i-RooBOさんの特別セミナー(ロボホンの)に行ってきたよ

関西のロボット界隈で大きな影響力をもつi-RooBO Network Forumの会員限定の特別セミナーへの潜入が成功しましたのでレポートをお届けします。

場所は、大阪ウォーターフロントエリアのATC(アジアトレードセンター)南館のイベントスペース。こちらはi-RooBOの事務局運営をしているATR社がロボットの実証実験を行うことも多い商業施設です。会場ではヴイストン社のRobovie君たちが出迎えてくれました。


iRooBOセミナー風景
i-RooBO Network Forumは、昨今のロボットブームが起こる以前から本気でロボットに取り組んでいる多くの企業がメンバーになっており、近畿経済産業局、大阪市経済戦略局などからもサポートを受けている一般社団法人です。


iRooBOセミナー風景
登壇者は、シャープ(株)コンシューマーエレクトロニクスカンパニー通信システム事業部の木戸貴之氏です。

「ロボット x 携帯電話の可能性」という携帯電話を絡めた発展的なテーマ。ロボホンは、シャープの中でも携帯電話やPHSを開発していた部署が担当したそうで、他のロボットメーカーとも毛色の違った開発バックグラウンドに興味が湧いてきます。


ロボホン 木戸貴之氏 コンシューマーエレクトロニクスカンパニー

シャープ株式会社コンシューマーエレクトロニクスカンパニー通信システム事業部の木戸貴之氏

「ロボホンは単なるコミュニケーションロボットではなく、ロボット電話である」ということを強調されていました。スマートフォンといえども、音声入力で完結できるように開発したところにプライドがあるそうです。


ロボホン シャープ木戸貴之氏
シャープ社は新しいビジョンを標榜しており、「モノの人工知能化(AIoT)」を目指しています。AIoTとは、人工知能の「AI」と「IoT」を組み合わせた造語です。最近のシャープの家電はよく喋るとのことでしたが、お話を聞いて、今後ますます家電に話し掛けるような生活になっていく予感がしました。


シャープ新ビジョン AIoT

シャープが目指す家電
ロボホンは、本体価格と通信費の他に、月額950円(消費税別)を支払う事で様々なサービス(ロボットアプリ等)を利用できるようになります。例えば、「レストラン検索アプリ」や「タクシー配車アプリ」が利用できるようになるとのこと。

ロボットアプリ開発者は、ロボホンアプリが、シャープ社内製のクローズプラットフォームになるのか、サードベンダーも参加できるオープンプラットフォームになるかが(筆者を含めて)非常に気になるところですが、多くの参加企業にメリットが生まれるようなオープンプラットフォームを目指しているそうです。


ロボホン アプリ プラットフォーム
今年8月にはロボットアプリ開発者向けのSDKが公開されることが予定されています。

ただ、ロボットアプリ開発会社の立場としては「ロボホンで本当に儲かるの? ロボホンの出荷台数はどれくらい?」とプラットフォーム参入に慎重になることでしょう。ロボホンのプラットフォームに参入すべき会社は、スマートフォン内で完結するスマホアプリを作っている開発会社ではなく、ロボホンアプリを入口として事業拡大ができるような事業モデルを持っている会社や、これから新規事業を構築していく会社なのかもしれません。本気のアプリ開発会社ならシャープさんも歓迎してくれるかもしれませんね。

ロボホン ニュースリリース ロボホン ニュースリリース

シャープのプレスリリースにも記載がある通り、ロボホンは音声通話を月額1,350円、1,650円、2,280円(いずれも消費税別)から選択して回線契約しますが、この回線はシャープが事業者となるMVNO(仮想移動体通信事業者)によるものです。MVNOとは大手通信キャリアのインフラを借りて通信サービスを提供する事業者の事を指しますが、ロボット産業の裾野が様々な形で広がっていく好例になれば良いですね。


ロボホン プロジェクター
ロボホンならではユニークな機能の1つであるプロジェクター機能は、ロボホン所有者のみが利用できるそうです。なので、例えば、一般家庭で子供がお父さんのロボホンに「さっき撮った写真をプロジェクターで見せて」とリクエストすることはできません。筆者はこの利用制限を今回のイベントで初めて知って残念に思いましたが、開発者のシャープの社員の方々も、かなり残念に思っているご様子でした。子供が誤ってプロジェクターを使用して、事故が起こってしまってはいけないとの安全配慮の為だそうです。プロジェクター機能以外には利用制限はありません。


ロボホン背面
このように、ロボホンの体の背面にはタッチスクリーンもありますが、ロボホン開発者は音声入力へのこだわりが強いそうで、地下鉄で使う時でもタッチスクリーンは使わずに音声入力するそうです。ロボホンへの愛着と開発者の矜持を忍ばせる逸話ですね。

今回のロボホンの説明会はi-RooBO Network Forumの会員限定でしたが、5月26日(木)-27日(金)に、インテックス大阪2号館で開催される 「サービスロボット開発技術展」の展示会場でもロボホンに関連したセミナー講演があるそうです。こちらのセミナーは「IoTビジネスの作り方と可能性」というテーマで、5月26日(木) 13:30〜15:30に開催されます。先着50名の人数枠ですのでご関心のある方はお早めに申し込みされるのが宜しいかと思います。


 

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ふじわら@ロボットジョーズ

ロボットジョーズのCEO 兼 Pepperの話し相手。大阪ペッパー友の会のメンバーでもあります。ただ本命ロボットはBlue Frog Robotics のBUDDYと心に秘めています。

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