「ソニーすごいな」ソニーの最新技術が体験できるイベント「WOW Studio」に行ってきた
「ソニーすごいな」改めてそんなことを思ったのは、ソニーが開催したイベント「WOW Studio」でのこと。これは11月2日〜4日の3日間限定で、渋谷キャスト スペース・ガーデンで開催されたイベントです。
プロジェクション技術やAR技術、ロボット技術に音声技術など、様々な技術が体験できたこのイベントの模様をレポートしていきます。
ARでエアホッケー、技術の肝は高速ビジョンセンサー
まず体験したのはARを活用したエアホッケー「「A(i)R Hockey」です。
こちらの動画のように、3人で丸いコートを囲んでエアホッケーをするのですが、円盤型の「通常のパック」を打ち合うだけでなく、プロジェクターで照射された「光のパック」も打つことができます。光のパックはもちろん実態がないただの光なのですが、あたかも実態があるかのように、打つ時に振動を感じるのです。
たくさんの光のパックがある中に「通常のパック」も紛れていて、通常のパックは常にプロジェクターで照らされています。
こんなに速く動いているパックにプロジェクターの光を当てるのは至難の技。ここには、毎秒1,000フレームで対象物の検出と追跡を行うソニーの高速ビジョンセンサー『IMX382』の技術が用いられています。コート全体を毎秒1,000フレームで撮影し、どこにパックがあるかを追跡しているのです。
しかし、高速ビジョンセンサーでパックの位置がわかったとしても、プロジェクターはその動きについていけません。そこで使われているのがAI技術。AIでパックの動きを予測することで、プロジェクターは一歩先の情報を元に照射していくことができるのです。毎秒1,000フレームもの撮影をしているため、この予測が完璧に当たり、プロジェクターもきちんとパックに光を当てています。この技術が本当にすごいなと思いました。
また、天井からビジョンセンサーで撮影しているだけでなく、実はアクリルのコートの下からも撮影は行われています。マレットの底面から出ているLEDの光の位置情報を、コートの下から取得しているのです。これによりマレットの現在位置をリアルタイムに特定し、そのマレットがプロジェクターの光にぶつかると跳ね返って振動が伝わる仕組みになっているのです。
これら一つ一つの技術も素晴らしいですが、全てを統合して、使われている技術なんて気にせずに楽しくプレイできるようにデザインされているのもすごかったです。
音のARでおばけ探し
続いて体験したのは「Sound AR with Xperia Ear Duo」ブースで行われていた「音のARで迷子のおばけ探し」。
巷で話題の「Xperia Ear Duo」を装着し、渋谷キャストの敷地内を歩き回って行なうおばけ探しです。
「Xperia Ear Duo」はソニーモバイルコミュニケーションズが販売中のオープンイヤー型のワイヤレスイヤホンで、耳を塞がないため「外の音」と「イヤホンに流れる音」を同時に聞けるのが特長。まさに「音のAR」に適したデバイスと言えます。
数名のグループになって、全員が「Xperia Ear Duo」を装着し、そこから流れる音を頼りに迷子になったおばけを探していきます。
会場のいくつかのエリアにビーコンが設置されていて、そのエリアに入ると「体の動きと連動した音のAR」を楽しめます。池のエリアでは、小さく足踏みをすると耳元で「ピチャピチャ」と、大きく足踏みをすると「バシャーン」と聞こえてきます。これはXperia Ear Duoの加速度センサーを活用したもの。足踏み時の加速度を学習させているため、足踏みをしているということをイヤホン側で検知し、それに合った音が流れます。
続いて「りんごの木」のエリアでは、木の上にいるおばけを落とすために「ジャンプをしよう」という指令を耳元で受けます。そこからはみんなで必死にジャンプ! 体験したのはちょうどお昼時で、ベンチでランチをしているOLの皆さんが、ずっと怪訝そうな顔をしていました。耳元で指令を受けているなんて知りませんからね…。恥ずかしかった。
私が体験できたのはここまででしたが、実際にはおばけ探しは施設中をぐるっと回って楽しむことができたようです。
aibo、パンダのゴーちゃんに出会う
入り口付近では、複数体のaiboたちが遊んでいる様子を見ることができました。
そこに訪れたテレビ朝日のマスコットキャラクター「ゴーちゃん」。「ゴーちゃんがaiboを飼っている」縁で応援に駆けつけたそうです。
ゴーちゃんは動物に興味を持ち始め、そんな中でテレビ朝日の屋上で偶然出会った「aibo」を飼うことになったのだそう。飼うことになった経緯は置いておいて、パンダがaiboを飼うなんて、不思議。
他にも楽しい展示がたくさん
会場では同じく高速ビジョンセンサーを活用した「Doodle Pen」でも遊ぶことができました。Doodle Penは、プロジェクターと連携して描くことができるペン。
印刷されたパレットの色をカラーセンサーで読み取って色を変えることができます。
塗り絵をすると、その絵にちなんだ音が鳴ります。高速ビジョンセンサーによって、ペンの動きを追尾し、そこにプロジェクターで光を当てているのです。今回は壁一面にお絵かきスペースがありましたが、手元に描いた絵を大きな建物に映すなんてこともできそうです。
「Interactive Tabletop Projection Cafe」では、LINEスタンプの人気キャラ・うさまるのコラボカフェ「うさまるカフェ」で使われている技術を見ることができます。ここでは、カメラでテーブルに置かれた料理を検知して行なうプロジェクションマッピング技術が紹介されています。
料理の画像を学習させて、料理にあったプロジェクションをしてくれるというものです。キャラクターにあった料理を作るのは難しそうですが、このようにプロジェクションで投影することで、簡単にいろんなキャラクターとのコラボカフェができそうです。
そして、ソニーモバイルコミュニケーションズのXperia Touchを活用したメッセージボード。Xperia Touchは壁やテーブルをスマートスクリーンにするガジェット。
壁には、別会場で書かれたメッセージも映されていました。みんなで作るアート作品のようで面白い展示でした。
そんなこんなで体験終了。どのブースも技術紹介ではなく技術を驚きのある体験に昇華して提供してくれているため、一般の方でも楽しめるイベントだと思いました。また別の場所でも開催されて欲しいですね。
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望月 亮輔1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。