1月27日(水)、アトリエ秋葉原で開催された「Pepper App Challange/ Innovation Challange 決勝進出作品発表展示会」に行ってきました。
イベントページでの紹介はこちらです。
11/28 に開催されたPepper ロボアプリのコンテスト Pepper App Challenge 2015 winter /Pepper innovation Challangeでは、多くの作品にご応募いただき、計20作品の決勝進出作品が発表されました。
このイベントではそれらの優れた作品の開発事例をもっと聞きたいという参加者のご要望にお応えするため、コンテストの決勝進出作品を制作されたデベロッパーの皆様を講師として作品説明を行うものです。
今回の開催は3回目となります。過去のレポートは以下をご覧ください。
・「Pepper App Challange/ Innovation Challange 決勝進出作品発表展示会」に行ってきました。その1(前編)
・「Pepper App Challange/ Innovation Challange 決勝進出作品発表展示会」に行ってきました。その1(後編)
・「Pepper App Challange/ Innovation Challange 決勝進出作品発表展示会」に行ってきました。その2(前編)
・「Pepper App Challange/ Innovation Challange 決勝進出作品発表展示会」に行ってきました。その2(後編)
今日は以下3アプリの作品説明です。
・ロボ助 by かんがえーるず
・Congrats Pepper by アニヴェルセル&イサナドットネット
・ぺぱだりんぐ by シトラス
■ロボ助 by かんがえーるず
「ロボ助 by かんがえーるず」の解説をしていただけるのは、小澤誠さんです。
ロボ助というロボアプリの説明です。
マンツーマンが基本のスケジュール管理アプリで、軽度認知症の方に寄り添い、介助する人たちの力になる身近な存在です。そして、非常に「地味な」アプリです。
開発の背景です。
L.M.D.P.Pepperアイデアソン2ndSeasonがきっかけで結成されたチームがかんがえーるずです(元:チーム認知症問題を考えるーず)。
アイデアソンでは認知症をテーマに参加し、軽度認知症の方に寄り添い、支えるご家族の助けになるロボアプリの必要性を提案しました。
その時の様子は「L.M.D.P. Pepperアイデアソン2nd Season に行ってきました。」をご覧ください。
その後、「暮らしのロボット共創プロジェクト(略して、キモP)」に参加し、アプリの必要性を再認識しました。(参考:暮らしのロボット共創プロジェクト(略して、キモP)」のキックオフに行ってきました。」)
前回のPepper app challenge優勝チーム、ニンニンPepperのメンバーにもチームに参加してもらい、「チームかんがえるーず」が誕生しました。
ロボ助は、軽度の認知症の方に対してPepperは以下のことを行います。
・あなたを見つけ、次にやることを教えてくれます
・認知症の人が何をするかを忘れても、タッチパネルに触れると今の状況を説明してくれます
・やることを終えたらPepperの頭をタッチ。必要に応じて写真撮影します
・今の気持ちを聞いて、感情データを記憶してくれます
・支持の表示は分かりやすいピクトグラフを併用しています
アプリの概要図です。
いつもの行動はスマートフォンから入力します。入力されたデータは行動データベースに収納されます。軽度認知症のユーザは、何かを終えるたび・何をするかを忘れたら、何も考えずにPepperの頭を触れば、次の行動を教えてくれます。
もし全てを忘れてPepperの存在すらも忘れてしまった場合、Pepperが顔認識をトリガーに行動データベースから今の時間に何をするかを教えてくれます。
予定外のことが起こった時には、Pepperとの簡単な会話で予定を作成し、行動データベースに追加を行います。併せて必要に応じて、お出かけ前に写真と行動パラメータを採取します。
行動前後の写真と感情データ採取は、統計分析に活用されます。予定の登録はスマホからか、Pepperとの対話で登録できますが、その際いつもと違う行動があると、メールで家族や医療機関に連絡が行えます。
予定が終わって帰宅したら、Pepperでの写真撮影、感情パラメータを採取し、家族宛に帰宅報告のメールをします。
どうして行動の前と後の写真を撮影するのか?それは前後の写真を見比べてジャケットや帽子などを忘れていないかを確認するためです。
軽度認知症の人にとっては複雑な行動となる、料理・服薬・趣味の段取りは、Pepperがクラウドと連携して、手順を教えてくれます。
採取しているパラメーターは時系列で確認することができ、健康管理に利用できます。
これからの発展性と課題です。
開発スタッフです。
プレゼンテーションは以上です。
続いて質疑応答です。
Q)毎週同じような予定を入れるときは?
A)テンプレートを用意しているので、決まった予定を入力できるようなインターフェイスを作っていきたいと考えています
Q)開発期間はどれくらいかかったんですか?
A)2ヶ月くらいですが、実態は限られた時間しかありませんでした。プログラマーは仙台在住だったため、トータルどれくらいの時間だったかは言いづらいです。
Q)笑顔の感情認識について、一般用でも for Biz でも両方取れますでしょうか?
A)カメラだけで判断する場合と、声をつかったムード認識の両方あります。今回のアプリは画像だけで取得しています。どちらが適切かは両方のパターンを作ってみて、今後検証してみたいと思います。
Q)これはChoregrapheで取得した感情データを使っているのですが?
A)Choregrapheから取得したデータを若干加工して使っています。
Q)ビジネスとして展開していくには、どういう課題を解決していくべきかと考えてますか?
A)このアプリは Pepper for biz を前提に考えたものではなく、一般家庭で利用されることを前提として作ったので、施設への展開は考えておりません。なので、顔認識は家族程度、理想はワンツーマンです。
質疑応答は以上です。
■Congrats Pepper by アニヴェルセル&イサナドットネット
「Congrats Pepper by アニヴェルセル&イサナドットネット」の解説をしていただけるのは、イサナドットネット株式会社山田耕平さんです。
「ブライダル市場のニーズ」「アプリ概要」「工夫した点」の3つをお話いただけます。
現在のブライダル業界は、写真や動画をシェアすることが当たり前になっています。
パパママ・キッズ婚の需要が増加しています。
参加型の結婚式が増えてきています。
そこで、Pepperを使って新しい結婚式体験をしてみませんか?
Congrats Pepperのコンセプトは「新郎新婦もゲストも双方楽しめる」です。
アプリの概要です。Pepperがお祝い動画を撮影し、その場で新郎新婦のスマホに送信します。
利用イメージです。撮影できる動画は6秒間。
動画を撮影する時に、Pepperが様々なお題を出すので、それに合わせてメッセージを送りましょう。
お題は例えば「めっちゃテンション高く」など。
他にも「変顔で!」や「五郎丸風に」など、様々なものがあります。これは、Pepperがだからこそできる無茶振りです。これにより普段見せることのない姿を見ることができます。
録画されたメッセージは、新郎新婦のスマホに通知され、すぐに確認が可能です。
工夫した点、その1は「ゲストにポーズの無茶振りをする」です。無茶振りの種類には、たこ焼き・飛行機・人類最速の男・ハートなど、いろいろな種類があります。
工夫した点、その2は、「発話の調整」です。できるだけ自然な発話になるように細かいチューニングを行いました。
これらの工夫をした結果、人間ではなくPepperだからこそ体験できる、新たな楽しみ方が可能となりました。
効果その1は、このロボアプリを使うとシェアしたくなる動画がたくさん集まりました。
効果その2は、キッズにも楽しんでもらうことができました。
是非みなさまも、新しい結婚式体験をしてみませんか?
プレゼンテーションは以上です。
続いて、質疑応答です。
Q)撮影した動画はすぐにクラウドにあがるんですか。
A)はい。アップロードに数秒かかりますが、そこまでタイムラグはありません。動画が6秒だからというのもあると思います。
Q)発話の調整での、あて字の組み合わせはどうやって見つけたんですか。
A)トライアンドエラーで、実際に何回も試すしかありません。弊社のシトラスラムを使えば便利にできます。(参考:ロボット発話調整ソフト「Citrus Rams」が無料で使えるので試してみました。)
Q)結婚式以外での使い方の想定は?
A)個人的には、有名人のコンサートの受付とかにPepperがいて、応援メッセージを送れたりすると面白いと思っています。
Q)どのような感じで、このアプリ開発を行っていましたか。
A)ユーザーが楽しめる時ってどういうときを考えて、Pepperがテンション高い方が感情移入できるので、そういう関係性の構築が重要かなと思って作りました。
Q)開発工数は?
A)業務の定時が終わった後の残業時間で作業して、2人で2週間くらいです。
質疑応答は以上です。
前編は以上です。後編に続きます。
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北構 武憲本業はコミュニケーションロボットやVUI(Voice User Interface)デバイスに関するコンサルティング。主にハッカソン・アイデアソンやロボットが導入された現場への取材を行います。コミュニケーションロボットやVUIデバイスなどがどのように社会に浸透していくかに注目しています。