日本IBMは、IBM Watsonをコールセンターに活用したみずほ銀行の事例を紹介する新しいYouTUBE動画を9月25日に公開した。
IBM Watsonを活用したコールセンター支援システムは、顧客から着信して電話対応するオペレータの会話をIBM Watsonも聞いていて、IBM Watsonが顧客に対しての回答の候補をパソコン画面上に迅速に提示する、というしくみ。
みずほ銀行のコールセンターでは2015年の2月に導入をはじめ、現在では200席以上でIBM Watsonが活用されている。
従来のコールセンター業務では紙のマニュアルやFAQを頼りに顧客対応をしていたが・・
このシステムでは、Watsonが顧客との会話を聞いて
会話の内容から次々に回答候補を提示する
動画内で、みずほ銀行の個人マーケティング推進部 堀智裕氏は「IBM Watsonを導入した初期は正答率が上がらずに心配になった」こともあったと言う。「それでもオペレータが正答を根気よく教えることで正答率が改善されていき、「システムが学習する」ということを実感した」とコメントしている。
堀氏はIBM Watsonをコールセンターに導入した際の大きな効果として、お客様との通話時間の短縮、オペレータの育成期間が短くなる、という2点を挙げている。
今後は資産運用や相続など、高度な問合わせに回答する営業担当者の支援にIBM Watsonの活用を計画。
そして将来はコールセンターやチャットの無人対応も視野に入れている。
その動画は↓こちら
■ IBM Watson みずほ銀行コールセンター業務の革新
PepperとWatsonがセカンドオピニオンを提供
みずほ銀行ではコールセンター以外でも、IBM WatsonとPepperを融合することで新たな「おもてなし」への取り組みを始めていて、その動画も公開されている(開発予定)。
その動画によると次のようなシーンを想定している。
店舗にやってきたお客様を迎えるPepper
顔認証して顧客を識別
顧客を相談室へ案内。顧客との会話でスタッフに引き継ぐ内容は迅速に送信して伝達
ご相談の際には、ロボットのセカンドオピニオンを参考に。
来年、子供が産まれるというご家庭の事情に沿った提案を行う。
Pepperは非課税贈与を発言。
その動画は↓こちら
【IBM Watson事例】IBM Watsonが実現する みずほ銀行の新たな「おもてなし」
みずほ銀行は以前より人工知能とロボット等、最新のICT技術を銀行業務に積極的に取り入れていく方針を表明している。
今後は、みずほ銀行以外にもIBM Watsonの技術をコールセンターに活用する事例は増えていきそうだ。
ソフトバンクは自社システム用に「ソフトバンクブレーン」の開発を発表しているほか、木村情報技術でも既に同様のシステム構築を発表、積極的な開発を進めている。
※なお、日本IBMではWatsonをコグニティブコンピューティングと呼んでおり、人工知能とは呼んでいない。
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。