福岡・小倉の課題をロボットで解決! ロボットアイデアソン「ぼくらの未来創世物語」が開催
学生たちがコミュニケーションロボットを使って課題の解決を目指すアイデアソン「ぼくらの未来創世物語」(略:ぼくじぇね)が、3月2日(土)・3日(日)の2日間、福岡県・小倉にて開催されました。昨年の福岡開催に続き、今回が第2回目の開催となった「ぼくじぇね」。今回の記事では、その熱い2日間の模様をレポートしていきます。
会場はJリーグで使用されるサッカースタジアム
今回アイデアソンの会場になったのはJR小倉駅から歩いて10分ほどの「ミクニワールドスタジアム北九州」。ここはJ3リーグの「ギラヴァンツ北九州」のホームスタジアムです。
サッカーをよく観戦しにいく僕からすると、このスタジアムは本当に素晴らしいスタジアムだと感じます。何と言ってもピッチ観客スタンドの距離がとても近いのです。そしてこんな素敵なスタジアムが、新幹線の止まる駅から歩いて10分ほどのところにあるなんて小倉の人たちはホントに羨ましいです。
この素敵なスタジアムの屋内スペースで、全16チーム約80名の学生たちによる、地域の問題をロボットを使って解決する為のアイデアを出し合うアイデアソンが繰り広げられました。
テーマオーナーは地域に根づいた3つの企業・団体
今回のメインテーマは「小倉駅を中心に3者が連携するロボット活用」。ここでいう3者とは、会場となってる「ミクニワールドスタジアム北九州」、小倉駅から出ている「北九州モノレール」、そして北九州小倉の中心的な商店街「魚町銀天街」のことです。
今回のアイデアは、企業から挙げられた課題を解決するものであり、かつ上記の3者が連携するアイデアでなければいけません。正直難易度は高めのテーマ設定となっていました。
アイデアの中に活用するロボットは、ソフトバンクロボティクスの「Pepper」、シャープの「ロボホン」、MJIの「タピア」、ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia Hello!」、ユニロボットの「unibo」そしてハタプロ・ロボティクスの「ZUKKU」の全6種類の中から好きなロボットを選択できます。
特に「ZUKKU」は、今回が初めての「ぼくじぇね」への参加なので、学生たちがどの様な活用方法を提案してくるか非常に楽しみです。
インプットタイム〜フィールドワークを使って情報を入れていく
まずは今回のテーマオーナーから抱えている課題を、そしてロボットメーカーの担当の方からはロボットのコンセプトや特徴などの説明を受けるインプットタイムです。アイデアを出すにも、情報を知らないと何もできません。
ここで各テーマオーナーの課題やロボットの具体的な活用法など理解していきます。参加していた学生の皆は真剣にメモを取りながら聞いていました。
午前中はたっぷりインプットに使い、その後昼食休憩を挟んで、午後からいよいよアイデアソンの開始です。
まずベースとなるアイデア出しをステップ・バイ・ステップで行っていきます。とにかく何でも良いのでアイデアを出していくブレーンストーミング、出たものを精査するアイデアレビュー、それをまたブラッシュアップして絵に表現するアイデアスケッチへと進んでいきます。
前回と大きく異なるのは「フィールド調査」が行えること。テーマオーナーの「ミクニワールドスタジアム北九州」「魚町銀天街」「北九州モノレール」各々の現場に足を運んで、実際に現状と問題点を見て来てそれをアイデアに活かすことが出来るのです。
翌日に行われるアイデア発表は「模造紙1枚にアイデアを表現して、それに対して5分間のプレゼンテーションを行う」というレギュレーションです。出したアイデアとフィールド調査をして現場で感じ取ったものを加えて、各チームアイデアのブラッシュアップをしていきます。
とはいえ、途中で悩んでしまうこともあるので、その時は各テーマオーナーやロボットメーカーの担当者に積極的に質問をぶつけていきました。
会場を使えるのは午後8時半まで。しかし、それでも足りないチームはスタジアム近くにあるコワーキングスペース「COMPASS小倉」に移動してクローズの22時まで積極的な議論を重ねて行きました。
2日目は時間との戦いに
2日目はいよいよ午後からプレゼンテーションが行なわれます。午前中のうちに自分たちのアイデアを模造紙に書き込みつつ、かつプレゼンテーションの準備も着々と進めていきます。
早めに準備が終わるチームもあれば、終了時間ギリギリまでアイデアをブラッシュアップしているチームもあり、個性が際立っていました。
2日間の集大成、プレゼン大会
会場をスタジアム内の記者会見場に移し、いよいよプレゼンテーション開始です。
全体アイデアを審査をするのは、北九州を基盤にしている航空会社スターフライヤーの松石氏、北九州銀行の中司氏、そしてロボット専門ユニフォームのロボユニのロケットロードの泉氏の3名。この3名が全プレゼンテーションの中から最優秀賞を1点決定します。最優秀賞のチームには副賞として賞金10万円が贈られます。
最優秀賞以外にも各テーマオーナーや、ロボットメーカー、特別協賛企業賞など数多くの賞が用意されています。
最優秀賞はどのチームに?
5分のプレゼンテーションと質疑応答が進みいよいよ審査結果の発表となります。各テーマオーナー賞、ロボットメーカー賞、特別協賛企業賞などが発表された後、いよいよ最優秀賞の発表。
見事最優秀賞に輝いたのは北九州工業専門学校のたきもと研究室チームの「#小倉ハイタッチ大作戦」でした。おめでとうございます!
ロボットとハイタッチをすることで小倉の街を元気にしたいというアイデア。審査委員がこれを選んだ大きな理由として「非常に分かりやすくキャッチー」な点、そして「北九州の街が元気になりそう」という点を挙げていました。
個人的に気になったアイデアは、「魚町銀天街賞」と「ZUKKU賞」をダブル受賞した九州国際大学のチームTigrisの「人とロボットのハイブリット空間『Tsunagaru Cafe』」でした。魚町商店街の課題をZUKKUで解決するアイデアで、人・モノ・情報が繋がるカフェ『Tsunagaru Cafe』を魚町銀天街の中に設置し、ロボットが情報発信やプレゼンを行うことでカフェから地域活性化広げていくというものです。
もし、実際にプロジェクトが実現するような場合はハタプロ・ロボティクスさんも協力をすると発表もあり、学生たちのアイデアが実現する第一歩を見た感覚でした。
今回の受賞結果は以下の通り。
最優秀賞:たきもと研究室 「#小倉ハイタッチ大作戦」
北九州モノレール賞:いちごタルト「出会いもスタンプも沿線上でgetだぜ!」
魚町銀天街賞:Tigris「人とロボットのハイブリット空間『Tsunagaru Cafe』」
ミクニワールドスタジアム北九州賞:Advances’s「スタジアムから始まる地域発展へ」
Pepper賞:たきもと研究室 「#小倉ハイタッチ大作戦」
Xperia Hello!賞:Mr.アイディアンソ「AI活!」
RoBoHoN賞:久留米高専3S「顔パスで楽しい小倉ライフを」
Tapia賞:エルヘムジェニートムス「モノレールとロボットによる街の活性化」
ZUKKU賞:Tigris「人とロボットのハイブリット空間『Tsunagaru Cafe』」
Unibo賞:雑種犬「町が1つの生きる博物館北九州市!/かけぽん「ギラヴァンツ勝利の女神『unibo』」(2作品受賞)
安川電機賞:55S「ZUKKUの街」
福岡銀行賞:いちごタルト「出会いもスタンプも沿線上でgetだぜ!」
協賛特別賞:TOFU「エンジョイモノレール」/Seaglass「ロボット X 北九州」(2作品受賞)
またこのアイデアソンに触発されて、久留米工業大学の学生たちが「Xperia Hello」を使ったアイデアソンを開催することを発表し、大盛り上がり。大会委員長の高橋氏の閉会の言葉で2日間に渡るアイデアソンが終了しました。
最後には懇親会が開催され、審査員や各テーマオーナー、ロボットメーカーの皆さんと参加者がこの場でも色々な意見交換をしていました。
前回は見学で、今回は司会とファシリテーションとして参加させてもらいましたが、学生たちがひたむきにアイデアを出し、プレゼンテーションをする姿には非常に心打たれるものがありました。次回開催も楽しみにしています。