【実験】話題のソニー「Xperia Ear Duo」レビュー、耳をふさがないヘッドホンは音漏れしないのか?
ソニーの新製品、ワイヤレスオープンイヤーステレオヘッドセット「Xperia Ear Duo」(XEA20)が話題だ。
話題の最大の理由は環境音が聴こえるヘッドホンだから。
では、耳をふさがないイヤホンは、音漏れはどの程度のものだろうか?
密閉感は没入感
例えば、私の愛用のイヤホンはソニーのワイヤレスステレオヘッドセット「MDR-XB70BT」だ。誕生日プレゼントに娘が贈ってくれたもので通勤時の電車内などで利用している。カナル型イヤホンで、イヤーパッドを耳の穴にぐいと押し込むタイプ、外部の音を遮断して、楽曲の音に集中するのに最適だ。
最近はノイズキャンセル機能付きの製品が主流だ。環境音をIT技術を使って削除し、音楽を楽しむのに邪魔な雑音とされる外部の音を消し去る機能だ。時に駅や電車内のアナウンスさえも聞き取れないほど効果が高いものもある。
耳をふさがない開放感
これら流行のカナル型イヤホンと「Xperia Ear Duo」はある意味で「比較してはいけないもの」であるとともに、「最も比較したいもの」でもある。
前者の意味は、カナル型イヤホンとは用途のアプローチが全く異なる製品だから。「Xperia Ear Duo」は耳の穴をふさがず、イヤーパッドにはドーナツ型の穴が開いている。ここから外部の環境音や会話の声は耳に入ってくる。スピーカーユニットは耳の裏側に収納されていて、管を通して耳の穴から鼓膜に向けて音楽が届けられる。
これによって、音楽と環境音のミックスが実現できるというしくみだ。
この独特な構造によって、音楽を楽しんでいる時も会話ができる、環境音とBGMのミックスなどが実現する。外部を遮音しない故のメリットは多々あり、ユーザーは新しいイヤホン体験を得ることもできる。
ちなみに、ヘッドホンも耳を覆うタイプの密閉型ヘッドホンがお馴染みだが、オープンタイプの開放型のヘッドホンも多数存在する。音の拡がりを感じる開放感のある製品が多い。
音漏れのチェック
構造もコンセプトも大きく異なる商品だからこそ「最も比較したいもの」でもある。例えば、開放型のイヤホンの場合、気になるのはカナル型と同様に「電車に乗っているときの音漏れはしないのだろうか?」ということだ。
電車の中でドンドン・シャカシャカと聞こえてくるイヤホンの音漏れは周囲の人にとっては迷惑だ。周りに迷惑をかけたくないと思っているユーザーにとっては、音漏れの有無は気になるところだろう。
そこで、簡単な実験をしてみた。
「Xperia Ear Duo」でポップな楽曲を再生し、50%と100%の音量でそれぞれ再生し、それを動画で記録した。
実際に音漏れの度合いを確認して欲しい。
■【実験】ソニーの「Xperia Ear Duo」は音漏れしないのか?
結果は、会話がしやすい50%のボリュームのとき音漏れはない。
一方、フルボリュームの100%のときは、会話はしづらいレベルの音量となり、音漏れは発生する。
もちろん、楽曲の元データによって「%」の実音量は左右されるが、これでも参考にはなるのではないかと感じたので実験を記事にした。
なお、「Xperia Ear Duo」のボリュームの%感は独特だ。100%のボリュームでもうるさすぎる不快感はなく、遮音カナル式のヘッドホンのボリュームで言えば60%くらいに感じる。少し大きな音で聴いている程度の感じだ(環境音は聞こえにくく会話はしづらくなり、その分、音楽がよく聞こえる)。
音質は高低音が強調されていない(弱い)ものの、中音域の透明感を感じる。
試聴して、音漏れをチェックした今言えることは、重低音をガンガン強調されている愛用のカナル式イヤホンと「Xperia Ear Duo」はやはり「比較してはいけないもの」だということ。環境音や会話が聞こえる開放的な環境の中で、お気に入りの楽曲をBGMとして(音質にこだわらずに)ライトに楽しむ、音声アシスタントの機能を活用する、そういった目的のためにチューンされた一品なのだ。その使用範囲内では音漏れを心配する必要はないだろう。一方、一般の密閉型イヤホンの感覚で音楽に没頭できる音量にすれば、音漏れに注意すべきだろう。
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。