【SoftBank World 2016 徹底レポート(8)】PepperとWatsonが変えるビジネスの未来
Softbank World 2016初日の15:40から行われた「PepperとWatsonが変えるビジネスの未来」のレポートです。
登壇されたのは、株式会社ジェナ 代表取締役社長 手塚康夫氏です。
プログラム概要は以下のとおり。
国内最大規模のスマートフォン・タブレット向けアプリケーション開発実績を持ち、特にスマートデバイスならではの優れたUI/UXを実現するクリエイティブが評価されているジェナが、新しいテクノロジーやデバイスがどのようにビジネスの未来を変えるのかを、Pepperの活用による新しい顧客体験の創出、Watsonを活用したコグニティブアプリケーションの可能性、最先端のIoTへの取り組みなど、具体的な先端事例を交えて解説します。
株式会社ジェナの紹介
学生時代からモバイルベンチャーに参画していた手塚氏が2006年に株式会社ジェナを設立。2009年からはスマートデバイスのアプリ開発事業を開始。現在はRobotics、AI、Iotなどの先端技術領域にも取り組んでいます。
今回は、先端領域への知見をいかし、取り組んできた内容を公演いただきます。
ロボアプリで求められるUI/UXのデザイン
ロボアプリの開発において、顧客体験を向上させるために重要なのは、以下のポイントを押さえたコミュニケーションデザインです。
・ 人間らしさの追求
・ 総合的な演出の実施
・ Iot機器としての活用
1つ目は、人間らしさの追求について。
人間らしさを表現するためには、ターゲットに対して最適な発話(ボイス)、行動(モーション)を組み込むことが重要です。ロボットととの自然なコミュニケーションを成立させるためには、全体のストーリーをシナリオで緻密に定義する必要が有ります。
事例は、SBクーポンサービスです。
こちらは、PepperとSBクーポンを利用した、新しいデジタルマーケティング。Pepperのおでこにスマートフォン画面をかざすことでQRコードを読み取り、抽選結果をPepperがユニークに案内を行います。
システム構成はこちら。
2つ目は、総合的な演出の実施。
ロボアプリの演出を行う際には、驚きや感動などのサプライズ要素を入れることはもちろんのこと。ロボットを設置する環境の空間設計も含めた総合的な演出が最終的なユーザ体験の満足度を左右します。
事例は、ハイアットリージェンシー東京です。Pepperが都内観光案内を行う「Tokyo Photo Spot Infomation」です。
都内の有名観光地が掲載されたポストカードを展示し、そのカードをかざすと観光地の見どころをPepperが解説するというものです。
3つ目は、Iot機器としての活用。
IotデバイスとしてPepperを捉えると、言語も感情も理解できる高性能な人型センサーと言えます。また、音声をインターフェイスとして活用してWatson等と連携することで、Iotの可能性を大きく広げます。
事例は、東京慈恵会医科大学です。
パブリックスペースにPepperを配置し、大学の歴史や食について説明。Pepperのセンサーを使い、人間の感情の変化を観察し取得するというものです。
コグニティブコンピューティング(IBM Watson)
IBM Watsonを活用したアプリ開発では、ビジネス上で解決したい課題の優先順位を付け、スコープの絞り込みを行うことが重要です。その後、どのAPIを使用しどのように他システムと連携するかを決定する必要があります。
同社では、ソフトバンク社内利用される同アプリのUI/UXデザインとフロントアプリ開発を共同で推進しました。音声コミュニケーションを前提とした違和感を感じさせないインターフェイスです。
Pepper+Watsonの事例では、製薬会社での社内向けお問合わせ対応も同社で手がけたそうですが、事例詳細は非公開です。
ジェナの取り組むIot
スマホといった既存デバイス、PaaS(Platform as a Service)、IBM Watson Iotなどを利用することで、素早く簡単にIot開発を行うことができます。
例えば、ワインの品質管理アプリケーション。センサーを使って温度や湿度を管理するというもの。
こちらはNode-REDを使用し、半日でアプリ開発を実現しました。
例えば、院内ナビゲーションシステム。
IBM Watsonを利用し自然言語による対話型のナビゲーションです。病院内に設置されたBeaconを利用します。
同じくBeaconを利用した、スタットコールと呼ばれる緊急時の一斉通知システム。
病院内で緊急招集を行うためのアプリが、Beaconの位置情報もあわせて通知するというものも。
デジタルの世界をよりリアルな現実の世界へつなげるために
デバイスとテクノロジーが多様化し、スマホ・タブレット、ウェアラブルデバイス、ロボット、Iot、コグニティブコンピューティングといったものが登場してきました。
それぞれでできることは限られてますが、それぞれを組み合わせることで多くのことができるようになるのではないでしょうか。
以上です。
ロボスタでは、こちらで手塚氏へのインタビューも行っております。是非ご覧ください。
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北構 武憲本業はコミュニケーションロボットやVUI(Voice User Interface)デバイスに関するコンサルティング。主にハッカソン・アイデアソンやロボットが導入された現場への取材を行います。コミュニケーションロボットやVUIデバイスなどがどのように社会に浸透していくかに注目しています。