SoftBank World 1日目「Pepper業種別成功事例2〜インバウンド対応〜」のレポートとなります。
このセッションのテーマは以下のとおりです。
2015年10月のローンチ以降、進化を続けるPepper for Biz。外国人対応のできる人材採用が激化する中、Pepperによる外国人観光客対応の最新成功事例をご紹介しつつ、今後のインバウンド向けロボアプリの展望をいち早くご紹介する。(Webサイトより抜粋)
海外から日本を訪れる観光客向けに対してPepperがどんな手助けが出来るのか、具体的な事例を見ていきます。
41.6%
最初に登壇したのは
(右)株式会社ドン・キホーテ
インバウンド戦略室 SNSチーム
大島 隆晴氏
(左)株式会社Payke
代表取締役 CEO
古田 奎輔 氏
先ずは、Payke社の事業について。
商品についているバーコードに多言語による商品情報や画像動画、口コミストーリーなどを紐付けてDB化をしており、スマートフォンアプリなどから商品のバーコードをスキャンすることでその情報を見ることが出来るサービスを提供しています。
空港の中やドラッグストアで活用が進んでおり、これをPepperでも使えるようにしようということでDBと接続を行いました。
具体的な流れはこのようになります。
店頭に立って多言語で呼び込みを行い、お客さまがPepperに商品のバーコードをかざすことでDBから商品情報を検索しします。検索内容をPepperが喋ったりタブレットに表示させたりします。
もちろん検索をした情報も収集しています。
今後の展開はメーカータイアップ、プライベートブランドの販促キャンペーン、店内宝探しなどを提案していきたいとのことでした。
Payke社のDBと接続したPepperをドン・キホーテ銀座本館で試験導入してみました。(ちなみに、41.6%とはドン・キホーテ銀座本館でのインバウンドのお客さまの売上比率です。)
すでに無視できない位にインバウンドのお客さまが重要になってきています。
導入前どのような要望や問題点があったのでしょうか。
ご存知のようにドン・キホーテのウリの一つは、店内陳列がジャングルのようになっていてアミューズメント性に富んでおり、ついで買いを誘発するようにしています。しかしこれがインバウンドのお客さまには通用しないことが分かりました。インバウンドのお客さまは買い物リストを既に作っているので、その商品に一直線になりお店側としても売りたいものが売れていないのです。
「リストに無い商品の良さを伝えるにはどうしたら良いのか」という問題ですが、ドン・キホーテさんは個店主義なのでお店の負担になるという問題が有ります。また、商品量があるのに上述のようにインバウンドお客さまは目移りしません。
PB(プライベート・ブランド)に関しても、買い物リストの商品写真を手がかりにするので購買に繋がらない。そもそもリストに載るまでいかないという問題もありました。
導入5日間の結果は上記の通り。
5日間で1022回利用されました。1日に直すと約200回スキャン、検索された商品は284まで上りました。これには大島さんも驚いたとのことです。
また、Pepperの近くにある商品がスキャンされることも分かりました。「レンジふきん」は過去半年平均の4倍 「フリスクネオグレープ」は同じく平均の6倍購入に繋がったのです。
そして、中国からのお客さまは写真を撮ってSNSに拡散することが多かったとも指摘していました。
銀座には日本語以外の言語が対応できるスタッフがいるが、答えられない時に使えたという話も現場のスタッフから挙がってきたとのことでした。
アジアのお客さまが多い福岡空港
続いては
福岡空港ビルディング株式会社
事業部業務課
石丸 雄一 氏
福岡空港の定期便は韓国便が45%を占めており、今後もインバウンド需要は拡大していくと考えているとのことです。
空港でしか体験できないオモテナシを行うため、Pepperを一人のスタッフとして採用して、オリジナルの4ヶ国語アプリを作成しました。
そして、2015年3月パルスボッツ株式会社と導入試験を実施しました。同時に対応言語、ネットワーク環境、メンテナンスの問題点を洗い出しました。
2016年3月にパルスボッツ社が開発した多言語接客CMSを導入。独自の発話エンジンで5ヶ国語対応が出来るようになり、これで福岡空港を利用する90%のお客さまの接客が可能となりました。
効果としておもてなしや商品紹介までを各言語で行い、売り場まで誘導するようにない、お子さんを中心に店頭での集客が上がったとのこと。
また、クーポンを発行することで購買意欲を掻き立てて再度の来店に繋がり、ついで買いなどもよく見られるようになりました。
今後は以下を考えているとのことです。
・顧客認識(顔や声紋)など記憶をして、お客さまのコンシェルジュの様な存在にしたい。
・再訪回数に合わせた割引などを実施して、リピート促進をすることで何度も会いたくなるようなPepperにしていきたい。
・プリント機能を使ってその場で空港の案内図やクーポンを出力出来るようにしたい
インバウンドのお客さまに対して強い味方
2つの事例を見てきましたが、多言語対応や呼び込み、お客さまの認識など、人間よりロボットの方が得意な部分があることも事実です。今まで以上に重要になってくるインバウンドのお客さまに対して、ロボットを上手く使って質の高い「おもてなし」を提供することが出来そうですね。