12月5日(月)、東証Arrowsに富士ソフトのコミュニケーションロボット「PALRO」が2体導入された。
PALROが担うのは、年間23万人(うち一般客8万人)が訪れる東証アローズ内の見学記念品販売コーナーと見学休憩所での案内だ。見学の記念として販売されているオリジナルグッズの商品紹介や、各上場企業が公開している自社紹介動画のプレゼンをPALROが担う。東証Arrowsには修学旅行の学生や会社員など、幅広い世代の方が訪れるという。
PALROは、富士ソフトが2010年から開発を続けるコミュニケーションロボット。高さ約40cm、重さ約1.8kgの二足歩行ロボットで、本体に持つ「フロントエンドAI」とクラウド上にある「クラウドAI」からなる独自の「ハイブリッド構造のAI」により、自然な会話ができるのが特長だ。
導入が決まったのは3か月前。他のロボットと比較検討した結果、東証コンピュータシステムを通じてPALROの導入が決定した。担当者は、導入の決め手は「可愛らしさ」と「機能性」だと話す。
費用は「適切」 人が苦手な繰り返しの説明を担う
そもそもロボットを導入しようと考えた背景には、AI・ロボットといった分野の盛り上がりが影響しているという。導入は、「AIやロボットに敬意を払っているというシンボルにもなる」と担当者は話す。加えて、単一的な説明のような人間がやると苦痛に感じる作業を難なくこなしてくれるロボットは、人間にはできない仕事をしてくれる存在として魅力的に映ったとも語った。
導入はレンタルの形式を取っており、月額費用は3万円。費用感については、「導入前は少し高いと感じたが、導入後のPALROの働きを考えると適切だ」と感じたそうだ。
2階にある休憩スペースでは、PALROが東証に関するプレゼンを行うほか、上場企業のIR動画を通して企業の紹介を行っていく。
今後の展開としては、外部サービスと連携させることで株価の予測を行わせることや、海外からの来訪者へのマルチランゲージ対応、自由会話による質問対応などが考えられている。また、その他の証券取引所への展開に向けた可能性も探っていきたいとしている。1年後、PALROが担う領域は拡張されていることだろう。
月曜午前の、静まり返った館内に「PALRO」の声が響き渡る。このロボットが本当の意味で人の役に立つものになった時、「東証」は大いに賑わうことだろう。
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望月 亮輔1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。