第3回 IBM Watson 日本語版ハッカソンday3に行ってきました。(中編)

6月12日(日)、サムライスタートアップアイランドで開催された「第3回 IBM Watson 日本語版ハッカソン day3」に行ってきました。

こちらは IBM Watson 日本語版を活用したソリューションやアプリケーションを作成するハッカソンです。

こちらの記事は中編です。前編はこちらからどうぞ。

 第3回 IBM Watson 日本語版ハッカソンday3に行ってきました。(前編) | ロボスタ




■5. 株式会社インキュビット 「スマートTV AD」

株式会社インキュビットは5人ほどのスタートアップ。現在チャットボット関連事業を模索中で、テキストから文脈を理解する技術を研究中です。今回はこれを応用したサービスを提案します。

動画メタデータを Watson で解析することで、最適な広告のマッチングを実現します。

年々WEBの動画投稿数と再生数が増加しているという背景があります。動画を理解し、広告配信を最適化することで、動画内容と関連度の高い広告を表示させることができ、広告のCVRを向上させることができます。

では、なぜ動画自体の文脈カテゴリを理解することが重要なのでしょうか。

例えば、ある「イタリア」についての動画があるとします。でも、イタリアxファッションか、イタリアxグルメか、イタリアx観光かによって、表示させるべき広告は違ってきます。よって、最適な広告を表示させるためには、動画遺体の文脈カテゴリを理解することが必要なのです。

今回使用した Watson は、音声認識(STT)と自然言語分類(NLC)です。

システムの流れです。

動画音声からテキストを抽出。音声認識(STT)により文章のカテゴリ分類を行い、並行して形態素解析によるキーワード抽出も行います。その結果を広告とマッチングさせます。

音声認識は、30秒ごとに音声を分割し、それぞれでテキスト抽出を行います。

自然言語分類は、抽出したテキストをクレンジング&センテンス分割。そのセンテンス毎に自然言語分類でカテゴリ分けを行います。そこから、結果を合計し、分全体のカテゴリを判断します。

プログラムのデモです。説明された内容が実際に動いて見ることができました。

ある動画を使って実際に抽出されたデータ結果です。

ビジネスモデルは、アドテク企業へのデータ提供による収益化を検討しています。「スマートTV AD」により、ユーザーターゲティングのみではなく、視聴中の動画内容によるターゲティングも可能となります。

今後のポテンシャルとして、スマートTVやリアルタイム動画に応用できる可能性もあります。

発表は以上です。

質疑応答です。

Q)実際のテレビ局動画との連携も考えていますか?

A)今考えているのは、アドテク企業へ提供してマネタイズしようとしていますが、効果が出たらコンテンツホルダーにも提供できると思います。

質疑応答は以上です。



■6. D.A.Consortium 「スマートQ&A」

「スマートQ&A」は音声でメール返信などを行うことのできるサービスです。

どうしてこのようなサービスを考えたか。そのヒントは入力デバイスの進化にあります。

時代は徐々に音声入力が使われつつあります。

デモです。

デモでは、実際に音声で指示を出し、メールを作成する様子を見ることができました。

活用事例として、サポートチームでの利用が考えられます。サポートチームにはいろいろな問題点がありますが、「スマートQ&A」を使用することで、過去のサポートメールを元に回答候補を提案することが可能となります。

発表は以上です。

質疑応答です。

Q)「知識不足を補う」のが肝だと思いますが、どういう方をターゲットにしていますか?

A)大きい会社だと、社内では情報共有がうまくいかないことがある。過去のメールを学習データとして判断することで、新人でも知識不足を補うことが可能となります。

質疑応答は以上です。



■7. システムリサーチ株式会社 「スマート自治体」

大規模な災害が起こると、罹災証明書が必要になるのですが、自治体の職員の数も限られているのでスムーズに出すことが難しいです。場合によっては1年ほどかかる場合もあるそうです。

それならば、この問題をWatsonを使って解決してみましょう。

サービスの概要です。

被災した家屋の写真をアップすると、Watsonで写真を識別します。結果に応じて仮の罹災証明書を自動発行し、各種の初期手続きに利用するというものです。

ターゲット層と市場規模です。

今後の課題です。

画像判別の精度向上のため、どのように写真データを集めるか。そして、セキュリティ対策も重要です。

そして、市町村に導入するためには、法改正を含む政府の認可が必要となります。

デモです。

必要事項を記入後、写真を添付してアップすると損傷レベルと緊急度を判断し、仮の罹災証明書が発行されます。

発表は以上です。

質疑応答です。

Q)写真がその家であるものであるという証明は?

A)今後の課題になると思います。例えばシステムでは一次受付をして、二次チェックで現地を調査して厳しくチェックするという方法もあります。

Q)自動車事故が起こったときにそういう展開もできると思います。

A)是非そちらにも生かしたいと思います。

質疑応答は以上です。



■8. 株式会社セイノー情報サービス 「スマート長距離運転パートナー」

スマート長距離運転パートナーは、Watsonをトラックの助手席に乗せ、居眠り運転の見地や会話による事故予防をするというものです。

居眠り事故の経験は、トラック運転手の約7割が経験しているとも言います。

会話で脳を活性化し、Watsonを最良の助手席パートナーにしましょう。

デモです。

石井さん40代男性。昨夜も深夜の業務でお疲れ気味です。

運転中居眠りしそうになると「石井さん、危ないよ危ないよ」とWatsonが起こしてくれます。そして、10km先のサービスエリアでがっつりボリューム系の新メニューが増えたことも教えてくれます。

3つの基本機能の説明です。

まず「検知・対応」です。Iotセンサーやデジタコで眠気を検知、ドライバーへ警告して休憩・仮眠を促します。同時にセンター管理者に通知もします。

検知するためのIotセンサーはDENSOや東レなどのものをWatsonと連携します。

次は「予防」です。眠気が生じる時間帯、単調な運転が続いたら会話を行い、事故の多い地点が近づいてきたら注意をします。

この際、ドライバーが会話をしたくなる仕掛けをします。年代・性別・趣味・嗜好にあった話題、過去の会話ログから頻度の高い話題、ヒヤリハットの注意喚起を行います。

最後に「分析」です。

デジタコ情報・会話ログ・眠気を分析し、ドライバーの体調管理や安全運転を指導します。さらに分析結果を学習し、今後の会話へフィードバックを行います。

ビジネスモデルです。

発表は以上です。

質疑応答です。

Q)一般のクルマにも応用できそうですか?

A)初期費用としてのIOTデバイスが高額なのですぐにできるとは思いますが、同様のことを行える簡易的なスマホアプリができれば、一般コンシューマーにも提供できるかもしれません。

質疑応答は以上です。

中編はここまでです。後編に続きます。

ABOUT THE AUTHOR / 

北構 武憲

本業はコミュニケーションロボットやVUI(Voice User Interface)デバイスに関するコンサルティング。主にハッカソン・アイデアソンやロボットが導入された現場への取材を行います。コミュニケーションロボットやVUIデバイスなどがどのように社会に浸透していくかに注目しています。

PR

連載・コラム