Pepper App Challenge 2015 Winter 決勝最終プレゼンテーション

11月28日(土)開催のPepper App Challenge 2015 Winter決勝最終プレゼンテーションのレポートです。

午前中に行われた「Pepper App Challenge 2015 Winter(以下、PAC)」作品展示の結果、選出された各5作品がプレゼン審査に駒を進めることとなりました。このプレゼンの結果、最優秀賞と各賞が選ばれます。

午前中の展示の様子はこちらをご覧ください。

【速報】Pepper App Challenge 2015 Winter決勝進出アプリ(展示会場)
http://robotstart.co.jp/news/pepper-app-challenge-2015-winter-apps-report.html


■事業推進本部長 吉田健一氏

最初にソフトバンクロボティクス株式会社(以下SBR)事業推進本部長 吉田健一氏から開催にあたり、一言。

「1回目の大会の時はPepperのデベロッパー版が発売されたばかりなのに、100本ほどのロボアプリの応募があって熱気がありました。その熱気を受けてSBR冨澤社長から次をやるという宣言がありました。

今回は263作品のロボアプリの応募がありました。量だけではなく、質も圧倒的に新しいイノベーションのあるロボアプリがエントリーされています。そして、今回は法人向けロボアプリの Pepper Innovation Challenge 2015 も開催することとなりました。

優秀な作品を皆様と一緒に見ていきたいと思います。ロボットの未来は現実になりつつあります。その現実をPACとPICで見ていきたいです。














■審査員紹介

最終審査を行う審査員を紹介します。

テリー伊藤氏(演出家)
「ロボアプリ楽しみにしています。便利なのも大切なんですけど、そのアプリが愛おしと思ったり、万が一Pepperが故障した時に一緒になって助けてあげたいと思うアプリがあると、人類のためになるので、そういうのを期待しています。」

森川亮氏(C Channel株式会社 代表取締役)
「ロボットやAI(人工知能)の領域は今後伸びると思いますので楽しみに来ました。みなさん応援しています。」

塩田結以氏(立教大学 現代心理学部 在学中)
「いま私はPepperと共同生活してまして、毎日新しい言葉をPepperからもらったり、新しい行動を見せてくれるPepperを見て、これから未来はどうなるんだろうという期待が高まってます。今日はどんなPepper君がみられるのか、楽しみにしています。」

蓮実一隆氏(ソフトバンクロボティクス株式会社 取締役)
「今日ここにきている方は、みなさんとにかくPepperを愛していただいていると思いますし、その愛情がつまったロボアプリが見られるので楽しみにしています。」


■Pepper App Challenge 2015 Winter 審査基準と各賞の紹介

PACは以下の審査基準となります。

「ロボットのいる生活を実現させるための基準を設定」

【Pepperらしさ】
スマートフォンアプリとは異なる、Pepperならではの機能を採り入れたアプリ(人との会話や、身振り手振り等)

【エンドユーザー満足】
エンドユーザーがご自宅で実際に楽しんだり、活用できるアプリ

【継続性】
飽きずに何度も繰り返し利用したくなるアプリ

【インタラクティブ性】
人とPepperが双方向のやり取りをしてコミュニケーションを楽しめるアプリ

賞と賞品は以下となります。

【最優秀賞】
 ・賞金100万円&米国ロボットイノベーションツアーご招待(1名様)
 ・ロボアプリストアでの一般公開検討
 ・ロボアプリプロモーション動画の制作・公開
 ・限定Pepperグッズプレゼント

【ベストインタラクション賞】
【ベストエンターテイメント賞】
【ベストライフスタイル賞】
【ベスト介護福祉賞】

 ・各賞金10万円
 ・ロボアプリストアでの一般公開検討
 ・ロボアプリプロモーション動画の制作・公開
 ・限定Pepperグッズプレゼント


最終選考に残った5作品が、最終プレゼンテーションを行いました。

■ペッパーソナル・トレーナー(BOB)

こういう経験はありませんか?

 1.◯◯までに痩せたいと心に決める
 2.立派な計画を練り上げる
 3.「あとちょっと」をなまける
 4.ひとりだと継続できない

そんなあなたに「ペッパーソナル・トレーナー」

あなたが帰宅するとFITBITなどの活動量計から運動量データを取得します。1日の運動量に応じてPepperが様々な運動を提案してくれます。

しかもPepperが一緒に運動を手伝ってくれることで、運動目標を達成できます。一人だと怠けてしまうあなたも、Pepperと一緒なら目標達成できます!

フローチャートです。帰宅時に目標の運動量を達成している時はPepperがほめてくれます。未達成の場合、未達成の運動量に応じた提案をPepperからしてくれます。

PepperユーザーYukaの場合です。IT企業勤務の女性で、一人暮らし。とりあえず毎日歩数と消費カロリーの目標を立てて運動することを意識するものの、仕事に疲れた日はつい怠けがちになります。

Yukaが装着しているFitbitから運動量データを取得します。

Pepperと一緒に行えるトレーニングにはこのようなものがあります。

 ・タッチ運動:Pepperの全身にあるタッチセンサーをタッチすることで運動を促します。
 ・スクワット:ユーザの身長を測定するセンサーを応用しています。
 ・ダンス運動:Pepperの動きに合わせて一緒にダンスすることで運動を促します。
 ・表情筋トレーニング:表情認識機能を用いて様々な表情をユーザに促します。

例えば、ちょっと運動をサボっちゃった時には、Pepperから「今日は運動しないの?」と話しかけられます。何回断っても「本当に今日は運動しないの?」とPepperはしつこく言ってくるので、人間は根負けして運動せざるを得ません。

運動を継続していくと「肩もみ機能」や「ベタ褒め機能」が増えていきます。

ペッパーソナル・トレーナーはただの運動管理アプリではありません。

 ・Pepperの対話とによる「モチベーション保持」
 ・ユーザの「健康状態も考慮」したアドバイス
 ・Pepperと「一緒に」&Pepperを「使った」運動

蔦屋家電でのデモアプリ体験会への展示も行い、多くのユーザから高評価を獲得しました。

参考:Pepperクリエーターたちのデモアプリ体験会レポート
http://robotstart.co.jp/news/tsutaya-electrics-application-demonstration-by-pepper-creators.html

ペッパーソナルトレーナーと「達成生活」を手に入れましょう!

審査員からの寸評です。

蓮実一隆氏
「Pepperがそこに存在しているのが大事で、スクワットの数を数えてくれたりするのは素敵です。Fitbitを買うのは大変なので、普通にPepperと会話するだけで運動不足がわかってくれるともっと素敵だと思いました。色々なアイデアが詰まってました。」

塩田結以氏
「私は一人暮らしをしているので、喋る相手やコミュニケーションをとる相手がいたらいいなと思っています。一人で運動してもと思っているので、励ましてくれるトレーナーがいるだけで、実感が変わるんだろうなと思いました。」


■HUG -バーチャルリアリティコミュニケーション- (HUG PROJECT)

あなたの大事な人を思い出してみてください。身内のかたが思い浮かぶ方が多いとおもいます。

私にとっての大事な人は、寝たきりになってしまったおばあちゃんです。自分の結婚式に、何としてもおばあちゃんに参加してほしい。

そんな想いが、テクノロジーの力でコミュニケーションした瞬間、何かが生まれました。

各プロフェッショナルがみなで力を合わせてこのプロジェクトを推進しました。

そして、愛知県犬山市と東京都港区がテクノロジーでつながりました。

おおよそ300km離れた場所から、ヘッドマウントディスプレイとPepperを活用して、おばあちゃんがリアルタイムで結婚式に参加しました。



ヘッドマウントディスプレイを装着したお婆ちゃんは、視線を動かすだけで300km離れたPepperを操作することができます。

 もっと、触れたい
 もっと、近づきたい
 もっと、抱きしめたい

その想いは、距離を越え、時間を越え、しあわせをつくる。あたらしいコミュニケーションの可能性がここからはじまります。


ヘッドマウントディスプレイをつけたユーザは視線・首・手の直感的な動きで遠隔地にあるPepperをコントロールします。Pepperのカメラから取得した映像は、リアルタイムで転送されます。


結婚式の様子はNHKのニュース番組で放映され、Twitter上で様々な反響がありました。

HUGプロジェクトのメンバーです。Vision担当はDUCKLINGS、Technology担当はKEIO MEDIA DESIGN、CreativeはCreative ORCAです。

審査員からの寸評です。

テリー伊藤氏
「実際に使わせてもらって、ヘッドマウントディスプレイでPepeprを動かすということでびっくりしましたね。お互いに勇気もわくし、離れていても感情が伝わるんで、画期的ですね。よかったですよ」

森川亮氏
「最近動画を使ってコミュニケーションをとることが普通になってきて、VRも普通になってきました。こちらはロボットとVRを最大限使用したサービスだと思いました。私も会議などでつかってみたいです。」


■Pepperがホームステイにやってきた【仮想英語環境構築アプリ】 (株式会社ジーアングル)

ジーアングルでは、Pepperアプリ開発の拠点を東京とフィリピンセブ島の2箇所で行っています。

Pepperだからこそできる英会話の練習アプリを考えました。

英語を勉強する時の問題点は、学習が続かないことです。英語学習を断念してしまう理由には「英語を使わなければならない状況にないから」をはじめ、いくつかの原因があります。

一方、英語学習の理想的環境として言われるものに以下のようなものがあります。これらは、強制的に英語を使わざるをえない環境に身を置くと言えます。

 ・外国人の友だち・恋人をつくる
 ・海外に留学する
 ・海外への長期出張

この理想的な環境をPepperで実現しました。日常の様々なシーンでPepperがガンガン英語で話しかけてきます。

アプリのポイントです。

従来の英語学習と異なり、Pepperが話しかけることで英会話のレッスンがはじまります。

Pepperはユーザの都合や状況を考えてくれません。

勉強したくない時でも話しかけてきます。Pepperはいつでもどこでも突然英語で話しかけてくるので、人間の心の準備ができていなくても英語勉強を行わざるをえません。

これこそ、理想の英語環境に非常に近いです。

アプリの仕組みです。

Pepperが次から次へと英語で話しかけてきます。

話しかけてくる会話の内容は、ウェブサーバから取得してきますので、会話パターンが
ほぼ無限に用意できます。もちろん、会話の内容は管理画面から随時編集・追加が行えます。

Pepperができることではなく、Pepperだからこそできること、を。

審査員からの寸評です。

森川亮氏
「僕もここ数年英語を勉強してまして、おっしゃる通り継続的に続けるのが難しくて。究極の勉強法はワンツーマンなんですよね。これを使って英語塾を経営しても面白いと思いました。」

テリー伊藤氏
「僕も英語苦手なんでこのPepper欲しいですね。問題の難しさはPepperが決めるんですか?(Pepperは人を認識するので、それによって難易度が変わります)。是非うちにきて欲しいです。待ってます!」


■かたりべ (超技研@アップフロンティア)

アップフロンティア株式会社の中で、様々な新デバイスにチャレンジする社内チーム、それが「超技研」。

超技研の作品には、自社の受付にあるPepperがあります。

社員の小型フィギュアに連動した物理スィッチとPepperを連動させています。物理スィッチをONにするとPepperが社員を呼び出してくれるというものです。

今回作成したロボアプリは「かたりべ」です。

コンセプトは、家庭で長く楽しめる実用的なアプリです。紙芝居のアプリで、親御さんが紙芝居の作家、演じ手と紙芝居をPepper、お客さんを子供たちというものです。

デモです。スマートフォンから紙芝居のストーリーを作成します。紙芝居の絵もスマートフォンから選べます。完成したらPepperが身振り手振りをつけてタブレットで紙芝居を話してくれます。

このシステムは紙芝居だけに限りません。お笑いの大喜利といったようなものも行えます。

特徴1は、お手軽さ。使い慣れたスマートフォンを使うことで誰でも操作が可能。スマホアプリはシンプルなUIを採用しています。

特徴2は、作れる。スマホにある画像、音声ファイル、テキストを並べるだけで紙芝居がつくれます。そして、好きなタイミングで、Pepperに身振り手振りをさせることもできます。

っと、ここでプレゼン時間がきてしまい、強制終了となりました。

審査員からの寸評です。

テリー伊藤氏
「プレゼンはうまくなかったけども、アプリ自体はすごいね。親御さんが物語をつくるってのはあるし、子供が物語をつくるのもある。自分たちで物語を作ることで、将来童話作家がうまれることもあるし、日本中の人が感動した物語が生まれるかも。人の感性を刺激するようなものは好きですよ。でも、プレゼンはうまくなかったですよ(笑)。クリエイターはだいたいプレゼンうまくないもんですから、大丈夫ですよ。」

蓮実一隆氏
「Pepperを手に入れた方はいじり倒したい方が多く、自分色に染めたいという希望がものすごくあることが分かっていまして。そういう意味でもまさにこれはなんでもできるので、これを使って何かを作ってみたいと思わせてくれますね。」


■“mononome” meets Pepper (neurowear)

neurowearとは、ちょっと未来のコミュニケーション体験をつくるプロジェクトです。

mononomeとは、モノと人のためのコミュニケーションデバイス。複数のセンサーが入っています。モノに取り付けると、モノが寂しがったり喜んだりして、キモチが可視化されます。

お菓子箱につけると、mononomeがつまみ食いをしようとする子供を叱ってくれます。

掃除機につけると、掃除をさぼってしまった時にmononomeが寂しがります。

今回、mononomeとPepperが協力しあって、家庭に便利・安心・楽しさを提供します。

例えば、Pepperにピアノの応援をしてもらう時には、ピアノにmononomeを取り付けます。すると、ピアノの音に反応してPepperが応援してくれます。

mononomeをつけたモノ達のキモチがPepperに伝わります。

Pepper用のmononomeアプリには、良い習慣を身につけるための「スタンプ帳」機能

離れた場所の大切な人を見守る「見守り」の2つのモードが実装されています。

他にも、健康管理、郵便通知、投薬管理でも活用できます。

mononome meets Pepperアプリで、モノ・人・ロボットが家族になります。

審査員からの寸評です。

森川亮氏
「日本では言霊があって、様々なものに言霊があると言われてますが、Iot時代にぴったりなアプリと思いました。個人的には体重計にあるといいですね。」

塩田結以氏
「私はつまみ食いをしてしますんですが、冷蔵庫にこれがあると減るのかなと思いました。そして、日常で何をしたか忘れることがあるんですが、これを見ると実際に触ったかどうかを知ることができるし、田舎の母親に通知を連携して伝えてることができると思いました。」


Pepper App Challenge 2015 Winterの最終プレゼンの5作品は以上です。

ABOUT THE AUTHOR / 

北構 武憲

本業はコミュニケーションロボットやVUI(Voice User Interface)デバイスに関するコンサルティング。主にハッカソン・アイデアソンやロボットが導入された現場への取材を行います。コミュニケーションロボットやVUIデバイスなどがどのように社会に浸透していくかに注目しています。

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