【第一回サービスロボット開発技術展レポート(1)】アクティブリンク、ヴイストン、THK、近藤科学
インテックス大阪にて開催中の「第一回サービスロボット開発技術展」に取材にやってきました。「大阪に来たで!」ということで、ちょくちょく間違った関西弁を使っていきたいと思います。
「東京では、国際ロボット展をはじめとしたロボット系の展示会が数多く開催されているが、関西ではそのような試みがない」ということで、関西を盛り上げる目的で開催されたのが今回の展示会。「今後も続くような展示会になれば良いな」という思いも込めて、気合を入れてレポートしていきます。
アクティブリンク株式会社
まずブースに訪れたのは、奈良県に本社を置く、パナソニックのグループ会社「アクティブリンク株式会社」です。アクティブリンクは、2003年にパナソニックのベンチャー制度で創業して以来、「年齢や性別に関係なく元気に働くことのできる”パワーバリアレス社会”の実現」を目指し、パワーアシストスーツの開発を行ってきました。
こちらは、全身タイプのアシストスーツ。2017年の販売開始に向けて、現在開発と実証実験を進めています。2015年7月には、鈴鹿の8時間耐久レースでピット作業をサポートした実績を持ち、それらの試験で得られたフィードバックを元に、使用者が本当に欲しいアシストスーツの実現を目指しています。「電動自転車」の”漕ぎ始め”を検知するセンサーと同じものが使用されており、人が補助を必要とする場面を検知して全身の動きを最適にアシストしてくれます。林業などでの使用も考え、持ち上げる動作だけでなく、持った状態で山道を登ることも想定して開発がされています。
THKでは腰のアシストスーツ「AWN-03」を2015年9月に販売しています。「AWN-03」は、先に紹介した全身タイプのアシストスーツから、腰部の機能を取り出し、腰の負担軽減に特化したアシストスーツで、稼働時間も約8時間と、実作業での使用にも耐えられる仕様に落とし込まれており、すでに物流や工場などでは同社製品が活用されています。
ヴイストン株式会社
石黒先生も立ち上げメンバーの一人に加わっていたことで知られる、大阪に本社を置く「ヴイストン株式会社」。卓上型のコミュニケーションロボット「Sota」を開発しています。
Sotaは、話題のロボホンと同じくロボットクリエイターの高橋智隆さんがデザインを行ったコミュニケーションロボットです。ロボホンは外に連れていくことを想定して作られていますが、Sotaは部屋の中でのコミュニケーションに特化したデザインになっています。
やはり高橋さんのデザインは可愛くて目を引きますね。女性にも人気です。
その隣にはテレノイド。テレノイドの開発もヴイストンが行っています。テレノイドは「触ってみて初めて可愛さがわかる」ロボット。一見、奇妙な見た目をしていますが、抱っこして会話をしていくうちに可愛く見えてくるから不思議です。以前、おっさん達が虜になっていく様子をレポートしていますので、そちらも併せてご覧ください。
THK株式会社
1972年に、それまで困難と言われていた機械の直線運動部の「ころがり化」を世界で初めて実用化させた「LMガイド」を開発したのが「THK株式会社」。以来、ロボットに使われるあらゆるパーツの開発を続けてきた同社は、近年「SEED Solutions」という、サービスロボット向けのRTシステムパッケージを提供しています。SEED Solutionsには、ロボットのハードを作る上で必要なパーツだけでなく、ロボットテクノロジーシステムの3要素である「制御・認知・行動」の各機能と通信機能を内蔵したロボット要素部品群を含んでおり、ロボットの開発期間短縮とコスト削減を実現することができます。
こちらが同社の製品を使って作られたコンセプトロボット。こういったロボットを比較的短納期で開発できるのが、SEED Solutionsの強みです。
その隣では、SEED Solutionsで作られた、移動式のロボットアームの展示もありました。こちらはROSで制御されており、デモでは箱を検知し、別のテーブルに移すという作業が行われていました。まずは大学の研究室などで、研究用に使われることが想定されているとのことです。
近藤科学株式会社
KHRシリーズや、質の高いサーボモーターで知られる「近藤科学株式会社」。近藤科学のブースでは、今回の展示会に向けて作られたロボットアーム搭載の移動式ロボットの展示が行われていました。同社のサーボモーターがフル活用されており、近藤科学のサーボモーターを使うことで、何を作ることができるのか、ということが示されています。
その隣には、3Dプリンターで急遽こしらえたという、卓上ロボットもありました。どちらのロボットも、設計図などの情報も無償で公開していきたいということで、それを参考にすれば、多機能のロボットを各家庭でも簡単に作れるようになるかもしれません。現在KHR3の後継機となるものも開発中とのことで、そちらの発表も待ち遠しい限りです。
ということで、第一弾レポートでは4社のブースをご紹介させて頂きました。引き続きブースを回っていきます。ほな、次回もお楽しみに!
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望月 亮輔1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。