受付をやってもらって、売り子の代わりをしてもらいたいというものです。

Pepper for Bizもハードウェア的には一般発売Pepperと同じものです。

接客での活用イメージです。

Pepperが店頭で呼び込みをすると、ショッピングモールでは子供がPepperを見たがって家族を連れてきます。

その子供はまずPepperと握手をしたがります。Pepperは5本指を持つので子供と握手ができます。大きさ120センチで小学生と同じ高さだし、つぶらな瞳を持つので子供達にとって魅力的なロボットです。

この他に、お客様にヒアリングしながら最適な商品を提案できる「お客様診断」。

アポイントの有無を確認し、担当者の内線番号を表示するといった来客への対応。

受付の後に自社サービスを紹介して、体感待ち時間の削減なども。

Pepperについている各種センサーで接客情報を集めることもできます。

Pepper for Biz の導入に際して、2つのサービスをご用意しています。

1つ目は「お仕事かんたん生成」。

業務内容に合わせて、ブラウザから設定が行えます。専門知識不要で、セリフ・モーショ
ン・ディスプレイ画像などの設定が可能です。

接客と受付のベーシックな機能が詰まった2つのテンプレートを用意しています。

テンプレート以外のことをPepperにさせたい場合は、Choregrapheでつくったアプリも使えます。

アプリ開発パートナーは10月1日時点で27社となります。

2つ目は「プレミアムサポート&メンテナンス」。

法人様専用のサポート体制をご提供します。専門窓口による電話/Webでのサポートや、何度でも無償交換可能な交換機を提供してくれます。

一般発売モデルとのサポートの違い一覧です。

一般モデルはメールサポートのみ、for Bizは専用電話窓口あり。
故障時、一般モデルは預かり修理、for Bizは機体交換対応。
修理費用は、一般モデルは修理費用10%お客様負担、for Bizは無償。

for Bizの料金は、月額5.5万円(契約期間36ヶ月)

有償サポートは、導入から運用までをサポートします。

一般発売モデルとの機能違い一覧です。

感情エンジンやクラウドAIは一般発売モデルのみです。雑談はfor Bizの場合、簡単な呼びかけにのみ対応となります。

前述の法人向け機能は、for Biz のみとなり、将来予定のディープラーニングやWatson連携は両者とも今後の対応予定となります。

価格は、for Bizが3年トータルで 1,989,800円(有償オプション含まず)、一般モデルが3年トータルで 1,093,400円です。

法人におけるPepper活用事例の紹介です。

・みずほ銀行受付
・ラーメン店の「天下一品」でPepperが店長
・Pepperがブライダル市場に進出
・Pepperを活用した学校説明会を埼玉の私立中学校が開催
・JOYSOUNDがPepperをカラオケ直営店舗に導入
・Pepperがクルマの買取(査定)受付を開始
・住宅展示場で「ロボットのいる家」を体験
・リアル脱出ゲームセンターの受付をPepperで
・「TOKYU CARD」をPepperがご案内
・店頭のPepperがお客様のニーズに合わせた店舗案内を実施
・医学会の会場のPepperが顧客滞留時間の増加に成功


「人工知能とロボットの融合」です。

IBMワトソンとPepperが連携すれば、こういうことも可能です。

もしかすると、将来こういう未来もやってくるかもしれませんね。

以上です。


■「ロボてなしのススメ、Pepper観光応用ソリューション」フューブライト・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役 居山俊治 氏

Pepperの実績についての紹介です。

ソフトバンクロボティクス主催の第一回Pepperアプリコンテストで、最優秀賞とソーシャルイノベーション賞をダブル受賞。

また、介護分野で既に多くの活動を行っております。

(おそらく)日本で一番介護施設でPepperをつかった実証実験をやっている会社と言ってよいでしょう。

高齢者サービスを行ってきたのに、どうして観光分野のPepperソリューションを行っているのか?

Pepperのアプリ開発をする中で様々な問い合わせがあり、そこから観光分野でPepperのニーズがありそうと感じとりました。

高齢者も、観光客も喜ばしてもてなすという点では同じです。

そこで開発したのが、ロボットならではのおもてなしサービス「ロボてなし」です。

ロボてなしとは、ロボットの能力・可能性と人間のノウハウ・気配りを組み合わせ、人間の英知と気配りをロボットで表現することで、最高のおもてなしを実現させるソリューションサービスです。

ロボてなしの機能一覧です。

 1. 多言語対応
 2. デジタルサイネージ(ディスプレイ)連携
 3. ゆるキャラ連携
 4. ビーコン連携によるクーポン配信やスタンプラリー
 5. WeChat連携
 6. 多言語コールセンターへの接続

「多言語対応」

現在のPepperは2ヶ国語(日本語・英語)のみの対応ですが、ロボてなしでは独自対応で中国語や韓国語などの多言語対応を実装。

「デジタルサイネージ連携」

Pepperがデジタルサイネージと連携・連動して、プレゼンを行います。

「ゆるキャラ連携」

デジタルサイネージと連携したPepperが、外部ディスプレイに表示されているゆるキャラと連携して、Pepperとかけあいを行うという機能。

「ビーコン連携」

Pepperにビーコンを設置。専用アプリをインストールしたスマホを持ってPepperに近づくとPepperから話かけてくれます。この技術を活用して、Pepperと一緒にスタンプラリーやクーポン配布を楽しむことができます。また、年齢・性別・言語を認識してPepperの対応を変化させる事もできます。

「WeChat連携」

Pepperが中国語でWeChatクーポンがもらえる事を説明。QRコードをタブレットに表示、スマホで読み込んでもらう事で、友達になってクーポンを配布します。

「多言語コールセンターへの接続」

PepperにIP電話の機能を組み込み、Pepperから電話をかけられる機能を実装しました。Pepperからの説明では問題が解決しない場合に、IP電話経由で多言語コールセンターに接続し、説明や通訳が行えます。

ロボてなしでは、第二弾コラボも展開中です。

まずは、歌舞伎の講演前に英語で歌舞伎の説明を行います。こういったように、フューブライト社では、機能を提供するだけではなく、コンテンツのプロデュースも含めたソリューションの提供を行っています。

観光業についての将来予測です。

日本政府観光局によると、今年度中には、訪日外国人が2,000万人を達成する可能性があります。この数字は5年も前倒しでの達成です。

国土交通省環境庁では、訪日外国人の受け入れ態勢の改善を進めており、そこには、ICT技術を活用することも宣言されています。

また、ロボットの出荷台数・普及率予測も2020年には250万台を超えると言われています。

ここから「マーケットとして大きな可能性がある!」と言えるでしょう。

フューブライト・コミュニケーションズは、日本の明るい未来のために本気で頑張っています。

以上です。

参考:「ロボてなし」を見にツーリズムEXPOジャパンに行ってきた。
http://robotstart.co.jp/news/robotenashi-turism-expo-japan.html

ABOUT THE AUTHOR / 

北構 武憲

本業はコミュニケーションロボットやVUI(Voice User Interface)デバイスに関するコンサルティング。主にハッカソン・アイデアソンやロボットが導入された現場への取材を行います。コミュニケーションロボットやVUIデバイスなどがどのように社会に浸透していくかに注目しています。

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