ロボットと人との協働に必要な機能とはなにか ロボデックスの展示ブースを見て思うこと
ロボデックスには様々な産業用ロボットが展示されていたが、「人と共存するロボット」「協働ロボット」というテーマをあちこちのブースで見かけた。
産業用ロボットで高いシェアを持つ安川電機のブースも同様だ。
「協業」をテーマに展示されていたアーム型ロボットには、人共存型ロボット、安全柵なしでロボットの設置可能、ダイレクトティーチによる簡単教示機能、の3項目が特徴として掲げられていた。これがこれからのロボットの方向性を示しているのだろう。
従来の産業用アームロボットの多くは、人間との接触など、万が一の事故を防ぐために安全柵で囲まれた環境で作業をしている。しかし、人の手や身体を挟まない構造にしたり、挟みそうになったり、ぶつかる恐れがあるとすぐにセンサーが検知して停止する機能などの工夫が施され、技術的に安全性の向上がはかられた。更に法律の改正などもあり、アームロボットは安全柵なし、しかも人が近づけるところで作業することが現実のものになった。
そのような背景から、人とロボットが完全に同じ空間内で存在して協働できることが現実的になった。
そうなると、ダイレクトティーチやティーチングが新たな魅力を帯びてくる。ダイレクトティーチとは、人がロボットのアームの移動や作業を、ボタンやコントローラではなく、じかに手で動かして教える機能だ。
この機能自体は新しいものではない。しかし、熟練者や技術者にとっては手で教えるよりむしろ早くて精度の高い方法があったので、それほど重要視されてこなかった。
しかし、人とロボットが同じ空間で協働するようになると、例えばパートの従業員がロボットの動作を指定できるようにしたい、と考えたら、ティーチングが最も近道だ。
その意味で今後はティーチングの重要性が見直されるかもしれないし、これまでになかった視点で協働に役立つ機能が必要となってくるのかもしれない。
もうひとつ気になったブースが三重木型製作所の柔らかい材質のロボットの取り組み。介護や家庭用のロボットのボディが硬ければ怪我のもとになるし、金属だと暖かみを感じない。樹脂などを使って、柔らかな身体をロボットに与えようとする試みだ。
これも人間とロボットの協働というテーマにおいては、とても重要な要素になってくるのではないだろうか。