デジタルハリウッド サービスロボティクス専攻(シャープ:ロボホン)の授業が行われました

3月8日、デジタルハリウッド サービスロボティクス専攻の授業が行われました。今回の講師はシャープ景井さん。講義内容は「RoBoHoNにおける取り組みとロボホンにおけるコミュニケーションデザインについて」です。


関連サイト
シャープ:ロボホン

景井さんの自己紹介です。


大学生の頃から携帯電話が好きで、2001年シャープ入社後、念願かなって携帯電話の商品企画担当となります。Androidスマートフォン第1号機の企画などを行い、2013年からは新規事業プロジェクト担当となり、ロボホンが生まれました。


ロボット型スマートフォンであるロボホンは商品として新しい取り組みと言われることが多いそうですが、ビジネスのサプライチェーンもシャープとして新しい取り組みをしているそうです。


ロボホンの機能について、自己紹介で説明をしてくれました。


ハードウェアスペックはこちらです。


一般的なスマホと異なるのは、内蔵されている13個のサーボモータで手足などが動いたり、頭のレーザープロジェクタで投影ができる点です。


ロボホンは毎月のソフトウェアアップデートで歌・ダンス・腹筋・背筋などを更新(習得)し、反応する言葉が増えたり話しかけてきたりします。このようにロボホンが成長していくことが特徴と言えます。


アプリもロボホンの特徴を利用したものが搭載されています。例えば、レシピアプリでは、ロボホンが手順に沿って教えてくれた上に調理中に待ってくれるので、一緒に料理をしている気持ちになれます。


ロボホンでは、公式サイト「ロボホンドットコム」をシャープが運営しています。


どうしてシャープ自身が運営しているのでしょうか?


ロボホンは、どのようなお客様がどのような使い方をしているかを知りたいので、直販サイトを立ち上げたそうです。直販サイトは、ここにきたらロボホンに関するキャンペーン情報やどこで会えるかの情報、通販など全てを掲載しています。


関連サイト
シャープ:ロボホン

クラウドサービスである「ココロプラン」も自社で運営しています。ロボホンから収集したログ情報を匿名化・統計化して、ロボホンの進化に利用しています。


ロボホンをきっかけに、シャープがMVNO業者に参入という新たな試みも行っています。


法人向け展開もシャープとしての新たな試みです。


法人展開をするにあたって、業務でロボットを利用するメリットを社内で考えたそうです。


 ・大量の内容を記憶できる
 ・繰り返しなどの単調作業でも飽きない
 ・オススメなども圧迫感がない

そして、ロボホンの優位点です。


 ・広く愛されるデザイン・キャラクター性
 ・小さいため設置の自由度が高い
 ・利用できる基本アプリや、センサや外部インターフェイスも豊富
 ・Android OSでアプリが作りやすい

現在、法人向けのアプリパック「お仕事パック」を提供しています。



3つのアプリとシナリオ作成ツールがセットになったパックです。用途に合わせてロボホンがお話する内容を変えることができます。


3つのアプリは、会話内容をメールで送ることもできる「受付・接客アプリ」、ロボホンのプロジェクターやタブレットを使う「プレゼンアプリ」、離れた場所からメッセージの読み上げや写真撮影に対応している「遠隔アプリ」です。


事例紹介です。




認定開発パートナー制度もスタートしています。アプリを開発し、一緒にビジネスをしてくれる企業様を募集中です。



3月8日現在、認定開発パートナーは37社になりました。


認定開発パートナー様アプリも。


ロボホンパートナーフォーラムも開設しました。


小学生向けにロボホンを使ったプログラミング教室も行われました。


今後、法人向けに強化していきたいことは以下の4つです。



次に、開発背景と商品化までの道のりについてです。


シャープでは以前からおしゃべり家電を展開していました。例えば、COCOROBOは、おしゃべりするロボット掃除機です。


しゃべりかけてくれるスマホの機能「EMOPA(エモパー)」も展開していました。


これらは「人と機械との関係を変えたい」という考えから生まれたものです。「音声対話のUIを使って人間との関係を変えていきたい」とも言えます。


景井さんはスマホの新商品開発を考える中で、スマホに耳をつけるオプション品などを考えていました。この時にお会いしたのがロボットクリエイターの高橋智隆さん。高橋さんとお話をしてロボット型携帯電話を作ってみようと決意しました。


この後、商品化までの道のり、マーケティング調査とその内容、実施した調査概要、調査から判明したターゲット層について資料を交えお話頂きました。


最後は、ロボホンにおけるコミュニケーションについてです。


ロボホンにおけるコミュニケーションデザインを、以下の5点について説明を頂きました。


 ・自然に対話するためのデザイン
 ・誰もに愛されるキャラクターデザイン
 ・人からの話しかけをストレスなく行うためのデザイン
 ・ロボットならではでのアプリケーションデザイン
 ・オーナーに寄り添うロボットからの話しかけ


この5点をロボホンではどのように工夫しているか、具体的な例を交えてお話頂きました。


授業は以上です。


質疑応答では以下のような質問が出ました。


・会話ログからのロボホンアップデートは、具体的にどのようなことをしているのですか?
・ロボホンに「友達は?」と聞くと、「エモパーと友達だよ」と答えてくれるのですが、具体的にどういう点が友達なんでしょうか?
・携帯電話の品質保証は色々と厳しいですが、ロボホンの品質保証はどうされてますか?
・個人向けの商材と法人向けの商材では組織の作り方が違うと思うのですが、組織設計はどのように行いましたか?
・他のロボットとの差別化をどう行っていくかを教えてください。
・本日の授業を聞いて元々コンシューマー向けの商品開発をしていたと思いますが、法人向けビジネスがイケると思ったのはどういう点からでしょうか?
・シャープの他の製品との相乗効果があれば教えてください。
・商品開発で「やりすぎちゃったなー」と思う所があれば教えてください。
・一緒に組みたいサービスがあれば理由とともに教えてください。
・ロボホンの値段はどうやって決まったのですか?
・どれくらい儲かってますか?


今日の講義は以上です。実際にロボットの企画・開発・製造・販売を行ってきた景井さんからは、色々な体験談を交えたお話が聞くことができて、色々と勉強になりました。


みなさまお疲れ様でした。




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北構 武憲

本業はコミュニケーションロボットやVUI(Voice User Interface)デバイスに関するコンサルティング。主にハッカソン・アイデアソンやロボットが導入された現場への取材を行います。コミュニケーションロボットやVUIデバイスなどがどのように社会に浸透していくかに注目しています。

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