COMPUTEX TAIPEIとは
COMPUTEX TAIPEIとは毎年5月末から6月頭にかけて台北市での南港展覧館やワールドトレードセンターなどで行われているコンピュータ関連の見本市です。例年であれば、このタイミングでCPUやモバイル関連の商品など発表が行われていました。今年もIntelからCore i9がこのタイミングで発表されています。
メイン会場は南港展覧館でここを中心にロボット展示についてどんなものがあるか見てきました。
こんなロボットがありました
ibotn
まず最初に出会ったのがADATAが発表した「ibotn」です。ADATAのブースには幸いにも日本ブランチの担当者もいたので案内していただきました。まずはOSはAndroid(バージョンまで聞けませんでした)で、やはりディスプレイを顔にするというものでした。
ブースではお絵描きしたイラストをibotnの顔でAR表示するというアプリのデモを行っていました。
担当者の話を伺うとibotnは基本的にはBtoBへの展開をメインに想定しており、受付からミーティング場所まで案内するなどのおもてなしなどを行うシーンなどを想定しているようです。
また、日本語対応の予定もあり年末から来年に日本にも展開を予定しているとのことでした。
その他にも小型版の「RH101」を展示していました。こちらはディスプレイなどは備えず、カメラとマイクが内蔵していることとのことでした。スマホアプリ連携などで利用していく感じでしょうか。残念ながら展示では動いていなかったです。
日本展開も予定しているようですし、またアップデートした情報があればキャッチアップ&共有したいと思います。
Zenbo
Zenboは今年のCOMPUTEXでBest Choice AWARDに選ばれたみたいで、数カ所で展示していました。当然ASUSブースのZenboステージは大盛況です。
幸運にもASUSさんのご招待でZenboのデモを体験することができたので、こちらの詳細レポートはのちほど別記事にて展開します。
Pepper
お馴染みのPepperとAzureと連携しているデモ。
New Kinpo Group
名前はよくわかりませんが、病院の受付などでの利用を想定しているとのことで、こんなロボットがありました。
OSはディスプレイはAndroid、アクチュエータなどを動かしているのはWindowsとのことです。その証拠としてロボット側のセンサとして頭に「RealSense」が搭載されていました。
六脚型や二足歩行ロボット、ロボットアームが展示されていました(これはちょっと欲しいかなと)
そのほか。XYZboardという、どこかで見たことあるような、乗り物もありました。(乗ってみましたが、結構むずかしかったです。乗ったらペイロードをオーバーしていたのか止まらなくなりました(笑))
MakeRobot
お馴染みの MakeRobot。
Robelf
ここではRobelfという 現在Indiegogoでファンディングしているロボットのブースもありました。
やはり、OSはAndroidで機能は聞く限り新しいものは感じませんでした。※詳しくはIndiegogoのサイトを見て下さい。
デリバリーは7月目標といっており、まずは英語をベースに展開すると。そのあとに言語を拡げていくといっていました(どこまでできるかは正直わかりませんでしたが、、、)
お姉さんとの写真は撮ろうとすると他の方を向いてしまいました。
BenQ
結構日本でもリーズナブルなディスプレイとしてお馴染みのBenQ。ここも病院でもサポートを目的としたMiBotと接客を目的としたDiBotがデモしていました。しかし、まだコンセプトモデルという感じでしたが。
Mibot。
Dibot。
SHENZHEN DOKING TECHNOLOGY
また、音楽に合わせて踊っているロボット。
こちらはコンセプトモデルみたいで販売はしていないとのことです。やはりAndroidでした。この会社はどうやらSurfaceのキーボードやDialをOEM生産している会社のようでした。
ITRI(工業技術研究院)
メイン会場の南港展覧館でなく世貿101の1館でAIを使ってチェスを行うというロボットがありました。COMPUTEXで唯一AI✕ロボットというのものではないでしょうか。
しかし、この時間はデモンストレーションをやっておらず。残念ながらチェスがみれませんでした。
タブレットを活用したロボットはだいたいメインOSがAndroidになっている
まず気になったのがほとんどのロボットのメインOSのがAndroidになっていることです。そして、顔がディスプレイになってるというものです。数年前はスマートデバイスとしてのAndroidというイメージでしたが、やはりこの数年であらゆるところにAndroidが広がり、IoT、AI、ロボット、AR/VRなどの中心として存在しはじめているというのが、あらためて実感できました。
※ロボットだけでなくPOSなどの組み込みOSにもAndroidが採用されているケースが多々ありました。
音声認識についてはAxelaもGoogle Homeの存在も見られず
次に気になったのが「はじめて提案された」新しいものがほとんど見られなかったことです。どちらかというと、COMPUTEXは「新しいプロダクト」を提案するより「すでに提案されているコンテンツに対してNEXT STEPをどう持っていくか」を提案していくように見えました。
※スタートアップ向けの展示場も企画としてブレイクスルーしたものはなく、たとえば「視線解析」なら運転中の睡眠監視のものばかりでした。
なので、CESでたくさんあったAxelaもGoogle Homeを活用した音声認識プロダクトは全く見られませんでした(私が見落としただけかもしれませんでしたが、、、)
ちなみに忠孝新生駅の近くにある家電ショップの「三創家電」の中にあるHTCのストア内にはHTC-11はメインプロダクトとして展示・販売していました。
ここでは特にAlexaのことは記載されていません(英語圏でないからでしょうが、、、)
サービスロボットに必要なユーザー体験とは?
全体にみて、コミュニケーション/病院用/接客用/受付用など、よくある利用シーンで想定されたロボットが提案されていましたが、アプリケーションがあまり設計されていないのか、いままでからの発展性は正直言ってあまりみられませんでした。
つまり、どのロボットもユースケースは考えているけどどういう体験を提供するかということがあまり設計されていない感じがします。サービスロボットが浸透するために「サービスロボットに必要なユーザー体験は?」。これをそろそろ本気で考える必要があると思います。その仕事はデベロッパーの役割だということかもしれませんが、いままでの流れで見ると、これではサービスロボットの発展は厳しいかもというのが少し危機感として感じました。
もっとも、このあとに体験したZenboのデモで、この危機感が期待感に変わるところがあったので、その内容は次の記事で紹介したいと思います。
余談
台湾は方角が非常にわかりづらくて、慣れていないとどの方向に向かっているかわかりませんでした。そんな中、GoogleMapは非常に重宝されたのですが、常時使用している(会場内ではカメラがフル稼働している)状態なのでバッテリーが切れてしまわないか、ずっと恐る恐るの状況でした。もし切れてしまうと、地図も見れないし、メールもできない。下手すると宿泊先に戻れなくなってしまう可能性があるという、半分詰んだ状況になるからです。以前なら紙の地図などに頼っていたのが、GoogleMapによって正確に自分の位置と行き先の位置がわかるため、非常に便利で依存してしまう反面、失ってしまう代償が非常に大きい「インフラ」的存在となっています。
サービスロボットという存在は、単に便利とか愛着を持つだけでなく、失ったときどういう代償が生まれるのでしょうか? サービスロボットのユーザーエクスペリエンスについて考えていくとき、こういう体験がヒントになるのかもしれません。
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江頭 宏和html5jロボット部 部長。html5jスタッフ、日本アンドロイドの会運営委員。 広告会社系のデジタルプロダクションに勤務。またhtml5j、日本アンドロイドの会などデベロッパー向けコミュニティを運営する傍ら、趣味でロボットやマイコンなどで遊んでいます。 最近はロボットだけでなくGoogle TangoのようなMRにも力を入れ始めています。