【弁護士が解説するロボット法 vol.1】ドローンは飛行場所によってどんな規制があるの?(ドローン篇)

はじめまして。弁護士が解説する「ロボット法」という連載をスタートすることになりました、弁護士の小林幸平です。

小林幸平

弁護士。東京大学法科大学院を修了後、ITベンチャー企業とフランチャイズ本部企業のサポートに特化したフランテック法律事務所に入所。ロボットが社会を変えていくサポートをしたいという想いから、デジタルハリウッドロボティクスアカデミードローン専攻総合プロコース・同サービスロボティクス専攻リーダーズプログラムを受講。
弁護士としてロボットビジネスをサポートするほか、セミナーやドローンスクールでの講義、ドローンレースやドローン体験会の企画運営等を行っている。

まずは、ドローン篇として、ドローンに関する話をしていきます。

第1回目は、ドローンを飛行させる場合に問題となる、航空法、道路交通法などの規制を整理します。



ドローンの語源・市場規模・利用用途

本題に入る前に、ドローンの語源・市場規模・利用用途について話をします。

まず、ドローンの語源について、第二次世界大戦直前まで遡ります。

第二次世界大戦直前、米国海軍大将は、英国海軍の無人標的機クイーン・ビーのデモンストレーションを見ました。無人標的機とは対空射撃の訓練のために用いる無人航空機のことをいいますが、米国海軍大将は米国海軍中佐に対してクイーン・ビーのような無人標的機を開発するように指示しました。そうしたところ、米国海軍中佐が、クイーン・ビー(女王蜂)をオマージュし、自国の無人標的機のことをドローン(雄蜂)と呼んだのがドローンの語源であると言われています。

このようにドローンは無人標的機を指す言葉として生まれたものですが、現在では広く無人航空機を指す言葉として用いられています。


次に、ドローンの市場規模と利用用途について話をします。
株式会社シード・プランニングの2016年5月6日発表の予測(https://www.seedplanning.co.jp/press/2016/2016050601.html)によると、ドローンの機体とサービスに関する国内市場は、2020年には634億円に成長するものと予測されています。これは2015年の市場規模のおよそ16.7倍にあたる数字です。

また、ドローンの利用用途については、様々なものが考えられます。現在、ドローンは、農業・測量・整備点検・災害調査・空撮などの分野で利用されています。



飛行計画段階において確認すべき規制

ドローンを利用する場合には、農業、測量などの分野でドローンビジネスを行うときであっても、ホビーとしてドローンを利用するときであっても、ドローンを飛行させることについて法的問題がないことを確認する必要があります。

具体的には、飛行場所に応じた規制と、送信機と機体の接続に関する規制について、問題がないことを飛行計画段階において確認する必要があります。



飛行場所に応じた規制

飛行場所に応じた規制について、主な国内法をまとめると次の表のようになります。


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表・ドローンの飛行場所に応じた規制
※正式名称は、国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律

上の表の通り、屋内でドローンを飛行させる場合には、飛行場所に応じた規制は特にありません。そのため、送信機と機体の接続に関する規制である電波法を注意していれば良いことになります。

一方、屋外でドローンを飛行させる場合には、飛行場所に応じた様々な規制に対して注意が必要です。

まず、屋外でドローンを飛行させる場合には、航空法が問題となります。そして、航空法に加え、私有地の上空でドローンを飛行させるときには民法が、また、重要施設の上空でドローンを飛行させるときには小型無人機等飛行禁止法が、さらには、公道の上空でドローンを飛行させるときには道路交通法が問題となります。

この他にも、公園の上空でドローンを飛行させるときには地方自治体の条例が、港の上空でドローンを飛行させるときには港則法が…といったように、飛行場所に応じて様々な規制が問題となります。

これらの規制の具体的内容については、次回以降に説明をします。



まとめ

ドローンを飛行させる場合には、商用利用のときは勿論のこと、個人利用のときであっても、ドローンを飛行させることについて法的問題がないことを事前に確認する必要があります。

本コラムを通じてドローンに関する規制を整理いただき、〇〇の上空を飛行させる場合には□□が問題となるという判断ができるようになっていただければと思います。

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小林 幸平

弁護士。東京大学法科大学院を修了後、ITベンチャー企業とフランチャイズ本部企業のサポートに特化したフランテック法律事務所に入所。ロボットが社会を変えていくサポートをしたいという想いから、デジタルハリウッドロボティクスアカデミードローン専攻総合プロコース・同サービスロボティクス専攻リーダーズプログラムを受講。 弁護士としてロボットビジネスをサポートするほか、セミナーやドローンスクールでの講義、ドローンレースやドローン体験会の企画運営等を行っている。

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