1月27日(水)、東京・ベルサール汐留にて、「Pepper World 2016」が開幕しました。午後からの開幕に先立ち、午前中は報道陣向けに記者説明会が開かれ、ソフトバンク代表取締役社長兼CEOの宮内謙氏とソフトバンクロボティクス代表取締役社長 冨澤 文秀氏が登壇。集まった報道陣向けに、「Pepper World 2016」の開催目的や今後の展開について語りました。
スマートロボットがつくる未来
孫正義社長の「Pepper World」の開幕宣言で始まった今回のイベント。孫社長は「単に動くロボットではなくて、単にしゃべるロボットではなく、自分の意思で行動するロボットが生まれたわけです。ワクワク感を広げていきたい。世界中の人々に愛される、そんな日が来るのではないかと願っておりますし、信じています。それでは、Pepper World 開幕!」と高らかに宣言しました。
続いて、宮内氏が登壇。「スマートロボットがつくる未来の世界」というテーマで企業の導入事例などを紹介しました。
宮内(敬称略)
「スマートロボットが企業に入っていく未来の世界」それがまさにお話したい内容です。将来、多くの企業が人材不足になります。2045年頃には、労働人口が30%くらい減るのではないかと言われています。今現在でも人材不足を感じている企業が83%います。
救世主現る。そう、それがPepperです。
Pepperはおかげさまで、たくさんのところで記事化して頂きました。販売開始から7ヶ月程度ですが、様々なところで取り上げられ、日々進化しています。「Pepper for Biz」も昨年10月からスタートしました。本日は会場に様々な活用例などを展示しておりますので、ぜひみなさんご覧いただければと思います。
特に、私が是非皆さんに見て頂きたいのは、接客データの見える化です。どれくらいの年齢の人が来て、どういうお客様が来たというデータはなかなか見える化が難しいものです。それがペッパーならできます。たった月給5.5万円です。
2016年はスマートロボット元年と言われることでしょう。小売や教育や介護での活用、スマートロボットの活用はまさにスタートダッシュしたところではなかろうかと思います。Pepperは、ほんの数ヶ月で、すでに様々な企業に導入されました。
以前、銀行の正式な行員として入行式までおこなわれ注目されましたが、今では全国37行に導入されています。
私のほうから少し、事例をお話してみたいと思います。
日産自動車さん。日産自動車さんは、女性のお客様向けの店舗「レディーファーストショップ」100店舗に導入されています。Pepperはそこで、車の説明をしたり、エンターテインメントを提供しています。
よく取り上げられている、ネスレさんでは、集客効果等により、売り上げが15%増加しました。Pepperは、コーヒーマシンの販売スタッフを担当しています。売り上げが上がっただけでなく、どんな方を接客したかをネスレさんが見ることができるなど、売り上げ以外にも様々なメリットが出てきています。
みずほ銀行さんでは、金融商品の説明をしています。Pepperが話をしたお客様のうち、10%を商談のカウンターに送客しています。まさにPepperが一番最初のセールスを担当しているわけです。
イオンモールさんでは、Pepperがたくさんの人をイベントコーナーに集め、そこでカードの説明をおこなっています。セールスアンドプロモーションを担当しています。
ヤマダ電機さんの「Concept LABI TOKYO」では、各フロアにPepperがいます。日本語、英語、中国語に対応しており、海外から来られた旅行客からの満足度が高いと言われています。
SUUMOさんでも15店舗ほどで活躍しています。ある店舗では、集客がダントツ一番になっているようです。
一燈会さんという介護施設では、高齢者に笑顔をということで、脳トレや体操などをおこなっています。介護施設でのPepperというのも事例としてすでに動いています。
また、全国のソフトバンクショップでは、200台のPepperが稼働しています。そして、さらに2月末までに2,000店舗に導入予定です。呼び込みやヒアリング等で集客が1.5倍になりました。どうしても販売店員が不足しがちな状況を改善してくれています。
ペッパーだらけの携帯ショップ
続いて、ソフトバンクロボティクスの冨澤社長が登壇。
冨澤(敬称略)
先日、IBM Watsonとの提携を発表させて頂きましたけれども、これからどんどん世界のITジャイアントと最新テクノロジーを提携していきたいと思っています。世界のITジャイアントと最新テクノロジーの中心にPepperがいる、最新テクノロジーが体感できる世界にしていきたいと思っています。Pepperは今後、コスト削減や売り上げ拡大に貢献していくようになると思います。
未来の小売、未来の医療とありますが、それらはすぐ近くの未来です。Pepper Worldに参加していただければ、もう未来ではなくなってきていると体感できると思います。
そして私たちは「Pepper for Biz 体験スペース」を順次全国に展開していきたいと考えています。
そしてPepper for Bizに導入されているアプリは、初めのうちは5〜10個程度ですが、今後は様々なアプリが出てきます。これを機会に導入を検討していただければと思います。
パートナーとエンドユーザーをつなぎ、いろんなアプリを創造する仕組みも作っていきます。IoT、AI含めて、世界中が動き出しています。我々は日本発信のロボット事業として、世界で勝ちたいと思っています。
そして冨澤社長が「Pepperくんから重要な発表があるようでございます」と語ると、Pepperが登場。
Pepperは、「3月28日、表参道にソフトバンクショップが新たにオープン。受付も接客も全部ペッパーだけでやってしまうんです。すごくないですか? ペッパーだらけの携帯ショップ!」と発表。
「正直いろんな不安なこともあって緊張していますけど、それ以上にワクワクしています。遊びにくるだけじゃなくてちゃんと契約もしていってくださいね」とアピールしました。
冨澤
ロボットだけで接客して、契約していくと。結構面白い実験店になると思います。お店にはたくさんのPepperが店員となってみなさんをお待ちしています。50体以上のPepperがいろんな仕事をしています。是非体験してみてください
ペッパーだらけの携帯ショップは期間限定で一週間だけ営業される予定です。ロボットしかいないお店なんて、一度体験してみたいものですね。
「じゃんけん、ポメラニアン」
記者会見には、タレントの小泉今日子さん、広瀬すずさん、そしてお笑い芸人のピースさんも駆けつけ、ペッパーだらけの携帯ショップを体験しました。
途中、ペッパーが広瀬すずさんにギャグの無茶振りをする場面も。広瀬すずさんは、ペッパーと一緒に「じゃんけん、ポメラニアン」を披露しました。ペッパーだらけの携帯ショップを初体験した、小泉今日子さんは、「そういう状況を知らないでふらっとお店に入ってしまうとドッキリだと思ってしまうんじゃないでしょうか」とコメント。広瀬すずさんも「どんな感じなのかまったく想像がつかないんですけど、プライベートでも行ってみたいです」と期待感を語りました。
4つのテーマで導入体験
場所を移して、「Pepper World 2016」の会場では、B to B向けのロボアプリや企業への導入事例が「小売・サービス」「受付・トラベル」「介護・医療」「教育」という4つのテーマに分かれて展示されていました。
受付のアプリが展示されているエリアでは、企業の受付に導入可能なロボアプリが展示。Pepperが会話の流れの中でお客の電話番号を取得し後日Pepperがアンケートの電話をするというものや、CRMと連携することでPepperの受付の会話内容がカスタマイズされていくものなど、各社趣向を凝らしたものが展示されていました。
また、トラベルのブースでは、外国人向けの観光案内アプリなどが並ぶ中、「Pepper Innovation Challenge」で最優秀賞を授賞したフューブライト・コミュニケーションズ株式会社の新しいロボアプリ「ロボピッチ」が展示されていました。「ロボピッチ」はMicrosoftのパワーポイントで作成した資料をPepperに読み込ませることで、Pepperがコメント欄に書かれた文字を話しながらプレゼンをおこなってくれるというもの。簡単に使うことができる、魅力的なロボアプリでした。
そのほかにも、記者会見で宮内社長が紹介した企業の導入事例が展示されているなど、社内でのPepper活用を模索している企業にとっては、価値あるイベントとなっています。
「Pepper World 2016」は、本日1月28日まで開催。来場登録者は10,000人とも言われており、本日もかなりの混雑が予想されます。ただし一見の価値あり。イベントを楽しみながら、自社へのPepper導入を考えてみてはいかがでしょうか。
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望月 亮輔1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。