今回は知事も降臨
第3回、第4回と埼玉県主催の「埼玉ロボットビジネス交流会」の模様はお伝えしてきました(ちなみに、第4回では筆者が登壇させていただきました)が、第5回が開催されるということで、参加してきました。
この交流会は、埼玉県で推進している「先端産業創造プロジェクト」の一環で行われています。同プロジェクトでは、大学・研究機関等の先端的な研究シーズと企業の優れた技術を融合させ、実用化・製品化・事業化を強力に支援することを目的としており、支援の一つの形がビジネスマッチング交流会の開催です。
埼玉県が推進している先端産業の一つとしてロボットも挙げられており、2〜3ヶ月に1度この様な交流会が開催されています。毎回平日にも関わらず100名を超える参加者が出席するイベントです。
今回は埼玉県知事である上田知事も出席。冒頭で、ロボット領域における埼玉県の取り組みについて語りました。
上田知事
働き手が、1995年のピークから20年経ち1000万人減りました。私はそれを意識し、政策を組み立てて来ました。社会の構成メンバーが減る中では、女性・シニアが活躍しないといけません。
そして、世界の工場が日本から中国に移っていく中で、どう私たちは頑張っていくべきかと考え、「先端産業プロジェクト」をいち早く立ち上げました。付加価値がある産業を埼玉で育てて集積したいと考えていました。
ロボットが何をするのか、どんなことが可能なのか。これからの非常に大きな産業になる位置を占めています。私達の生活のデザインそのものを変えるかもしれません。
掃除機という便利なものが出来ました。元々は人間が持って掃除していましたが、今では買い物に行っている間に勝手に掃除をやってくれるロボットもあります。この様に色々な形で新しいものが出来てきます。そのような分野で世界をリードしていく埼玉県にしていきたいと思っています。
Pepperの実績紹介
上田知事からの挨拶が終わると、いよいよ本編へ。今回の交流会は、ソフトバンクロボティクス株式会社の主席エヴァンジェリストの中山五輪男さんの講演と、埼玉県内のベンチャー企業によるピッチ「埼玉ベンチャーピッチ特別版(ロボット特集)」の2部構成です。
まず、「Pepperが変える暮らしとビジネス」というテーマで中山さんの講演がスタートしました。
一般モデルが1000台が7ヶ月に渡り1分で完売し、「Pepper」によってビジネスや暮らしが変わりつつあるということを、事例を挙げながら紹介してきます。
様々な法人における導入事例があります。40を超える銀行や信用金庫にも導入されています。
ロフトさんに導入された場合、人の接客数を超えるという数字が出ました。
今後、人に1000個以上のインターネットと接続したセンサーが取り巻くようになるとい予測から、中小企業は優れた技術をもってロボットなどのアプリやセンサーを作れば良いと語っていました。
昨年10月から「Pepper for Biz」を販売し、現在では1000社以上に導入されています。
そして、特に中国などからのインバウンド客への対応や、店舗で子どもたちの相手をすることによる従業員の方々の負荷の低減、客単価アップなどに成功しています。
高齢者施設などにも導入され、「Pepper」がレクリエーションを実施することで、今まで4〜5名関わっていたプログラムを1名減らす事が出来ました。
クルーズ船運行の企業などは、プレゼンテーションアプリ「ペップレ」を「Pepper」と一緒に活用することで、乗船客からの問い合せを削減させ、スタッフが受付業務に集中させることに成功しました。
教育でも「Pepper」を利用しているケースが出てきています。長野県では「Pepper」の出前授業を行っています。
藤枝市はもう一歩踏み込んで、ソフトバンクと連携し、市内の中学生に「Pepper」を使ったプログラミング教育を実施することになりました。また、その他にも京都立命館小学校での授業についても紹介がありました。
「Pepper」の登場によって暮らしやビジネスが変わりつつあることを数々の事例で分かりやすく説明していただきました。
ベンチャーピッチには5社登壇
続いて、埼玉県内のベンチャー企業のビジネスマッチングを行うプレゼンテーション「埼玉ベンチャーピッチ特別版」。
トップバッターは、株式会社ビー・アンド・プラスの亀田さんです。
同社は、モバイル機器や電気自動車など幅広い分野で活用可能な「ワイヤレス給電技術」を持っており、導入検討企業や技術の共同開発ができる企業を募集しているとのこと。
続いては、株式会社FocusWEBの山下さん。
同社は、「CAクラウド」というサービスを提供しています。これはカメラで撮影した人物画像から推定年齢や性別、停滞時間等が分析できるクラウドサービス。営業パートナーや共同開発が出来る半導体デバイスメーカーの事業提携のニーズをもたれていました。
3番手は、合同会社生活革命の宮沢さん。
同社は、「Pepper」のアプリ開発やロボットを活用したソリューション開発を行っています。販売代理店、導入企業のマッチングを求めていました。
4番手は株式会社ワコーの岡田さん。
国内でトップシェアを持っている力覚センサーなどを用いて、医療・介護ロボットに注力するとのことで、その分野における事業提携のマッチングを求めていました。
最後は有限会社MBP JAPANの小池さん。
埼玉県鴻巣市のラジコン専門メーカー。農業用ドローンを手がけており、防災マルチコプターの参入をなどを目指して事業提携先や販売先を探されていました。
ここまで具体的にロボットに関連したベンチャー企業がビジネスマッチング先を探すピッチはなかなか無く、質問も飛び交い、非常に盛り上がったプレゼンテーションでした。
懇親会で突っ込んだ質問も
終了後、会場を移して懇親会となり、参加者の方々はソフトバンクの中山さん、ベンチャーピッチに登壇され方々と名刺交換や積極的な意見交換などをする姿が会場の至る所にありました。
毎回、ロボットでのビジネスを考えている方が埼玉を中心に非常に多くいる事が実感できる交流会ですね。
ちなみに、次回の交流会は11月を予定されているということで、どのようなものになるか今から楽しみです!