富士ゼロックスが開発を進めるロボット「ROX(ロックス)」とは?

先日開催された「Maker Faire Tokyo 2016」にて、富士ゼロックスが開発中の新しいロボット「ROX」を見てきました。今回の記事では、ROXの概要をご紹介したいと思います。

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3Dプリンターで出力されたROXのデモ機


会議専用のファシリテートロボット「ROX」

ROXは、新商品開発プラットフォーム「Wemake」×「富士ゼロックス」という取り組みの中で生まれたロボットです。

Wemake上で富士ゼロックスが募集したテーマは「価値あるコミュニケーションを実現する近未来のソリューション」。多くのアイディアが投稿された中で、見事採択されたのが、アイディア会議をサポートしてくれるコミュニケーションロボット「ROX」でした。

ROXは、会議中の頷き役としてアイディア出しを助けてくれたり、アイディア出しに役立つ情報を提供してくれたり、会議中のコミュニケーションを円滑にするための機能を持つロボットです。スキャンや音声認識で議事録を作成するといった機能も考えられており、会議専用のファシリテートロボットとしての活用が想定されています。

4月にWemake上でROXのアイディア採用が発表されたばかりということで、まだまだ企画・コンセプト段階です。富士ゼロックスの社内で有志が集まり開発が進められているそうで、メーカーフェアではモックアップが展示されていました。


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メーカーフェアで展示されていた「ROX」のモックアップ

今後は事業化を推進していく予定との事です。

ROXはまだまだモック段階なので、レビューすることも特にないわけなのですが、同ブース内で「ROX」にまつわる展示をしていたスタートアップ2社が面白かったのでご紹介します。

1社目は人工知能ベンチャーのネクストリーマー、2社目は感性プラットフォームを提供するリトルソフトウェアです。



ネクストリーマー

ネクストリーマーは、東京・高知・インドに拠点を置き、マルチモーダル対話エンジン「A.I. Galleria」を開発しています。”マルチモーダル”とは、会話内容だけでなく、カメラやセンサーの情報を処理して、それらの情報を汲み取りながら対話していく仕組みのこと。メーカーフェアでは、ROXのブースにて、大型ディスプレイを使った対話デモを行っていました。


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ディスプレイの中のROXと対話するデモの様子

ネクストリーマーは「A.I. Galleria」を搭載した「AI-Samurai」というプロモーション用のロボットも開発しています。以前「AI-Samurai」の実物を見せて頂きましたが、間近で見ると非常にインパクトがありました。


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「AI-Samurai」。SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)に出展し、海外からも大きな反響を集めた。

ROXの中にA.I.Galleriaが搭載されるかどうかなどは未定とのことですが、高度な対話が可能なエンジンが組み込まれていくとすれば、ROXプロジェクトもどんどん面白いものになっていくことでしょう。

関連サイト
Nextremer


リトルソフトウェア

そしてもう1社が、こちらも2014年に設立されたばかりのスタートアップ企業・リトルソフトウェアです。

リトルソフトウェアは、感性プラットフォームという、生体センサーから得られた情報を感性(感情)に変換し、その変換結果をアウトプットすることができるプラットフォームを運営しています。


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リトルソフトウェア代表の川原伊織里氏

会場で見せて頂いたのは、脳波を測定する外部のデバイスを頭につけ、その結果を感性プラットフォームに通すというデモ。感性プラットフォームを活用することで、その人が怒っているのか、喜んでいるのか等の感情を取得することができるようです。


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脳波からその人の本心を知る事ができる

しかし、代表の川原伊織里さんは、脳波を測るデバイスを使うという行為は「時代遅れになる」と話します。

川原氏

今は音声や表情から感情を取得することができるようになりました。なので、いちいちデバイスで脳波を測る必要はありません。ただし、脳波の方が正しい情報を取得することができます。音声や表情による感情認識のシステムをさらに高度なものにするために、弊社の技術を活用して頂きたいと考えています



川原さんによれば、例えば脳波を測りながら顔認識をして学習させていくことで、その人が「本当に笑っているのか」それとも「作り笑いなのか」、といった情報を顔認識だけで判別できるようになるということ。同じく、音声からでも「この人は怒っているのか」それとも「怒っているふりなのか」といった情報すらも読み取れるようになるそうです。

仮にROXが顔認識だけで内なる感情を見分けられるようになれば、会議中でも

ROX

(あ、社長が愛想笑いしながら、イライラしてプレゼンを聞いてるぞ)○○さん、そろそろ次の人にバトンタッチしたらどうでしょう?



というように、人が判別しづらい表情を判別し、人が言いづらい事をROXが代弁してくれるかもしれません。

関連サイト
Littlesoftware Inc.

ということで、今回の記事では、まだ生まれたばかりのROXプロジェクトをご紹介させて頂きました。今後きっちりと事業化が進み、機能が想定通り追加されていけば、いつの間にかあなたの会社の会議にROXが参加しているかもしれませんね。

ABOUT THE AUTHOR / 

望月 亮輔

1988年生まれ、静岡県出身。元ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。

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