デジタルハリウッド サービスロボティクス専攻(谷口直嗣氏)の授業が行われました - (page 2)



Stopmotion robotics

Stopmotion roboticsは、Mayaの新しい可能性を広げるために、ロボットとの連携をしようと思って作ったものです。2台のロボットアームがブロックの移動とコマの撮影を行い、アニメーションを自動作成するというデモです。

Mayaは3Dアニメ制作ソフトウェアで、CGの空間をオーサリングすることが可能です。空間の位置情報をロボットアームに送ることで、実際の位置空間をオーサリングしています。


作成中のMaya画面です

また、3次元のカメラワークを人間が行うのは大変ですが、ロボットアームを使うと難しいことが簡単にできます。


展示会場ではこのように展示されていました

アニメーション作成中の画面です

KUKAからのテーマは、ロボットと人が協調して作業をするということだったので「ロボットと人間がセッションする」というコンセプトで、デザイナーの人にリアルタイムで演出をいれてもらいました。

作っている過程も面白いので、デモ展示の時に足を止めて見る人もいたそうです。


「ロボットの可能性を他の人と考える Scratch × Pepper (ワークショップ)」

初心者向けのプログラミングツールScratchとPepperの連携のワークショップです。主に小学生が参加者でした。




3時間のワークショップでKinectとPepperを連携させた小学生もいました。このワークショップでは、Pepperと他のものを組み合わせると色々な可能性が広がると感じたそうです。


「ロボットの可能性を他の人と考える Unity × Pepper (ワークショップ)」

Unityを使ってPepperをしゃべらせるワークショップも行いました。

エンタメ業界の人がPepperアプリ開発に入ってくると面白い使い方が生まれるんじゃないかと考え、Unityの開発者にPepperを触らせるワークショップを企画しました。





HoloLens × Pepper

HoloLensで環境の形状を読み取り、物理シミュレーションでPepperのホログラフィックを現実の地面の上にMixed Reality 表示させるのにも最近チャレンジしてみました。



以上が谷口さんが行ってきたロボット仕事です。今までの経験から、谷口さんは「全ては組み合わせ」と考えています。ロボットと色々なモノや人を組み合わせることで何ができるかを考えてきたそうです。



後半では「心理学 × ロボット」と題し、他のプロフェッショナルと考えることについてお話頂きました。



谷口さんが色々なロボットの仕事に関わってきた中で、「人間がロボットにどう思うか」を整理していくと、「人間と人間の関係性を考えること」ではないかと思うようになりました。心理学がロボットアプリケーションを作る際のフレームワークとなりうるのではないかと仮説を立て、心理学の博士にこの話をしてみたところ興味を持ってくれたそう。

ここから心理学を通じてロボットを考えて見るようになりました。

授業では心理学での家族療法の説明や臨床セラピストの事例紹介を行い、そこからロボットとの関係を考えることについてお話を頂きました。



授業は以上です。

質疑応答では以下のような質問が出ました。

・事例でお話頂いた企画が面白いと思いました。谷口さんの根っこになったような体験ってありますでしょうか。
・人間との関係を良くするロボットについて興味があります。今日お話頂いた以外に心理学のアプローチでどういうものがありますか。
・ロボットにどれくらいのリアクションがあると人間に伝わると思いますか?
・心理学の部分に興味がありました。原始反射についてもうちょっと詳しく教えてください。
・色々な人間の仕草をモーションにしていくとき、参考になるものがあれば教えてください。
・谷口さんがプログラムをしている時間と新しいアイデアを仕入れる時間は1日でどれくらいの割合ですか?
・コミュニケーションロボットの提案をする時にコスト削減を求められることが多いです。ロボットを設置すると面白いことになりますよというアイデアを引き出すためにはどのようにすればよろしいでしょうか。
・「ロボットが感情を持つ」ということについて、谷口さんがどう考えているかを教えてください。

今日の講義は以上です。ロボットに関する様々な連携事例に取り組んできた谷口さん。ご自身の経験を踏まえた上で、心理学的なアプローチでコミュニケーションロボットを捉えるお話は興味深かったです。色々と勉強になりました。

みなさまお疲れ様でした。


おまけ:懇親会

今回、授業終了後の教室で懇親会が開催されました。希望者が各自5分間で自己紹介をするというものです。受講生の中にも既に深くロボットのお仕事をしている方もいて、各自の自己紹介を聞いているだけでも勉強になりました。


ピザを食べながらのゆったりとした雰囲気でした


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北構 武憲

本業はコミュニケーションロボットやVUI(Voice User Interface)デバイスに関するコンサルティング。主にハッカソン・アイデアソンやロボットが導入された現場への取材を行います。コミュニケーションロボットやVUIデバイスなどがどのように社会に浸透していくかに注目しています。

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