サービスロボットと会話ロボット、スマートロボットとは【サービスロボット最前線 / 初級ロボット講座 第1回】

今、社会で活用されている「ロボット」には大きく分けて2種類があります。
産業用ロボットサービスロボットです。



産業用ロボットとは

例えば、工場などの製造現場ではアーム型のロボットが既に活躍していることはご存じの人も多いのではないかと思います。アーム型に限らず、様々な形状をしたロボットが正確で高速に作業を行うことで、組み立て、溶接、塗装、検査、搬送生産性や品質の工場に寄与しています。安川電機やファナック、不二越、川崎重工業、三菱重工業など、日本のロボット企業が開発した産業用ロボットが既に世界中で活躍しています。


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三菱重工業製のロボットアーム。産業用ロボットのひとつ。日本の産業用ロボットは世界中で活用されている



サービスロボットとは

分類の方法はいくつかありますが、主に産業用ロボット以外のロボットを広く「サービスロボット」と呼んで区分しています。
「今後は産業用ロボットに加えて、新しい産業としてのサービスロボットも広く普及させよう」ということで、政府が「ロボット新戦略」をとりまとめたり、ロボット事業の育成に予算を割り当てる動きもあり、市場に注目が集まっています。これはロボットを産業だけでなく「暮らし」にも浸透させようという考えです。


市場に向けて大きなインパクトになったのは、2014年、ソフトバンクロボティクスの「Pepper」(ペッパー)の誕生です。Pepperの大きさ、可愛い仕草、クラウドネットワークに接続して成長していく機能、相手の感情を理解したり自らも感情を持つ未来感が相まって、大きな注目が集まりました。もちろん、Pepperの得意なところは会話、相手を和ませることです。

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ソフトバンクグループの社長 孫正義氏に「感情を持った世界初のロボット」と紹介されるPepper

とはいえ、Pepper誕生がすべての始まりだったとも言い切れません。前年の2013年にはデアゴスティーニ・ジャパンの週刊「Robi」が発売され、大人気を博すなど、人と会話するロボットが注目されはじめていたため、既にロボットに対する期待感のある、そんな土壌があったということもできます。

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デアゴスティーニ・ジャパンの週刊「Robi」、ロビが専用バギー「ロビクル」(別売)に乗っているところ

ロビは身長約34cmの小型の会話ロボットで、デザインは世界的に有名なロボットクリエイター高橋智隆氏が手がけました。声はピカチュウやワンピースのチョッパー役の大谷育江氏が吹き込んでいます(音声合成を使っていません)。毎週パーツ入りの書籍が発売され、ユーザ自信が組み立てていく「パートワーク」というスタイルで、完成までは合計で約14万円かかりますが、それでも現在では累計12万台以上売れている大ヒット製品となっています。

■ 関連リンク
デアゴスティーニの「ロビ」はなぜ大ヒットしたのか?
https://staging.robotstart.info/2016/03/29/kozaki_shogeki-no13.html

新しいロビは来年発売予定!! デザイン・コンセプトは現状を踏襲し、ユーザーをもっと理解する新機能を搭載。 カラーバリエーションも展開か?
https://staging.robotstart.info/2016/07/28/robi-news-con01.html



会話ロボットとは

サービスロボットの中でも、PepperやRobiのように、会話や仕草を通じて、人とコミュニケーションをとることができるロボットを「コミュニケーションロボット」や「会話ロボット」と呼んでいます。


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秋葉原ロボットセンターで来店客と会話するヴイストンの「Sota」。開発者向けモデルが発売されている(一般発売日は未定)

更に「スマートロボット」という言葉もあります。直訳すると知的なロボットですが、自律的に行動したり、ネットに接続してクラウドによって情報の蓄積や判断を行うなど、IT技術を活用したロボットに使われることが多い言葉です。


Pepperは当初、一般家庭用の市場を考えていましたが、身体が大きくて注目度も高いこともあって、ビジネス現場での導入が進んでいます。
例えば、受付、介護施設、観光案内、顧客からの質問回答、ゲームやクイズなど顧客を和ませる存在として等、多岐に渡って活用されはじめています。


また、Pepper以外でも「PALRO」(パルロ)と「Palmi」(パルミー)、「NAO」(ナオ)、「Sota」(ソータ)、「Tapia」(タピア)など、多くロボットが登場し、ビジネス現場での活用が期待されています。


ロボットデータベースが便利

ロボスタではニュースやロボット製品、イベント、コラムなどで様々なロボットを取り上げていますが、ロボットごとに記事が閲覧しやすいように「ロボットデータベース」(ロボットDB)を用意しています。気になるロボットの情報、仕様や記事をチェックするのに便利ですよ。


ロボットデータベース

ロボスタの「ロボットデータベース」。ロボットに興味がある多くの人が利用している

ぜひ、ご利用ください。

■ロボットデータベース
https://staging.robotstart.info/robot-database

この「サービスロボット最前線」はこれらサービスロボットやビジネス活用事例などをピックアップしてお届けする短期連載です。
次回は「介護ロボット」についてを解説します。


> 高齢者介護施設で導入が進む介護ロボット(1)【サービスロボット最前線 / 初級ロボット講座 第2回】


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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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