アマゾン主催「Alexaスキルアワード2018」レポート! 365スキルの中で最優秀のスキルとは?

9月29日(土)、アマゾンジャパン公式のアレクサスキルコンテスト「Alexaスキルアワード2018」の決勝審査会が、アマゾンジャパンの新オフィス・目黒セントラルスクエア21Fで開催されました。

スキルの応募総数は365スキル。その中から24スキルが決勝審査会へと進み、当日プレゼンテーションを行ないました。24スキルのスキルの内容をざっとご紹介していき、記事の最後で、それぞれの賞に輝いたスキルをご紹介していきます。

今回は1チームあたりプレゼン・質問合わせて5分間が与えられ、日常性・わかりやすさ・独創性・発展性・完成度の5つの項目で審査が行われました。

審査員は、以下の7名です。


左から、アマゾンジャパン合同会社 アレクサビジネス本部 本部長 柳田晃嗣さん、タレント/エンジニア 池澤あやかさん、技術アドバイザー(フリーランス) 及川卓也さん、ハンズラボ株式会社 ITエンジニア 荒木大輔さん

左から、フリーランスジャーナリスト 西田宗千佳さん、アマゾンジャパン合同会社 Alexaエクスペリエンス・アンド・ディバイス プロダクトマネジメント シニアマネージャー カレン・ルービンさん、クラスメソッド株式会社 Alexa事業部 Alexaエバンジェリスト / VUIアーキテクト 清野 剛史さん

それでは、早速それぞれのスキルを発表順にご紹介していきます。


Smart Post(プロトタイプ)Echo Spot連携

「Alexa、ホームコントローラーでポストを確認して」と伝えることで、家のポストの中を確認してくれるというスキル。ポストにつけられたカメラで撮影し、郵便物をEcho Spot経由で確認できます。「今日の11時55分に手紙などが投函されたことを確認しました」など、外出先や、あるいは家の中にいながら「Echo Spot」経由で郵便物の画像を見ることができる便利なスキルです。


ゴミ丸

「スプレー缶」など「ゴミの分別がわからない」という需要に応えるのが、ゴミ丸です。「Alexa、ゴミ丸でスプレー缶は?」と尋ねると、「危険ゴミです。次の収集日は来週火曜日です」などと伝えてくれます。現在のところ、愛知県豊橋市のみに対応しており、今後は愛知県を制覇して、全国1714の自治体にも対応していきたいと展望を語りました。


ドラゴンロール 寿司屋の通訳

全国に2万4千店舗があるお寿司屋さん。ドラゴンロールは、そんな寿司屋における英語対応を担うスキルです。英語が話せない寿司屋では、メニューを英語表記するなどの工夫をしていますが、このスキルがあれば音声でネタの英語翻訳をしてくれます。大将がシマアジと尋ねればシマアジの英語を教えてくれます。便利だなと思ったのは、英語発音だけでなくカタカナ発音も教えてくれる点。英語発音はpollyではなく、本物の外国人声優に喋ってもらっているそうです。


内線放送

内線放送は、すでに企業にある内線通話網を使って、そこにAlexa経由で音声を流すスキルです。既存の設備を大きく改変せずとも使えるので、呼び出しなどでも使えそうです。


ハノイの塔トレーニング

「ハノイの塔トレーニング」は、パズルゲーム「ハノイの塔」を音声で楽しむことができるというもの。通常は目の前に専用のアイテムを用意する必要がありますが、こちらは必要なのはAlexaとスキルのみ。さらに目の前にモノが置かれていないことにより、記憶力や頭の回転力、忍耐力を鍛えることができます。開発者は視覚障害を持っている方でしたが、コマンドラインとスクリーンリーダーを活用して開発したということで、とても驚きました。


歯医者さん

歯科予約システムを展開するGENESISさんが作ったスキルが「歯医者さん」。歯医者さんの予約情報を教えてくれるスキルです。予約確認だけでなく、より親しみを持ってもらうために、天気予報なども教えてくれます。


みんなのおりがみ

「老人ホームやご家庭でみんなで遊んでもらえたらと思って作りました」とほっこりした開発理由で始まったプレゼン。こちらは、折り紙の折り方を音声で教えてくれるというものです。「折り紙の白いめんを上にして、一つの角が手前に来るように置いてね」など折り方を教えてくれます。Echo Spotであれば、画像を表示して見せてくれるので、折り方もわかりやすいですね。


美浜区の避難場所探してみよう

「美浜区の避難場所探してみよう」は、美浜区の避難場所を教えてもらえる学習コンテンツ。ユーザーが地域名を発話すると、千葉市美浜区の指定避難場所候補を教えてくれます。開発者の体が不自由なお母様のために考えられたスキルだそうです。


魚魚リンガル

「お魚さんと話せたら素敵やん」と考えて作られたのが、魚と話せる水槽。水槽の温度や汚濁度や、餌やり情報を記録し、魚の気持ちと照明の色や会話内容がリンクします。会話の内容もまるでシーマンかのように楽しく、魚を飼っている人が欲しくなるスキルだと感じました。


スロットテスト

ファイナリストの中では唯一のスキル開発者向けのスキルです。主要な9つの型に対応して、音声認識の結果を好きなだけテストできます。Amazonの公式とは絶対に書かないでください、など6回のリジェクトを受けたそうです。


ローカルライドシェア

これは、車に乗せてあげる人と乗りたい人をマッチングさせるスキル。過疎化・高齢化が進む地域では「○○まで乗せていって」というようなことが当たり前に行われています。「ローカルライドシェア」は、そんな「信頼で繋がるコミュニティが長く続いて欲しい」という想いで開発されました。お金のやり取りがないのでUberのようなビジネス化は難しいかもしれませんが、地方に住む人にとっては車載Alexaにあったら嬉しいスキルですね。


居酒屋清子〜KBC長浜横丁〜

KBC九州朝日放送のラジオ生ワイド番組「居酒屋清子」から生まれたスキル。清子女将とユーザーがあたかも会話しているかのように、楽しくお酒を飲むことができます。一人で飲むときに一緒に乾杯をしてくれ、日付や時間、アクセス回数、頻度などで女将の対応が変わるというものです。すごく素敵な声で、お酒飲みたくなりそうだなと思いました。


いこーよのおでかけナビ

子供とお出かけ情報サイト「いこーよ」から生まれたスキルが「いこーよのおでかけナビ」。Alexaに郵便番号を教えて、「動物園」などと伝えると、近場から順番に音声でスポットを教えてもらえます。その後、詳しい情報はAlexaアプリへと情報が送られます。どうやって探していいかわからない、おでかけビギナーのために、使いやすいVUXを考えて作られていました。こちらも車載Alexaとかに欲しいスキルです。


おえかきおねえさん

「ユーザー体験を考えた際に、音声以外の要素を組み合わせたいと思った」ということで作られた「おえかきおねえさん」。スキルからの命令で実際に手を動かしてお絵かきをしていきます。なんの絵を描くのかを事前に教えないことで、ゲーム性を持たせて作られました。子供達はAlexaのお絵かき指示に従って、どんな絵ができたか、最後に答え合わせをするというものです。言語聴覚士に試してもらったところ「脳トレやリハビリにも使えそう」というコメントをもらったそうです。


緊急事態!助けて

一人で暮らすお年寄りが苦しくなったときに、Alexaに「助けて」ということで起動します。初回起動時に家族や友人の連絡先情報を登録しておくことで、助けてと言われた際に、登録者に電話やSMSなど複数の連絡手段で通知が届きます。


テローコントローラー

ドローンをAlexa経由で動かすすごいスキル。ドローンが飛んだ時の歓声はもっとも大きかったんじゃないでしょうか。「100cm進んで」「左に90度旋回して」など、ドローンを動かします。未来感半端なかったです。
残念ながらパソコンを起動する必要があるため、Alexaスキルとしてスキルストアで公開する事はできません。


テレビリモコン

テレビリモコンは、その名前の通り、テレビのリモコンとして使用するスキル。ラズパイと組み合わせて、発表者のご自宅のテレビを音声で操作ができるようになっています。番組表を開いたり、おすすめ番組に変えてもらったりもできます(ちなみにおすすめは現在のところランダムです)。質疑応答で、どこのメーカーのテレビに対応しているかを問われましたが、「ガチガチに縛りがあって、我が家のテレビにしか対応していません」とのことで、会場からも笑いが起きました。


こたえのないえかきうた

サントリーが開発した「こたえのないえかきうた」は、先ほどの「おえかきおねえさん」とは違い、答えが用意されていない絵描き歌スキルです。耳に残るリズムに合わせて絵描き歌の指示がされていきますが、そこにゴールも正解もありません。何を描くのか決まっていない絵描き歌のため、子供達の柔軟に考える力や発想力を養いつつ、家族・友達同士でも楽しむことができます。7つのフレーズを組み合わせて1万通り(実際にはもっと多く作ることができる)もの絵描き歌が用意されています。動画も、資料も、クオリティが非常に高かったです。


クイックちゃん

セゾン情報システムズが開発したクイックちゃんは、すでに同社で導入されているものです。セゾン情報システムズでは、社員が福利厚生としてマッサージを受けることができ、そこではマッサージ師(ヘルスキーパー)として視覚障害を持った方々が働いています。これまでヘルスキーパーの方々はサポーターの手助けがなければ業務を遂行できませんでした。しかし今回発表されたAlexaスキル「クイックちゃん」を使うことで、社内チャットツールを経由して次の人を呼んだり、あと何人が待っているかなどステータスを確認することができるようになったそう。これにより、年間192時間のサポート工数が削減され、1日に施術できる人数が22%増えたようです。


おばあちゃんセンサー

おばあちゃんセンサーは、遠隔地にいるおばあちゃんが元気かどうかを確認するためのスキルです。ソニーの電子タグ「MESH」をおばあちゃんの自宅に複数設置しておくことで、遠くに住む家族がAlexaに「おばあちゃん、元気?」と聞くと、「おばあちゃんは2018年9月29日15時54分に居間にいました」などと教えてもらうことができます。これまで電話しないと元気かどうかわかりませんでしたが、Alexa経由で教えてもらうことができる、新しい見守りとして良さそうです。名前はおばあちゃんセンサーですが、「実はおじいちゃんでも使うことができます」と言ったところがハイライトでした。


キャプテン九九

キャプテン九九は、九九を音声で学習するスキルです。九九を覚えるためには、繰り返し九九を唱えないといけません。それをAlexaを活用することで、学習意欲を高めながら、暗記を促進してくれます。九九に「ラップ」要素と「冒険」要素を加えることで、子供達が楽しく九九を学べる工夫がされていました。


ぼく、わたし帰ったよ

「ぼく、わたし帰ったよ」は鍵っ子がいる、共働き家庭のためのスキルです。自宅に帰り、Alexaに話しかけると親に通知が届くようになっています。帰宅すると、「何時におばあちゃんの家に行くか」をAlexaが子供に尋ね、その回答がtwilio経由でおばあちゃんの自宅の電話に通知されるようになっています。共働きかつ帰宅後に子供がおばあちゃんの家に遊びに行く家庭向け、というかなり狭い設定ではありましたが、条件が合致する家庭では重宝されそうです。


血圧手帳

血圧手帳は、日々の血圧を管理してくれるスキルです。Alexaに日々上下の血圧を伝えていくことで、Alexaがその情報を蓄積し、知りたいときにグラフ化して教えてくれるようになっています。スマホアプリを使うことができない高齢者が声だけで管理してもらえるのは便利ですよね。


YES NO ライト

「夫婦やカップルの不仲を解消し、少子化問題の解決をする」という意図で作られたのが「YES NO ライト」。一言でいうと、Alexa版の「YES NO まくら」です。女性側が「今日の夜の気分」をAlexaに伝えておくことで、夜になると帰ってきた旦那さんに「ライトの色」で気分を伝えてくれます。過去ログをkintoneで繋げて見ることができるということでした。笑



最優秀賞に輝いたのは?

さて、そんなこんなで、本当にあっという間にプレゼンタイムが終わりました。24チームもあったので、聞くのも大変かなーと思っていたのですが、5分間のコンパクトな発表の中に工夫が散りばめられていて、アイデアも面白く時間が過ぎるのが早かったです。

24チームの中から、法人の最優秀賞と個人の最優秀賞、そして各部門賞などが発表されました。

各賞は以下の通りです。


最優秀賞 個人開発者


最優秀賞 個人開発者(副賞:Amazonギフト券10万円分)に輝いたのは、みんなのおりがみ(k-namech)でした! おめでとうございます。 早速スキルを入れて、試してみたいと思います。


最優秀賞 法人開発者


最優秀賞 法人開発者(副賞:Amazonギフト券10万円分)に輝いたのは、クイックちゃんでした! セゾン情報システムズさん、おめでとうございます。改善された数字などが示されていて、効果もわかりやすかったです。

その他の各部門賞の結果は以下の通りです。

キッズ部門(副賞:Amazonギフト券5万円分)
 こたえのないえかきうた(サントリーホールディングス株式会社)
 みんなのおりがみ(k-namech)

暮らし部門(副賞:Amazonギフト券5万円分)
 ゴミ丸(株式会社Shaxware)
 Smart Post(プロトタイプ)

子育て支援部門(副賞:Amazonギフト券5万円分)
 いこーよのおでかけナビ(アクトインディ株式会社)
 ぼく、わたし帰ったよ(THE チーム 安否確認)

シルバー部門(副賞:Amazonギフト券5万円分)
 血圧手帳(橋本よしゆき)

地方応援部門(副賞:Amazonギフト券5万円分)
 ローカルライドシェア(ローカルライドシェア)

特別賞(副賞:Amazon Echo Spot)
 おばあちゃんセンサー (おばあちゃん、元気?):
 魚魚リンガル(B0U5H1(ボウシ))
 クイックちゃん (株式会社 セゾン情報システムズ)
 ドラゴンロール 寿司屋の通訳 (株式会社メルティングドッツ)

次回のAlexa Awardsではどんなスキルが待っているのか。次回開催が楽しみになりました。参加された皆様、運営の皆様、お疲れ様でした!

なお以下のリンクより、賞を授賞した公開済みのスキルが公式でまとめられています。こちらもぜひご覧ください。

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ロボスタ編集部

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