【動画あり】「朝食を作るロボット」などコネクテッドロボティクスが開発 HCJ2019で展示デモ

2月19日(火)〜22日(金)で開催中のホスピタリティとフードサービスの商談専門展示会「HCJ2019」では、いくつかのロボット企業がブースを出展している。今回の記事では、中でも来場者からの注目度が高かったコネクテッドロボティクス社のブースを紹介していく。



コネクテッドロボティクスと聞けばたこ焼きロボット「OctoChef」を思い浮かべる読者も多いことだろう。OctoChefはコネクテッドロボティクス社の展示の中でも一番大きなスペースを確保し、来場者からの注目度も高かった。

しかし、OctoChefについては過去の記事でも取り上げているため、そちらを参照いただくこととし、今回はそれ以外の3つの調理ロボットを取り上げる。



朝食ロボットがつくる料理の香りと音で目を覚ます


「ベーコンの焼けるいい香り、目玉焼きの焼ける音、淹れたてのコーヒーの香ばしい香りで気持ちよく目覚めたい」 —— そんな思いで開発されたのが、朝食ロボットの「Loraine(ロレイン)」だ。

映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場する朝食を作る機械からインスピレーションを得て生まれたというこのロボットは、「お母さんが寝ている間に朝食を作ってくれるような体験」を目指して、同映画の主人公マーティの母親「ロレイン」と同じ名前が付けられている。

Loraineは、コーヒーメーカーを操作し、トーストを焼き、スマホアプリから選んだ食材をホットプレートで焼き、目玉焼きを作るという一連の流れを行なってくれる。

アームの動きが速くないため調理に多少の時間はかかってしまうものの、「設定した起床時間に完成するように調理をする」ことが求められているため、調理スピードはそれほど重要ではない。


スマホアプリから起床時間やメニューを選択する(写真の画面は現在開発中のもの)。

使われているのは中国・深センで開発されたロボットアーム「DOBOT Magician」。元々はプログラミング学習用にと作られているものではあるが、その10万円という価格の安さから、コネクテッドロボティクスが展開する調理ロボットでは要所要所で活用されている。

3Dプリンタで仕上げた「カップホルダー」や「専用棚」を活用することで、Loraineは周辺環境含めて30万円程度で作ることができるという。


今回は目玉焼きを焼いてくれたが、ヘラを使ってスクランブルエッグを作ることもできるようだ

会場で展示を見て、「起床時間を見越して調理をしてくれる」というそのコンセプトが気に入ってしまった。「家に欲しいから価格をさらに下げられるように頑張って欲しい」と担当者に伝えたほどである。仮に15万円程度で購入できるのであれば、一般家庭にも普及する可能性を秘めている。

現在開発中で、3月にアメリカ・テキサス州オースティンで開催されるSXSWにも出展予定だ。まずは調理スペースが確保されていない民泊施設などに導入されることを想定していると言う。



コンビニでホットスナックを売るロボット

コンビニも無人化が進んでいく流れにある。しかしそんな中で、人気の「ホットスナック」のコーナーは無人での運用が難しい。売れたものを補填するために調理が必要で、かつホットスナックをフードショーケースから取り出すひと手間がかかるからだ。



コネクテッドロボティクスの「ホットスナックロボット」は、そんな「注文・調理・受渡し」の流れを、2台のロボットを使って実現している。

タブレットから注文を受けると、UR社のアームロボットが注文されたホットスナックをフードショーケースから取り出す。その間にDOBOT Magicianはフードパックを1つだけ持ち上げ、所定の位置に置き、UR社のロボットがその上にホットスナックを置き、客に渡す。その後、注文を受けた商品をUR社のロボットが後ろの調理場で揚げていき、フードショーケースの中に補填していく。コンビニのホットスナックゾーンを省力化できるソリューションだ。



ハウステンボスで活躍するソフトクリームロボットも


ハウステンボスでソフトクリームを作るロボットが活躍しているが、それを会場で見ることができる。会場では、SNSでソフトクリームロボットをシェアすることで、ソフトクリームをもらうことができる。



ハウステンボスで働くソフトクリームロボットは鳥型だが、ここでデモが行なわれているのは別のキャラクター。外装のキャラクターは特注でオーダーすることが可能だ。

こちらのロボットもDOBOT Magicianで作られている。既存のソフトクリームメーカーに、制御するためのモーターなどを取り付け、器用にソフトクリームを作ってくれた。本来はカップを掴むところもロボット自身が行なうようだ。



コネクテッドロボティクスは環境を作るのが上手い

コネクテッドロボティクスのロボットたちは、ロボット単体で動くようには設計されていない。ロボットが持ちやすいような専用のカップホルダーを作ったり、アームが届かない場所にあればコンベアを活用したりと、環境を含めて設計がなされている。だからこそロボットに複雑な処理が発生せずに、完成度を高くすることができるのであろう。

代表の沢登さんが東京大学でロボコンチームに在籍していたこともあり、その後輩たちが同社にジョインしているケースも多い。おそらくロボコンで培われたであろう機転や工夫が見られるのが、コネクテッドロボティクスのロボットたちの魅力なのだと感じた。

「HCJ2019」は今週金曜日まで東京ビッグサイトにて開催中。ぜひ足を運んでいただきたい。

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望月 亮輔

1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。

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