NTT R&Dフォーラム2017が開催、頭がピョコピョコ動く可愛いロボット「anone」や、AIエージェントの展示も

NTTの研究成果などを一度に見ることができる「NTT R&D フォーラム 2017」が、今週2月16日(木)・17日(金)にNTT武蔵野研究開発センタにて開催されます。

「Open the Way ~2020とその先の未来へ~」というテーマが掲げられた今回のフォーラムでは、オリンピックに向けた技術の展示や、その後の生活の変化を見据えた研究成果が所狭しと紹介されています。

開催前に行われたプレスデーに潜入をしてきましたので、「ロボット」に軸を置いた上で、周辺技術なども含め、気になった展示の一部をご紹介していきたいと思います。

関連サイト
NTT R&Dフォーラム2017


頭がピョコピョコ動く可愛いロボット「anone」

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まず気になったのは、手の平大のロボット「anone」です。ユカイ工学がハードを作り、ソフトウェアをNTTが担当しています。

anoneは、自由度は1軸しかないロボットです。それも頭が凹むという「表現のための動き」であって、それ自体が役に立つ動きというわけではありません。

anoneは頭を内側から糸で引っ張って伸び縮みしている

anoneは、Bluetooth接続が可能です。そのためスマホなどのデバイスと接続することで、WEBサービスと連動することができます。紹介されていた例の一つが、電話ツールとしての利用。ただの電話ではなく、声に連動して頭が動いたり、LEDが明滅することによって話し手の存在感を演出することができます。

別の例では、メッセージアプリと連動することで、メッセージをanoneに読ませたり、IoTサービスと連携することで家の中のハブとして活用されていくことも想定されていました。


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2体いる場合、片方の頭を押すと、もう一方のanoneの頭が引っ込む

anoneは、「R-env:連舞」と連携しているため、他のデバイスやロボットと連動するようなアプリケーションを簡単に作ることができます。なので、玄関のスマートロックが空いたら「anone」が電気とテレビをつけて、「おかえり」を言ってくれるなんてことも、簡単に作ることができるのです。

「NTT R&D フォーラム」全体で使われていたキーワードの一つに、NTTグループのAI関連技術の集合体「corevo(コレボ)」があります。

corevoには、音声認識や音声合成、自然言語処理、感覚情報処理などなど、あらゆる技術が含まれていますが、「anone」も「corevo」と繋がることで雑談などの自然会話やビッグデータを活用したレコメンドなどの付加価値を提供することができるようになるでしょう。

担当の方によれば、3,000円から5,000円程度の価格帯で、年度内に販売をしていきたいと考えているそう。そのためには生産のロット数を上げる必要があるため、ビジネスパートナーを広く募集していくことで、より魅力的なサービス展開をしていきたいと考えているようです。



AIエージェント

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別のブースでは、「anone」がAIエージェントのインターフェースとして活用されていました。

マイクから話しかけると、その日の会場案内などのデータを集積したコーパスから、適切な回答を返答してくれます。

例えば「ロボット」と話しかけると、「○○のエリアにある××というブースでは、ロボットによるデモンストーレションが行われています」という情報を喋り、そこまでの行き方をプロジェクションマッピングによって示してくれます。


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床にも方向を示してくれる

自然言語処理や対話の部分には「corevo」が、プロジェクターの制御やAIエージェントとの連動などの部分は「R-env:連舞」が行っており、そのもの単体ではなく様々なデバイスと連携をすることで、案内のための方法を模索している様子が伺えました。


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この「corevo」を活用したAIエージェントは、車の中にも展開していく予定だそうです。「corevo for Drivers」の展示ブースでは、AI技術により、運転手のための支援を行うデモを行っていました。

例えば、音声認識によって体調を気遣ったり、位置情報や目的地を把握した上でのナビゲーションを行ったり、会話の意図を理解した上での自然対話を行っています。

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こちらのAIエージェントのインターフェースは「光る球体」

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「corevo for Drivers」の説明員は「Sota」。一度に15人ほどの前で、2体のSotaが説明を行う

案内の時にはanoneのような顔があることで話しかけやすさを演出し、運転の時には対話者を見る必要がないインターフェースになり、存在感を示したい時にはロボットをインターフェースとするなど、活用する場所によって形を変えていくことが必要であることを感じさせます。



「R-env:連舞」の特設部屋も

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今回のイベント内のデモンストレーションの制御に至るところで活用されていた「R-env:連舞」。NTTグループ外の企業と共に行っている実証実験の様子などをまとめたブースも用意されていました。


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「R-env:連舞」はWEB上からつかうことができる、デバイス間制御のためのツール。NTTグループ内での認知度も高く、エンジニアでなくても使うことができるGUIのため、今後corevoとともに、NTTのロボット事業やIoT事業の核を担っていく可能性を秘めています。「R-env:連舞」については過去の紹介記事を併せてご覧ください。

ということで、ロボット関連の情報の中から一部を抜粋してご紹介しました。

このほかにも本当にたくさんの最新研究を見ることができる「NTT R&D フォーラム 2017」。会期中は、三鷹駅から会場までの無料シャトルバスも出てますので、お時間がある方は足を運んでみてはいかがでしょうか。

ABOUT THE AUTHOR / 

望月 亮輔

1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。

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