業務用も床掃除はロボットに任せる時代が本格到来 ビルメンヒューマンフェア & クリーンEXPO 2018
ビルメンテナンス・施設管理/清掃技術・資機材を展示する専門展示会「ビルメンヒューマンフェア & クリーンEXPO 2018(http://www.humanfair-cleanexpo.org)」が11月20-22日の日程で、東京ビッグサイト西 3・4ホールで開催されている。主催は一般社団法人日本能率協会、公益社団法人全国ビルメンテナンス協会。
もともと「見所はロボット」とアナウンスされていた(https://jma-news.com/wp-content/uploads/2018/11/8071305551aef008177a4ba14f186633.pdf)展示会だが、実際に訪れてみた会場には、驚くほどの密度で業務用ロボット掃除機が出展されていた。いずれも、人と役割分担しながら自動掃除を行うタイプのロボットだ。センサーを使った障害物回避そのほかや、メールでの状態通知やクラウドとの連携などは当たり前になっている。
空間測位・ナビゲーション技術の向上と生産年齢人口減少によって、もはや床掃除は業務用もロボットでやる時代、いや、人手不足によってロボット化せざるを得ない時代が来たと言っても過言ではなさそうだ。掃除ロボットのデザインや使い勝手も洗練されてきている。節目となりそうな気配が濃厚のいま、レポートしておきたい。
アマノ「EGrobo」
2014年から業務用ロボット掃除機の事業を展開しているアマノ株式会社は、ロボット床面洗浄機「EGrobo」を出展。従来機からデザインを一新して9月に発表された新機種で、10月1日から既に販売されている(https://www.amano.co.jp/information/detail/20180913.html)。走行ルートや作業内容のティーチングは最初手動で行い、そのあとは自動運転する仕組み。水量や走行速度などは状況に合わせて設定が可能。Uターン可能通路幅は1.8m。自動運転開始時間を設定できるタイマー機能を持つ。
今回のEGroboの特徴は周囲環境を二次元ではなく3次元認識するようになったこと。これによって走行ルートの周囲の環境が変わっても位置や方向がより正しく認識して、とにかく止まらずに最後まで走行して掃除を完了できるようになったとのこと。ブースでのデモも、床面に枠などを設けることなく、人が出入りする状況のまま行なっていた。
また、一度に清掃できる幅を20インチから26インチと広くしたことと、直線ルートでの倉庫速度を上げたことなどから、清掃能力はアマノ従来機に比べると6割も上がったという。
日本信号「クリナボ」
日本信号株式会社 AFC事業部は11月に発表した(http://www.signal.co.jp/spdf/325.pdf)自動床清掃ロボット「クリナボ(CLINABO)」を出展。清掃ルートは100件まで登録できる。LEDを使って周囲への注意喚起やステイタス表示を行う。湿式仕様と乾式仕様がある。東武ビルマネジメント株式会社の協力のもと、東武スカイツリーライン北千住駅と東武百貨店池袋店の2か所で清掃員の業務補助として試験導入されている。
フィグラ「エフロボ・クリーン」
フィグラは業務用自律移動型ロボット掃除機エフロボクリーンを出展。ルーチンワークはロボットに任せて、人は人にしかできない掃除作業に専念するというコンセプトだ。
中西金属工業「ROBO Cleaper」
中西金属工業株式会社(NKC)は自動床洗浄ロボット「ROBO Cleaper(ロボクリーパー)」を白く塗装して出展。同社のロボットは赤色のイメージだったが、外装は何色にでもできるとのこと。駅や空港、商業施設、病院、工場、倉庫など広域の掃除に適しているとしている。最大清掃面積は2500平米。点字ブロックをまたぐときには洗浄ブラシを床面から上げて走行することで、床を濡らさずに走行できる。なおロボットを擬人化した公式キャラクターの名前は「もえしょく(http://moeshoku.com/)」とのこと。
ソフトバンクロボティクス「RS26」「Whiz」
ソフトバンクロボティクス株式会社はBrainの自律走行式スクラバー「RS26(https://www.softbank.jp/robot/aicleanpro/scrubbers/rs26/)」と、業務用の中型バキューム式掃除ロボット「Whiz」を出展。「Whiz」は月額2万5000円で2019年3月以降にレンタル開始される予定。先ごろ発表されたばかりとあって、ブースには多くの人たちが集まっていた。
シーバイエス「TASKI Swingobot2000」
シーバイエス株式会社は、スイスTASKI社の自動床洗浄ロボット「Swingobot2000」を出展。1度の充電で5,040平米を掃除可能。マップベースの掃除もできるし、マニュアルモードで手動クリーニングもできる。人が飛び出してきても0.48秒で自動停止する。
ガウジアンロボティクス 「エコボット スクラブ75」
シンガポールのガウジアンロボティクス社(Gaussian Robotics)は「エコボット スクラブ75」をデモ。特に壁から8cmまでの角へ届く点が売りだという。一回の充電で6時間稼働する。ショッピングモール・学校・空港などを対象としている。
マクニカ 「Avidbots Neo」
株式会社マクニカは、代理店契約しているカナダAvidbots社の自動清掃ロボット「Neo(https://service.macnica.co.jp/contents/126229)」を出展。関西国際空港に導入されている。営業時間外に広範囲を清掃するという使い方を想定しており、リアルタイム作業モニタリングや、清掃レポート自動作成が可能で、作業後の結果確認が容易。
くうかん 「ADLATUS CR700」
株式会社くうかんは販売代理店契約をしているADLATUS Robotics社の全自動床洗浄ロボット「CR700」を出展。エリアごとに清掃度合いを調節することができる。一回の充電で平均4時間、4000-5000平米掃除できる。海外では大型スーパーマーケットなどで使われている。
Uniring「MAX」
台湾 UniRing Tech(http://uniring.com.tw/)社は床洗浄ロボット「MAX」を出展。清掃幅45cmのダブルブラシを使って埃や毛髪を集塵する。エポキシ樹脂系塗り床、タイル、大理石、耐摩耗床、PVC、テラゾ、セメント床などに使用可能。同社では「クリーニング費用を53%節約可能」としている。
日菱インテリジェンス エアコン洗浄ロボット「NR-7 E-Robot」
ロボット化できるのは床掃除だけではない。日菱インテリジェンス株式会社は業務用エアコン洗浄ロボット「NR-7 E-Robot」を出展。天井に設置されている業務用エアコンを洗浄するためのロボットで、本体とコントロールユニットからなる。エアコンの分解は人がやり、このロボットを設置して洗浄しているあいだに人間の作業者は他の部品などの洗浄を行う。それによってトータル作業時間が短縮できるというコンセプトだ。
マキタ
株式会社マキタは大型のロボットクリーナ「RoboPRO」のほか、リチウムイオンバッテリー18Vを二本組み合わせて使う充電式背負いクリーナ「VC261DZ」を出展。最大吸込み仕事率95W、4.4kgで2時間20分使える。集塵容量は2L。
ABOUT THE AUTHOR /
森山 和道フリーランスのサイエンスライター。1970年生。愛媛県宇和島市出身。1993年に広島大学理学部地質学科卒業。同年、NHKにディレクターとして入局。教育番組、芸能系生放送番組、ポップな科学番組等の制作に従事する。1997年8月末日退職。フリーライターになる。現在、科学技術分野全般を対象に取材執筆を行う。特に脳科学、ロボティクス、インターフェースデザイン分野。研究者インタビューを得意とする。WEB:http://moriyama.com/ Twitter:https://twitter.com/kmoriyama 著書:ロボットパークは大さわぎ! (学研まんが科学ふしぎクエスト)が好評発売中!