【高校生チームが3冠】ロボット相撲全国大会 & 世界大会が開催されました!
12月13日(日)、東京都墨田区の両国国技館にて「全日本ロボット相撲全国大会」「INTERNATIONAL ROBOT SUMO TOURNAMENT2015」が同時開催されました。
「全日本ロボット相撲全国大会」は、富士ソフト株式会社によって1990年から開催されており、今回で27回目を数える歴史あるロボット競技大会です。「ロボット作りを通して『ものづくり』の楽しさを知ってもらう場を提供すること」を目的に発足された全国大会。今年も昨年に引き続き、第2回目となる世界大会が同時開催されました。
競技には、自動的に動くプログラムを内蔵した「自立型」と、ラジコン操縦で動かす「ラジコン型」の2つの部門があり、どちらも対戦相手を土俵から押し出すことで勝敗が決します。試合は3本勝負の2本先取です。
ロボット相撲全国大会
世界大会に先駆け、まずは午前の部にて「全日本ロボット相撲全国大会」が開催されました。全国の地区予選を勝ち上がってきた自立型・ラジコン型それぞれ32台が集結し、参加総数938台の頂点を目指して熱い戦いが繰り広げられました。
自立型部門
ロボット相撲は、相撲というだけあり、「はっけよい、のこった」の掛け声とともに試合が開始されます。自立型の部門では、掛け声と同時にスイッチをONにし、その5秒後から動き始めるようにプログラミングされています。土俵際の白線をセンサーが感知することで、その外に出ないようにロボットが動き回ります。事前に様々な戦略がプログラミングされており、スイッチをONにする際にどの戦略を選ぶか、そしてロボットがもつ馬力が勝敗を決します。土俵際の粘りは、本物の相撲同様、非常に見応えがあります。
この自立型部門で栄えある優勝に輝いたのは、チーム両国のシコ名「ゴーアヘッド」。圧倒的な力を見せ、マルす部屋のシコ名「NORISK」を見事押し出し。日本の横綱として午後から始まる「INTERNATIONAL ROBOT SUMO TOURNAMENT2015」への出場が決定しました。
ラジコン型部門
ラジコン型部門は、「はっけよい、のこった」の合図とともに操縦を開始。相手の出方を伺いながら、チャンスと見れば勢いよくぶつかります。操縦のテクニックはもちろんのこと、押し合いになったときにはロボット自体の強さが問われます。多くのロボットには鋭利なブレードが正面についており、それを相手のロボットの下に潜り込ませ機体を浮かせることで弾き飛ばすのが主流。弾き飛ばされないように各ロボットは強力な磁石で土俵にくっついています。
ラジコン型部門の優勝は、香川県立三豊工業高等学校の高校生3年生チーム、シコ名「MTY-白狼」でした。MTY-白狼は全日本ロボット相撲全国大会に先駆けて開催された「高校生ロボット相撲全国大会」のラジコン部門の覇者。日本代表として世界大会へと駒を進めます。
INTERNATIONAL ROBOT SUMO TOURNAMENT2015
午後から開催された「INTERNATIONAL ROBOT SUMO TOURNAMENT2015」には、カナダ・アメリカ・オーストリア・ルーマニア・コロンビア・エクアドル・メキシコ・ブラジル・モンゴル・バルト三国・ペルー・ポーランド・スペイン・トルコで開催された14大会の上位入賞者が出場。そこに日本の上位入賞者を加え、自立型部門48台・ラジコン型部門16台の総勢64台のロボットがしのぎを削ります。
全国大会とはまた違った雰囲気の世界大会。応援が各国の言葉で飛び交います。
ロボットの形も日本では見られないような形があり、ロボット相撲の関係者はみな「世界大会は本当に面白い」と口を揃えます。
自立型部門
自立型部門では日本の横綱「ゴーアヘッド」が惜しくも3回戦敗退。相手との接触前に土俵を傷つけてしまったことにより反則負けとなってしまいました。
決勝戦はトルコのシコ名「Sakin」 vs ルーマニアの「Wolf」。決勝の模様は動画でご覧ください。左がトルコのSakin、右がルーマニアのWolfです。
2ポイント先取の決勝戦。1戦目・2戦目ともに、トルコのSakinは動かずじっと構えて、Wolfが近づいてきたところで隙を見て見事押し出し。2-0で世界チャンピオンに輝きました。
ラジコン型部門
そして自立型部門。高校生大会、全国大会を優勝した香川県立三豊工業高等学校の高校生3年生チーム、シコ名「MTY-白狼」が世界大会に挑みます。
MTY-白狼は順調に勝ち上がり、見事決勝へ。
決勝の相手はメキシコのシコ名「Zilver」です。高校生大会、全国大会に続き三冠なるか?
第1試合目は、突進してくる相手をさっと交わして、鮮やかな勝利。
そして第2試合目は、相手の背後に素早く回って、力強く突進。2-0で世界チャンピオンに輝きました。高校生大会、全日本大会、そして世界大会と3冠を達成しています。素晴らしすぎる。本当におめでとうございました!
ロボット相撲を主催する富士ソフトは、PALROやPalmiなどのコミュニケーションロボットを開発する傍ら、このような大会を通じてものづくりの面白さを世界中に広める活動をおこなっています。ロボット相撲に興味を持たれた方は、まずは地方大会にエントリーしてみてはいかがでしょうか?
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望月 亮輔1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。