Pepper at BEAMS JAPAN HACK 2016に行ってきました その2
8月27日、28日の2日間で「Pepper at BEAMS JAPAN HACK 2016」が開催されました。
今回は「伝統からスタンダード、サブカルチャーまで誇れる惚れる日本」をテーマに新宿に展開するショップBEAMS JAPANで稼働する、新しいPepperのサービスを作るハッカソンです。
(こちらのレポートは「その2」です。「その1」をまだご覧でない方は先にこちらをどうぞ)
発表に向けてもくもくとロボアプリを作っています。
審査タイム
今回の審査員は以下の4名です。
・ 古屋雄一氏(株式会社BEAMS)
・ 太田ゆり氏(BEAMS JAPANスタッフ)
・ きゅんくん氏(ロボティクスファッションクリエイター/メカエンジニア)
・ 猿田晋也氏(ソフトバンクロボティクス株式会社)
まず資料によるプレゼンを行い、その後に審査員が実際にロボアプリを体験してみる形式での審査となります。
チーム個show!「個show!」
退屈な日常にとびっきりの「個show!!!」を紹介します。ビームスに行くと会うことができる世界に1つだけのPepperです。
世界に1つだけのPepperとはどういうことでしょうか?
地域に根付いたPepperがビームスでお出迎えをしてくれます。Pepperが地域ごとのあいさつをしてくれるだけではなく、ショートコントや落語、エアギターで楽しませてくれます。
そしてPepperに出会ったら、ビームスポーズ・ペッパーポーズをして、その様子をTwitter、Instagram、Facebookに投稿してみましょう。
みんなを笑顔にするコンテンツがいっぱいのPepperでみんな楽しんじゃいましょう。
チーム祭りだpepper「どんちゃん祭りだpepper,pepper」
コンセプトは「祭り」。
ビームス店舗のフロアコンセプトを踏襲したPepperが動きと軽やかなお囃子をして、皆の注目をひきつけるPepperです。
胸のタブレットには各フロアの案内がありますので、気になるものをクリックしてみましょう。Pepperが案内をしてくれますよ。
実際に店舗で運用する時のことも考えられています。画像・テキストや音楽パターンは容易にカスタマイズ可能。今後、メールで更新できる仕組みを実装の予定です。
Pepperを通じてデータ収集ができるので、性別・曜日ごとでのどのフロアが人気かを知ることもできます。これは店舗のスタッフにとって便利ですね。
チームきゅんくん大好き「今、若者のロボット離れがヤバい」
コンセプトは「日本人の再発見とこれまでに無いロボットの実現」。
正直、最近のPepperはつまらない。それもそのはずで、どいつもこいつも接客ばっかり。
店に迎合して客ウケばかり狙いやがって。
接客Pepperなんていまどきみんなやってるぞ。時代の一歩先行くのがビームスじゃなかったのか。
このままだと近い将来、SNS疲れならぬロボット疲れ、若者のロボット離れも起こるかもしれません。
そこで、日本人らしく、これまでの常識を覆すロボットを提案します。それが今回の「コミュニケーション”障害”ロボット」です。
ある意味、日本人らしいオタクな「コミュ障ロボット」が、これまでの常識を覆すという意味でビームスジャパンにぴったりかもしれません。
ここでコミュニケーションロボットとはどういうものか、振り返ってみましょう。
・人を見つけると寄ってくる
・猫なで声で人に話しかけてくる
・基本、オモテウラ無い性格
・女性、子供、お年寄りにウケがいい
今回のコミュ障ロボットはこの逆です
・人を見つけると目をそらす、避ける、逃げる
・話しかけてもそっけないけど、興味のある話題には狂ったように食いついてくる
・コミュ障だけど、ネットの中では狂犬キャラ
・女、子供、ジジババが大っ嫌い
Pepperを触ってみると「アヒャー!」と言って逃げ出します。対面すると目をそらしてきます。
Pepperたちがよく使う「3ちゃんねる」という掲示板を見てみると、Pepperたちが「こいつらウゼェw。話しかけてくんなwww」とか「ちょwwwww 買いたい服も買えないこんな世の中はポイズンwwwwwww」とか書き込んで盛り上がってます。
勝手に写真を撮ったり、シンゴジラの話を振った時だけ超早口でシンゴジラの素晴らしさを延々と話し続けます。
なんじゃこのシュールなPepperはw
チームシンのびすけ「日本最古のPepper」
ある日、見つかったPepperに声をかけてみると彼はこう言った「私は日本最古のペッパーです」と。
我らチームシン・ノビスケはビームスジャパンに展示すべく交渉を試みた。
そのPepperのディスプレイは割れ、目のLEDは片方しか光らず、身体のいたるところには蔦が絡んでいます。そんな姿で昔の日本のことをゆっくりと語りかけてくれます。
チームRex「ペッパー47ビーム!」
Pepperといえばロボット、ロボットといえばビーム、ビームといえばビームス(?)。
Pepperがあなたの出身都道府県に応じた、必殺のビームを伝授してくれます。そのビームの様子をPepperが撮影して、サイネージに日本中のビームをアーカイブします。
来店したお客様の出身県を参考にコミュニケーションを行い、県をもとに商品をレコメンドします。ビームの様子をソーシャルで拡散することでバズも狙います。
チームENPO「ナンパPepper(仮)」
ペッパーに近づいてきた人にラフな感じで声をかけ、気軽な感じで「年齢・性別・店に来た目的」をデータ収集します。
その後、ビームスジャパン提灯で使用している47都道府県のロゴを見せ、どこの都道府県かを当てるクイズをPepperと行います。
答えが分かるとと驚きや楽しさがあり、お客さんにその都道府県の商品をレコメンドすることができます。
チームa「fashion check」
お店に入るのが苦手という人がいます。そういう人もちょっとしたきっかけでそのお店が好きになり、お店の常連さんになってくれるかもしれません。
そこで、Pepperがお客様の服装を採点して、更に「オシャレ最先端の全国のBEAMS店員」さんからコメントをつけるというロボアプリです。
ビームス店員さんからのコメントはすぐに見ることはできません。読むためにはまたお店に行く必要があるので来店頻度を上げることができます。これを無限に続けることができるので、何回も来店したくなります。
審査発表
今回の紹介「最優秀賞」1つだけとなります。賞金10万円と副賞は「BEAMS JAPANでの実稼働を目指します」というもの。
今回選ばれたのは、チームRex「ペッパー47ビーム!」でした。
各審査員からのコメントです。
猿田晋也氏(ソフトバンクロボティクス株式会社)
今回のハッカソンではみなさんビームスジャパンに実際に行ってもらって、役に立つPepperを作ってもらいましょうということでしたので、実際に役に立つ点を意識してハッカソンをされたと思います。その中で特にペッパー47ビーム!は、普通に接客や受付だけじゃなくて、アイデアをひねり出してくれて、いいものを作ってくれました。ありがとうございます。
きゅんくん氏(ロボティクスファッションクリエイター/メカエンジニア)
Pepperは特徴のあるロボットなので、向き不向きがあると思うんですけど、今回はその特徴を捉えてコンテンツを作ってみたのがすごいよかったと思います。他にもすごい面白いのがいくつもありました。これからさらに進化させていったら面白いと思います。
太田ゆり氏(BEAMS JAPANスタッフ)
私はお店に立っているスタッフなので、こういう機会はなかなかないので新鮮でした。みなさんがどうやってアプリを作っているのががよく分かりました。店頭でこのプログラムで私たちも楽しみながら、お客様も楽しんでいただけるといいなと思っています。
古屋雄一氏(株式会社BEAMS)
皆様2日間ビームスのことを考えてくれてありがとうございます。今回審査をするにあたって、ビームスくらいカジュアルな所にPepperがいてもいいんじゃないかを自分の中での審査の基準にしてました。なので、ビームスではない一般の百貨店の中にあってもよい作品は、今回外させていただきました。PepperをPepperとして捉えるというよりは、面白いものとして捉えたのが好みでした。個人的には最古のPepperが気に入ってました。
チームRexから一言。
同じ会社の3人ではじめてPepper触って四苦八苦したんですけど、賞を取れてうれしいです。店頭に並ぶ際にはぜひ色々とお願いします。
懇親会
最後は美味しい料理とお酒で2日間の疲れを癒しました。
みなさま2日間お疲れ様でした!
ロボスタ北構の感想
「日本最古のPepper」はロボットが最先端じゃないし、「今、若者のロボット離れがヤバい」は、コミュニケーションを拒否するコミュ障Pepperでした。
これらのいわゆるPepper的なもの(=最先端でコミュニケーションが上手)の真逆を追求した作品が特に面白かったです。
更に「今、若者のロボット離れがヤバい」ではPepperの動きや様々な部分をしっかり作り込んでいたので、Pepperに命が吹き込まれていたようにも見えました。動きを作り込むのは大事ですね。
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北構 武憲本業はコミュニケーションロボットやVUI(Voice User Interface)デバイスに関するコンサルティング。主にハッカソン・アイデアソンやロボットが導入された現場への取材を行います。コミュニケーションロボットやVUIデバイスなどがどのように社会に浸透していくかに注目しています。