【独占取材】アマゾンの副社長が語る「Amazon Echoで最も重視していること」とは?
11月8日、日本語に対応したスマートスピーカー「Amazon Echo」と音声アシスタント「Amazon Alexa」が発表されました。
スマートスピーカーは「スマートフォンの次の来るモノ」として、米国、英国、ドイツ、インドで既に注目を浴びています。
報道関係者向け発表会に合わせて来日したAmazon,Inc.のAmazon Alexa担当 Senior Vice Presidentのトム・テイラー氏に、ロボスタは単独インタビューを行いました。今回はその様子をお届けします。
編集部
Amazon Echo製品の発表、おめでとうございます。まずはアメリカでの使い方、ユースケース等を教えてください
テイラー氏
アマゾンエコーはスピーカーなので、代表的なユースケースは音楽を聞いたり、物語や小説を読み上げるといった使い方です。更にカレンダーやスケジュールを音声で読み上げてもらって確認したり、アラームを鳴らすなど、家庭で便利に使える機能が利用されています。そして、スマートホーム機器の制御に使用することです。照明のオン/オフやカーテンの開け閉め、サーモスタットのコントロールなどを、ユーザーは音声で指示することができます。ほかには、クルマとAlexaが連携し、運転しながら音声で情報提供することかできます。また、さまざまな家電と連携した使い方も可能です。
編集部
日本でもアマゾン・ダッシュのサービスは始まっていて、ワンボタンで商品を購入することができます。しかし、アマゾンエコーで音声で注文しての買い物はまだできません。いつも購入している商品を音声で買い物リストに加えることまでです。それはなぜでしょうか。
テイラー氏
米国では既にアマゾンエコーを使って音声でショッピングすることができます。「Echo Show」(ディスプレイ付きのAmazon Echo)を使って画面を確認しながら買い物を楽しむというスタイルも人気が出てきています。同様に日本でもショッピングは近く可能になるでしょう。
編集部
日本市場向けに「Echo Show」や「Echo Look」の発売も予定していますか?
テイラー氏
具体的にどの製品が今後登場するかはここでコミットすることはできませんが、日本市場向けにAmazon Echo製品群は今後も増やしていくつもりです。
編集部
「AIスマートスピーカー」や「AIスピーカー」という言葉が注目のキーワードになっていますが、Amazon EchoやAlexaでは、AI技術をどのような部分で使っているのでしょうか
テイラー氏
音声アシスタントとして質問に答えたり、エンタテインメントを提供する部分でAIを活用しています。また、Alexaはクラウド上でよりスマートに進化していきます。例えば、楽曲のリコメンドや選曲です。AIが好みを学習し、個々人の嗜好に合わせた楽曲を提案したり、再生リストを作成していくなどです。
編集部
音声インタフェースには否定的な人もいます。特に日本人は音声で機器を操作するのに慣れていません。
テイラー氏
良い質問ですね。コミュニケーションの方法として、音声はキーボードやタッチタイプよりもはるかに自然で簡単です。それは人間同士でも人間と機械でも同じです。これまでのキーボードやタッチタイプを使ったやり方ではとても難しかったことが、音声で操作すると簡単にできるようになることはたくさんあります。そこに注目して頂ければ、音声インタフェースの将来性が見えてくると思います。
編集部
多くの企業がAmazon Echoを使ったビジネス展開やマネタイズを考えていると思います。企業はAmazon Echoのスキルを使うと、消費者にどのようなサービスが提供できるようになるでしょうか。
テイラー氏
米国では、Amazon Echoを使って、ピザを注文したり、レンタカーやタクシーを呼ぶこと等ができます。ニュースをサブスクライブすることもできます。これらは各社がスキルによって提供しています。日本でもすぐにそうなるでしょう。
ただ、私達が重視しているのは「多くの企業がスキルを提供することで、消費者の方々がAmazon Echoをより便利に活用できるようになる」ことです。まずはスキルの数を増やしたいと考えています。拙速にマネタイズを重視すると失敗に繋がると感じています。
編集部
従来のインターネット広告はパソコンやスマートフォンで表示する、テキストや画像を使ったものが中心です。スマートスピーカーが普及するとインターネット広告のあり方が大きく変わっていく可能性があります。どう考えますか?
テイラー氏
それは様子を見てみたいと思っています(笑)。
スマートスピーカー市場はまだはじまったばかりなので、広告を含めて、さまざまなことをしばらく状況を見ながら判断していきたいと思っています。というのも、私達はAmazon EchoやAlexaがみなさんにとって「家族」や「友達」のような存在になって欲しいと思っています。友達に頼む感覚でピザを注文したり、タクシーを呼んでくれる存在です。ニュースを読みあげるときに広告の情報も入ってくる可能性はありますが、私たちがサービスを検討する上で一番重視していることは「消費者のためになるかどうか」ということです。
編集部
最後に日本の消費者に向けてメッセージをお願いします。
テイラー氏
Amazon EchoとAlexaは、日本語の環境に合わせてゼロから開発し、日本の皆様のために築き上げてきました。本日発表できたことはとてもうれしいです。EchoとAlexaが多くのお客様に使って頂き、使って頂くことで進化していく、皆さんには一緒に育てていって頂きたいと思っています。
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。