【第一回サービスロボット開発技術展レポート(2)】神戸大学、富士ソフト、iPresence合同会社、i-RooBO Network

前回に引き続き、「第一回サービスロボット開発技術展」の会場の模様をレポートしていきます。


神戸大学

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神戸大学大学院工学研究科に所属する、土田修平さんのプロジェクトチームでは、同チームが開発している球体型移動ロボット「Mimebots」がリズムに合わせて、発光し、動くというパフォーマンスが行われていました。このプロジェクトチームは2014年の「未踏IT人材発掘」にも採択されています。ちなみに未踏での担当PMは、石黒浩先生です。


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球体には1,000個のLEDが使われており、あらゆる色の表現が可能

球体と移動式のロボットに分かれており、上に乗っているボールがリズムに合わせて発光します。外面はプラスチックのような素材で囲われていますが、その中には約1000個のLEDが埋め込まれており、単色の発光だけでなく、きれいなグラデーションを描きながら発光していきます。下部の移動式のロボットも、リズムに合わせて動きます。

こちらのロボットは、パントマイムやダンスと組み合わせて、パフォーマンスとして使われることを想定して開発されました。

※ 動画内で強い発光があります。注意してご覧ください。


富士ソフト

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富士ソフトの展示ブースには「PALRO2」がいました。「PALRO2」は「PALRO」に比べて少し色が紫掛かっているので、簡単に見分けがつきます。

「PALRO2」になり、幾つか変わったポイントがありますが、ハード部分での大きな変更点は、両手をまたぐ胸筋のような軸が導入されたこと、肘部分が回転するようになったことの2つです。両手をまたぐ軸が導入されたことにより、腕を使った”より豊かな”表現ができるようになりました。

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また、肘が回転することで、こちらも以前のPALROに比べて、柔らかい手の表現が可能になっています。

富士ソフトには「PALROシリーズ」と「Palmi」という2つの似ているラインナップがありますが、「Palmi」が主にコンシューマー向けに販売されているのに対して、「PALROシリーズ」は介護施設への導入をメインに進められています。PALROは、2016年5月現在、全国330の介護施設に導入されています。なぜ、PALROは介護施設で人気なのか。それは「多彩なレクリエーション機能」と「徹底した富士ソフトのサポート」があるからです。


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PALROは、こちらのページでも一部が公開されている通り、100を超える多彩なレクリエーションが標準で用意されています。毎日のように別のレクリエーションをできるというのは、導入する介護施設にとってみればありがたいですよね。

また、もともとの開発チームのメンバーが「現場を知る」という目的で、介護施設に赴いているので、技術サポートが徹底されています。「いかにしてPALROを活用してもらうか」を考えて、導入が進められているのが、多くの介護施設からPALROが愛されている要因と言えます。



iPresence合同会社

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iPresenceは、主にテレプレゼンスロボットの販売代理店をしている会社です。国内ではまだ数少ない、米・Double Roboticsのテレプレゼンスロボット「Double」を扱っている他、米・Revolve Roboticsの「KUBI」や、ホームカメラなど遠隔操作可能なロボットやデバイスを取り扱っています。

展示されていたのは、自社でコンセプトモデルとして開発中の「提灯あんこう(仮)」と「iZZY」です。


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提灯あんこう(仮):モーターを遠隔操作することで、周囲を自由に見渡すことができる。

「提灯あんこう(仮)」は、背負うタイプのテレプレゼンスデバイス。リュックのように背負って、タブレットを提灯のように前に垂らすような格好で使用されます。学校の遠足などで、引率の先生がこのテレプレゼンスデバイスを背負えば、遠足に参加できないお子さんも一緒に遠足に行っているかのような気分を味わうことができます。


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iZZY:遠隔コミュニケーションロボット。遠隔地で操作したモーションによって、表情が変化していく

「iZZY」もテレプレゼンスロボット。通常のテレプレゼンスロボットと同様、モニターを使って遠隔地からコミュニケーションを取ることができます。見た目が、なんというか、とてもインパクトがあります。



i-RooBO Network

i-RooBO Network(アイ・ローボ ネットワーク)は、「技術」「人材」「情報」などが集まる、大阪に本部機能を置くロボット開発のシンクタンク。全国各地に会員企業を抱えており、ロボット開発で困ったことがあれば相談できる窓口が設けられています。例えば、「ハードを作りたいが知見がない」「ハードのデザインをお願いしたい」「こんな機能を持ったソフトウェアを作りたい」など、あらゆる相談ごとに会員企業と共に対応しており、企業の垣根を越えた開発プロジェクトチームの結成を手伝ってくれます。


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i-RooBO Networkに参加している吉則工業の「はじめ47号Jr.」。遠隔操作が可能で、パンチを繰り出すことができる。

「ロボットを作る」というのは、ごく一部の大手企業を除いて、一社だけで完結できるものではありません。日本の技術力を活用したい企業は、まずi-RooBO Networkに相談すれば、糸口がつかめることでしょう。


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i-RooBO Networkでは「2020年までに100種類のロボットを事業化する」というプロジェクトを推進しています。ロボットを作りたいという方は、まずはi-RooBO窓口に相談してみてください。


ということで、第二回のレポートは以上です。第三回をお楽しみに!



ABOUT THE AUTHOR / 

望月 亮輔

1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。

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