Softbank World 2016初日の15:30から行われた「IBM Watsonで広がるコグニティブ・ビジネスの世界」のレポートです。
登壇されたのは、日本アイ・ビー・エム株式会社 常務執行役員 コグニティブ・ソリューション事業担当の松永達也氏です。
プログラム概要は以下のとおり。
IoTやソーシャルなど、ビッグデータの88%以上は内容が理解できない「ダーク・データ」と言われています。
IBMが提唱する「コグニティブ・ビジネス」では、IBM Watsonを活用することでこれらまで専門化が活用しきれていなかったダーク・データをビジネスに活かすことが可能となります。
営業、マーケティング、セキュリティ、さらにロボットとの連携や自動車への応用など、既に活用が始まっているコグニティブの世界と、それがビジネスに与えるインパクトをご紹介します。
Watsonとは
非構造化データ(音声、画像、センサーのデータ)と構造化データを理解し、推論し、学習するものがWatoson。
IoTの時代にWatsonが広がりつつある。日本語化も3つのAPIが完了、国内にデータセンターも8月には完成する予定とのこと。
導入事例紹介
導入事例として、東京三菱の事例を紹介。NaoとPepperの連携した投資アドバイスなどの接客を行うものを紹介。Watsonは現在8カ国語に対応、ロボット複数の連携が可能になっているそうです。
アメリカのオンライン学習の学生のチューターにWatsonをテスト導入。チューターが人間でなくWatosonであることに学生は気が付かなかったとのこと。返答内容は4割はWatsonによる自動返答、6割は人間が答えたそうです。
アメリカでWatosonをインターフェイスに導入した電気ミニバスの事例。多数のセンサーを搭載し、Watosonの機能を提供しているとのこと。
将来の自動運転車両でWatosonが様々なコミュニケーションを人間に対して行うイメージ動画が紹介されました。まさに未来はクルマと話す時代になりそうです。
提供スタイルについて
金融の場合は専門性が求められる商品アドバイザー、医療(新薬、治療法、がん診断)、メディア(コンサル・リサーチ)、製造(品質向上、フィールドサポート)、全業種でコールセンター(顧客サポート、営業支援、人事など)と幅広く活用されているそうです。
提供APIサービスについて
提供領域を大きく分けると、紹介応答・顧客設定改革、知識の探索・発見、光度な判断支援の3つに別れ、様々なAPI(130種類程度)をクラウドで提供しています。
これらをパートナーにオープンにして、エコシステムを構築していく戦略をとっているそうです。
APIの活用例
感情に応じてドレスに取り付けられたLEDの花の色が変化するコグニティブ・ドレスの紹介。感情に応じた顧客対応が可能になるAPIが用意されているそうです。
特定の人物の特徴を分析にするAPIも用意されています。ソーシャル上での活動、自然言語を分析し、性格・行動・感情を読み取ることが可能になるそうです。
他にも紹介しきれない活用例があるとのこと。
ダークデータをさらに活用すればもっと顧客満足度はあげられる、リスクマネージメントが可能になるはずだが、現在88%のデータが使われていないのが現状とのこと。これらのデータ活用をWatsonで解決していけると考えているそうです。
すでに45カ国、8万人の開発者がWatsonのコグニティブ・ビジネスを加速させているそうです。今後さらにエコシステムのパートナーを増やしていくとのことでした。
パートナーの事例紹介
Watsonを活用した医療向けのシステム事例、Watsonを活用したPepperを介護施設での事例、チャットボットを使ったEコマースの事例。
今後も顧客のビジネスに合わせた展開を考えていくそうです。
社内でのワークスタイル
Watsonを使った新しいワークスタイルの提案をしているそうです。
例えば、ノーツなどに蓄積された社内のデータは活用しうる価値あるデータと考えていて、Watsonで対話形式でナレッジをフル活用可能できるそうです。
セキュリティ
Watsonはサイバー犯罪を防ぐために活用できるとのこと。予知を含めた対策が可能になるそうです。
組織・ビジネスをコグニティブに
あらゆる業種で活用ができるのがWatson。様々な領域でビジネスを進めているとのこと。
IBM社内での実績
IBM社内でコグニティブビルドという取り組みを行っていて、全世界15チームで社内ハッカソンを実施したそうです。
またソフトバンクと共同でWatsonハッカソンも行っています。今後九州での開催も予定しているとのこと。
社会、企業の活動をコグニティブ技術、Watsonで変えていくというのがIBMの考え方。
自然言語だけでなく、画像、音声、センサーからのデータ、ソーシャルのデータ、非構造化データを学習して、推論して、人間を自然にコミュニケーションできるサービスとして、ますます進化していくとのことでした。
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中橋 義博1970年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。大学時代、月刊ASCII編集部でテクニカルライターとして働く。大学卒業後、国内生命保険会社本社において約6年間、保険支払業務システムの企画を担当。その後、ヤフー株式会社で約3年間、PCの検索サービス、モバイルディレクトリ検索サービスの立ち上げに携わる。同社退社後、オーバーチュア株式会社にてサービス立ち上げ前から1年半、サーチリスティングのエディトリアル、コンテントマッチ業務を担当する。2004年に世界初のモバイルリスティングを開始したサーチテリア株式会社を創業、同社代表取締役社長に就任。2011年にサーチテリア株式会社をGMOアドパートナーズ株式会社へ売却。GMOサーチテリア株式会社代表取締役社長、GMOモバイル株式会社取締役を歴任。2014年ロボットスタート株式会社を設立し、現在同社代表取締役社長。著書にダイヤモンド社「モバイルSEM―ケータイ・ビジネスの最先端マーケティング手法」がある。